「PCMark 10」は、複数のシナリオを通してPCの総合的な性能をチェックするベンチマークテストアプリだ。今回は、普段使い(WebブラウジングやWeb会議)を想定した「Essentials」、オフィスワーク(ワープロ、表計算、プレゼンテーション)を想定した「Productivity」、写真や動画の編集/書き出しや3Dレンダリングを行う「Digital Content Creation」の3シナリオを順次進行する標準テストを実施した。
まず、バランス設定で計測した結果は以下の通りである。
最適なパフォーマンス設定にすると、これらのスコアはどうなるだろうか。
Essential以外の全スコアにおいて有意な伸びを確認できた。Essentialのスコアは3ポイント低下しているが、誤差の範囲と思われる。
ProductivityとDigital Content Creationの伸びは、CPUとGPUのパフォーマンスをよく引き出した結果だと推察される。電源設定の変更は、普段使いで処理パフォーマンスを引き上げたい際に一応は有用だと思われる。
時間の都合で、今回は2種類のベンチマークテストに絞って比較したが、数値にしてみるとWindowsの電源設定は、思った以上にパフォーマンスを左右しうることが分かったと思う。
この感想のポイントは“数値にしてみると”いう点にある。連続してCPUに高い負荷を掛ける傾向にあるアプリ、具体的には写真や動画の編集アプリは、電源設定を変えることで快適さは増す。差はわずかかもしれないが「塵も積もれば山となる」で、少しの差が連続すると大きな差につながってくる。
一方で、アプリや作業の内容によっては、体感できるほどの快適性の差は生じない。そのことは、PCMark 10におけるEssentialsのスコアが物語っている。普段はバランス設定で使って、CPUに連続して負荷が掛かる作業をする際には最適なパフォーマンス設定に切り替える使い方がベストだと考える。
ThinkPad X1 Carbon Gen 10に限っていうと、最適なパフォーマンスで使う際には本体の冷却設定にも注意を払いたい。このモデルを含め、最近のThinkPadには「インテリジェント・クーリング(Intelligent Cooling)」という仕組みが採用されている。簡単にいうとWindowsの電源設定とユーザーの使い方に合わせて、ファンの回転数制御を自動で行うというものだが、標準設定では騒音と消費電力を抑制するためにファンが“控え目”に回転するようになっている。
もしも最適なパフォーマンスでCPUの“全力”を発揮したいなら、Fnキーを押しながらTキーを押すことで、インテリジェント・クーリングの自動モードを「オフ」にすることをお勧めする。こうすることでCPUに負荷が掛かった際に遠慮なくファンが回るようになり、高いパフォーマンスを持続できる。ただし、その分消費電力が大きくなる他、ファンの音が大きくなるので注意しよう。
レノボ以外のPCメーカーでも、ファン回転の制御などで独自のユーティリティーアプリを使っている可能性がある。パフォーマンスを引き上げたい場合は、メーカー独自の機構も併せてチェックするようにしよう。
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