AMDは失地を回復できるのか──AMD CEOに聞く「小さなもの」から「大きなもの」へシフトする(3/3 ページ)

» 2015年07月15日 11時40分 公開
[本間文ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

先行技術は将来のアドバンテージになる

 スー氏は、「HBMには大きな可能性がある」と述べ、HBMをハイエンドGPUのみならず、APUやサーバ向け製品にも展開することを示唆する。こうした長期的なロードマップでは、「HBMの要素技術開発や製造技術において先行できたことは、今後の競合関係においてもアドバンテージとなり得る」と予測するなど、半導体技術を知り尽くしたスー氏ならではの、素早い決断であったことをうかがわせる。

 一方で、スー氏は「AMDは、今後、カスタムプロセスなど特殊な半導体製造プロセスへの投資はしない」とも明言する。AMDは“Kaveri”世代でカスタム製造プロセスを採用して高クロック化などを実現したが、最新APUの“Carrizo”では「GLOBAL FOUNDRIESの一般的なプロセスルールを使いつつ、高密度半導体設計ライブラリの採用やデザインの最適化によって、同じ28ナノメートルプロセスルール世代ながら、より多くのトランジスタを搭載しつつ、電力効率の向上も果たした」とし、今後も特殊プロセスへは投資をせず、「設計ライブラリやツールへの最小限の投資にとどめる」と説明している。

Carrizoで採用した“Excavator”コアでは、高密度半導体設計ライブラリの採用やデザインの最適化によって、同じ28ナノメートルプロセスルールながらトランジスタ面積を大幅に縮小した。従来APUの“Kaveri”が24億トランジスタを245平方ミリのダイサイズに集積していたのに対し、Carrizoでは31億トランジスタを250平方ミリのダイサイズと、同等のサイズにとどめている

AMDはかつて、技術革新だけでなく、パフォーマンスリーダーシップの面でも積極的だった。その姿が再び見られるかは、Zenと次期GPUにかかっている

 AMDはかつて、動作クロック1GHz達成、64ビット対応、マルチコア化、メモリコントローラのCPU統合、グラフィックスコア統合と、プロセッサ開発における革新をもたらし続けてきた。そのAMDが、半導体のスペシャリストでもあるスー氏のもと、再びアグレッシブな製品戦略を採ろうとしている。

 スー氏は「AMDはグラフィックスのパフォーマンス競争から離脱しない。なぜなら、グラフィックスはAMDのDNAだからだ」とし、今後、GPUの高性能化を加速していく意向を示す。そして、同様にCPUについても、Zenアーキテクチャの投入により、再びインテルとパフォーマンス競争を競うレベルにすることこそ、より高収益性が望めるエンタープライズ市場への足がかりとなる。

 NXP SemiconductorによるFreescale Semiconductor買収、Avago TechnologiesによるBroadcom買収、インテルによるAltera買収と、半導体企業再編が加速する中、AMDが生き残るためには、この新戦略の成否にかかっている。

関連キーワード

AMD | GPU | CPU | APU | 次世代 | Radeon | Carrizo | CEO


前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年07月22日 更新
  1. GoogleがAIモデル「Gemma 4」の大規模改善を発表/Windows 11における既知の不具合を公表 (2026年07月19日)
  2. あの“コトコト音”がさらに進化した65%キーボード「ZEN65」の極上キータッチを試す 真ちゅう製内部構造と約1.5kgの重厚ボディー (2026年07月21日)
  3. 持ち歩きに最適な14型モバイルディスプレイ! サンワサプライ「DP-08」のメリットと“軽すぎるがゆえの注意点”を検証 (2026年07月21日)
  4. ジェンスン・ファンCEO、「セガ」と「T-ZONE」を語る (2026年07月17日)
  5. 企業や業種の垣根を越えるコミュニティ「印刷女子」が提示する、“推し”から始まる新しい価値創造と印刷ビジネスの可能性 (2026年07月20日)
  6. MicrosoftのAIセキュリティ新戦略「Project Perception」とは? 脆弱性を先回りしてふさぐ次世代の防御 (2026年07月21日)
  7. ギガバイトから40周年記念のRTX 5080やX870マザーが登場! Lian-Liの次世代ファンもアキバで話題に (2026年07月20日)
  8. 「そっちに曲がるの?」 タッチスクロール搭載で超小型の折りたたみマウス「Mobi Fold MF900」を試す (2026年07月22日)
  9. 新CPU「Ryzen 7 7700X3D」が登場も悩ましい事情/修理需要で売れる3500円のコードレス精密工具 (2026年07月18日)
  10. Arm版Windows 11は“普通”に使えるのか? 「FMV UQ-L1」で試して分かった快適さと“鬼門” (2026年07月22日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー