マウスのWindows 10 Mobileスマホ「MADOSMA Q601」(試作機)をチェックMobile World Congress 2016

» 2016年03月10日 20時50分 公開
[井上翔ITmedia]

 マウスコンピューター(以下、マウス)は2月22日、同社のWindows 10 Mobile搭載スマートフォンの第2弾となる「MADOSMA Q601」の開発を発表した。初代の「MADOSMA Q501/Q501A」と比較すると、スペックが全体的に向上しており、プロセッサにQualcommの「Snapdragon 617」を採用したことで、Miracastを利用した「Continuum for Phone」にも対応している。

 スペイン・バルセロナで開催された「Mobile World Congress 2016」では、開幕2日目からMicrosoftブースで開発途中の試作機が展示され、注目を集めていた。

Microsoftブースの「MADOSMA Q601」 MWC 2016の2日目(23日)からMicrosoftブースで展示された「MADOSMA Q601」の試作機。「日本から“ハンドキャリー”で持ち込んだ」(マウスコンピューターの平井健裕氏)ものだ

 しかし、上の記事にもあるとおり、MADOSMA Q601は特にアジア地域からの来場客からの人気が高く、落ち着いて試せるような状況ではなかった。そんな中、マウスの製品企画部部長の平井健裕氏が、現地で取材をしている日本人記者向けに同機をじっくり試せる機会を作ってくださった。筆者も平井氏から話をうかがいつつ、MADOSMA Q601をじっくり触ってきたので、その模様をお伝えしたい。

 なお、この記事で登場するMADOSMA Q601は、あくまでも開発の過程で試作した個体で、まだ仕様が確定していない部分もある。製品版として登場するものとはさまざまな面で違いが出る可能性があることをご了承いただきたい。

マウスコンピューターの平井氏 MADOSMA Q601(開発機)を手にするマウスコンピューターの平井氏

 MADOSMA Q601は、ジャパンディスプレイ製の6型フルHD(1080×1920ピクセル)液晶を搭載している。記事掲載日(3月10日)現在、日本で発表されているWindows 10 Mobileスマートフォンとしては画面サイズが最も大きい。4〜5型台の画面を持つスマホと、7型以上の画面を持つタブレットの中間に位置する、いわゆる「ファブレット」と呼ばれるサイズ感だ。筆者の手は比較的大きい方だが、それでもスマホとしては“大きい”と感じる。

 このサイズ感となった理由は2つあるという。1つは、メインの携帯電話・スマートフォンを別に持っている人の「2台持ち」需要を想定したため。ビジネス用途の2台目としてであれば、ビジネス文書などの視認性も高まる大画面も受入れられるであろう、という判断だ。

 もう1つは、海外市場での展開を想定しているためだ。Q601はマウスが企画し、海外のODMメーカーが開発・製造を行っている。しかし、マウス1社だけでは規模を追求できないため、ODMメーカーを介して海外のスマホメーカーがQ601と同仕様のスマホを販売できるようにしたという。特に市場の大きいアジア市場では、日本を除いてファブレットに人気が集まっていおり、そのトレンドを踏まえたサイズ感でもあるのだ。

Q601の正面 ディスプレイは6型フルHD液晶。筆者の手は大きい方だが、それでも「大きい」と感じる

バッテリーは容量を優先して「ユーザー交換不可」に

 MADOSMA Q501/Q501Aでは、バッテリーが取り外し可能で、単品購入もできた。一方、MADOSMA Q601ではリアカバーをユーザーが取り外すことを想定していない。つまり、ユーザーによるバッテリーの交換ができない、ということだ。

 Q601は当初、3300mAhの容量を持つバッテリーを搭載する予定だったという。しかし、よりスタミナを持たせるために3900mAhに容量 を増やした。バッテリーは、容量やサイズが大きくなるほど安全面におけるリスクが増える。そのため、Q601は背面カバーやバッテリーをユーザーが取り外さない前提の設計となっている。

背面 背面パネルはプラスチック製で、サポート時に取り外すことはできるが、ユーザーが取り外すことは想定していない

あえてUSB Type-C端子を搭載した理由

 MADOSMA Q601の外部接続端子はUSB Type-Cだ。伝送規格としてはUSB 2.0に準拠しており、キーボードなどのUSB機器を接続できるUSB On-The-Goにも対応している。また、充電規格としてはQualcommの「Quick Charge 2.0」に対応しており、対応充電器では超急速充電も可能だ。ただし、Q601に同梱するACアダプターは、Quick Charge 2.0非対応のものとなる見通しだ。

 USB Type-C端子を持つPCやスマホは徐々に増えてきてはいるが、本格的に普及しているとはまだ言えない状況だ。筆者も最近になってSB Type-C端子を持つスマホを購入したが、現在広く普及しているMicro USB端子を持つものよりもケーブルや周辺機器が割高で面をくらってしまった。

 そのような状況でも「かなり迷いながらも」(平井氏)あえてType-C端子を採用したのは、給電能力の高さと、世界的に対応機器が増加傾向にあることを踏まえた結果だという。

 マウスではQ601と合わせて使えるアクセサリーを企画中で、その中にはUSBハブなど、USB接続できるものも含まれているという。もしもQ601でMicro USB端子を採用した場合、接続部は必然的にMini Bタイプとなり、「(スマホやタブレットでしか使えない)ニッチすぎる」(同)ものになってしまう。周辺機器をPCと共有することも考えて、これからPCを含めて普及が進むであろうType-C端子を搭載したのだ。

本体下面 本体下面のUSB Type-C端子は、充電能力や市場の状況と今後の周辺機器の展開を考慮して採用
本体上面 本体上面にはイヤフォンマイク端子がある

世界中をカバーする周波数帯とデュアルSIM仕様

 MADOSMA Q601は、モバイル通信の対応規格と周波数帯(Band)が幅広いことも特徴だ。現状で公表されている限りでは、FDD-LTEのBand 1/2/3/4/7/8/19/28Bと、TD-LTEのBand 38/40/41、W-CDMAはBand 1/6/8/19、GSMは850/900/1800/1900MHz帯に対応している。最終的な対応周波数帯は確定しておらず、ハードウェア的にはもっと対応できる帯域があるようだ。いずれにせよ、世界各地でLTE通信ができる周波数帯をカバーするのは間違いなさそうだ。

 Q601は、2枚のMicroSIMを搭載できるデュアルSIM仕様となっている(2枚目はmicroSDと排他利用)。海外渡航時に「1枚目は国内用、2枚目に現地のSIM」を入れるなど、2枚のSIMによる運用も可能だ。ただし、LTE・W-CDMAでの通信は、どちらか片方のSIM カードでのみ可能となっている(もう片方はGSMのみ)ので注意したい。

左側面 左側面にはボリュームキー
右側面 右側面にはMicroSIM/microSDスロットと電源キー

 繰り返しになるが、今回触れたMADOSMA Q601はあくまで「試作した個体」の1つで、製品仕様にはまだ未確定要素がある。ただ、この段階の個体でもタッチ操作の追従性は良好で、十分に快適な操作感を得られた。製品版への期待はますます高まる一方だ。

MADOSMAへの熱い思いを語る平井氏 MADOSMAへの熱い思いを語る平井氏

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