今回のサポートポリシー変更は、ほぼ企業ユーザーを対象としていることは明らかだ。多くの一般ユーザーの場合、WindowsがプリインストールされたPCを購入してくるため、最新マシンで旧OSをわざわざ導入しようと考えるケースは少ない。
企業環境では既存の業務システムやアプリケーションの互換性のほか、ユーザー教育で操作環境を統一するために、あえて最新PCを導入しつつも旧OSにダウングレードして利用するケースが少なくない。
Windows 7 ProfessionalとWindows 8.1については、2016年10月31日までプリインストールPCの購入が可能だが、延長サポート期間ギリギリまでダウングレード権を行使してOSのバージョンを従来のままで使い続けようとするユーザーもいるかもしれない。
しかし、2017年7月17日より後に、このダウングレード権がどうなるかについてMicrosoftは言及していない。この18カ月の猶予期間はSkylakeについて言及したものであり、旧システムについてはその限りではないからだ。
ただ現状で、SkylakeがPCのラインアップ全体にまで普及しておらず、アーキテクチャ的には前世代のBroadwell(第5世代Core)やHaswell(第4世代Core)が混在している状況だ。これは恐らく2017年に突入してもある程度継続しているとみられ、Microsoftが一律で権利を縮小するのは難しい状況だろう。そのため、ダウングレード権自体は両OSの延長サポートが終了する、それぞれ2020年と2023年まで継続するとみられる。
※記事初出時、CPUの世代について誤記がありました。おわびして訂正いたします(2016年1月18日10時/PC USER編集部)
こうしたWindowsのサポートポリシー変更は、最近Microsoftが立て続けに打ち出している「Windows 10移行作戦」の一環とみられる。今回のマイヤーソン氏の発言も「Windows 10と最新ハードウェアの組み合わせで性能や機能が大幅に強化される」「企業ユーザーのWindows 10導入スピードやテスト状況は過去最高スピード」といった部分を強調しており、Windows 10への移行を強制しているわけではないが、なるべく多くのユーザーを移行させて早期に巻き取る狙いなのは明らかだ。
これは本連載でも度々触れている「Windows 7が将来的なネックになること」への予防線であり、Windows XPの二の舞になることを防ぐため、2020年の延長サポート終了を待たずして今後1〜2年内にも大多数のユーザーをWindows 10へ誘導することを目標にしているようだ。
2016年全体を通じて、こうしたメッセージが頻繁にMicrosoftから出てくることが予想され、ユーザーと関連ベンダーともに注視しておくべきだろう。
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