──サウンドチューニングはヤマハが行っているのか?
石井氏 NECで開発したPCをヤマハに持ち込んでサウンドのチューニングをしている。これは、スピーカーを実装してSOUND BY YAMAHAのロゴをつけているときから同じだ。今回もスピーカを搭載しているのでサウンドチューニングを行ったが、そのPCがAudioEngineを導入しているという位置づけになる。
石田氏 なお、AudioEngineはヤマハのスピーカとの組み合わせを必須とはしていない。あらゆるスピーカに対して音響を補正して高品質にできる。ただ、今後はヤマハのスピーカと組み合わせてより高音質な環境を実現できることを訴求していきたい。
──ユーティリティで設定できるのは、サウンドソースごとに用意したプリセットと、S3D、CLV、ADVの三段階設定の変更のみだが。
石井氏 ユーザーに分かりやすいインタフェースを優先した。サウンドソースごとに用意したS3DとCLV、そして、ADVのプリセット設定は、ヤマハが音をチューニングして最適と考えた設定にしている。普通のユーザーはプリセットのまま使ってもらい、興味のあるユーザーにはマニュアルに記載した各機能の役割を理解したうえで、変更してもらいたい。
間もなく始まるサッカーのワールドカップを楽しむときには、サウンドソースでスポーツを選べば、スタジアムを埋める観客の応援などが広がって臨場感を高めるようにS3Dを最も高く設定してる。ただ、実況の声に集中したいなら観客の音を抑えるためにS3Dのレベルを下げることは有効だろう。
石田氏 ユーザーの見える範囲でサウンドソースで異なっているのはS3DとCLV、ADVだけだが、AEQとHXTもサウンドソースごとにチューニングをして設定を変えている。また、S3Dでも、サウンドソースごとにユーザーに見せていない細かい設定を大幅に変えている。
──AEQやHXTの設定をユーザーに開放する予定は?
石田氏 これについては、ヤマハとNECで検討を続けている。まだ方向性は決まっていない。AEQとHXTをユーザーが設定するのはとても大変なことだろう。オーディオマニアは別として、一般のユーザーが使いこなすのは非常に難しい。
今回導入したAudioEngineは信号処理を行う技術だ。信号処理はそれだけでは完成するものではない。音の素地を作るようなもの。音作りによって、派手ではあるけれど長時間聞くとつらくなる音になってしまうなど、大きく変わってしまう。だから、ヤマハはチューニングをとても重視している。NECの2014年夏モデルへでもNECとともにそれができたから、AudioEngineを導入することができた。
AudioEngineは、機能を実装するというより、ヤマハが考えてチューニングした「高音質」をユーザーに提供するものと考えている。そのために必要だったのがAudioEngineとSOUND BY YAMAHAのスピーカだ。
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