一方で、やはりMicrosoftらしいと感じるのは、NeoとDuoの2つが「来年末の発売」という点だ。いずれも2つの画面を駆使しているが、決して安価ではないだろうこの製品に投資する際の費用対効果を、そのコンセプトやデザインの美しさに見合うものにするには、その特徴を生かしたアプリケーションが生まれてくる環境を用意せねばならない。
ハードウェアを開発するよりも、むしろソフトウェア開発環境の整備と「開発者を巻き込んだ渦を作っていく」ことの方が難しい。
Microsoftはちょうど10年前にコンセプトがリークされていた(しかし発売されなかった)2画面端末「Courier」に取り組んでいたことがあるが、画面構成とユーザーインタフェースは非常に深い関係にある。
単に2画面になる、広くなる、だけではなく、アプリケーションの設計そのものが変わる。ポータブルゲームユーザーなら、任天堂の「ニンテンドーDS」が、いかにゲームデザインに影響を与えるものだったかを考えれば、想像できるのではないだろうか。
発表会を見る限り、Microsoftはこの課題を、「PC寄りのNeo」と「スマートフォン寄りのDuo」の両方に共通する開発フレームワークで乗り越えようとしている。
この2台はOSが異なるたため、当然ながら使えるAPIが異なり、動作するバイナリも異なるが、「ユーザーインタフェース設計」が共通化できるよう、双子のような構成としている。
このハードウェアに加え、OSであるWindowsを超えてマルチプラットフォームで連携して動作をさせる「Microsoft Graph」を組み合わせれば、WindowsとAndoridという異なるプラットフォーム間でも、端末を持ちかえるだけで作業を一貫して行えるようになる。
とはいえ、異なるプラットフォームのアプリケーションに共通のユーザーインタフェースを持たせるのは至難の技だ。
果たして来年末の発売までに、どこまでMicrosoftの挑戦に「面白い」と乗ってきてくれる開発者、パートナー企業が出てくるだろうか。今後、ハードウェアだけではなく、開発者向けツールなども披露されていくことになるだろう。
「まずは、すごいやつを一発見せておいて、まわりを巻き込んでやろう」
すっかり成熟した企業になっていたMicrosoftだが、かつてのやんちゃさを取り戻そうとしているのだろうか。Microsoftはハードウェアが本業ではない。しかし、だからこそ取り組めることもある。そして、もちろん資金力もある。
Surfaceシリーズは、本来のあるべきチャレンジスピリットを取り戻したようだ。
Microsoftが2画面Android端末「Surface Duo」を投入するワケ
Windows 10Xと「Surface Neo」「Suface Duo」の疑問を整理する
2画面2in1「Surface Neo」が2020年末に登場へ 2画面に最適化した新OSを搭載
Microsoftが2画面PC用OS「Windows 10X」を発表 2020年秋にリリース予定
Microsoftが5.6型デュアルスクリーン折りたたみスマホ「Surface Duo」を発表 Androidベースで2020年末に発売予定
新たな「Surface Pro」登場 Intelベースの「7」とArmベースの「X」
「Surface Laptop 3」登場 15型モデルには初のAMDプロセッサ
MicrosoftがSamsungとスマホ連携でタッグ Windows 10 Mobile後の生存戦略
今どきのサブノート探し 「Surface Go」なら満足できる?
「Surface Laptop」は「Windows 10 S」のままで使いたい?Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.