あくまで筆者の場合ということになるが、他にも利用中ホームポジションから外れてしまうケースが結構ある。例えば、日本語入力切り替えの時には右親指で右Altキー+右中指で「~」キーを押している。原稿推敲時など、入力よりも編集にウェイトがあるときには、右人差し指を「J」キーに置いたホームポジションではなく、カーソル移動を意識するあまりか、右小指をFnキーに置いてしまっていた。
本来、あまりホームポジションから動かさないことを目指しているはずのHHKBレイアウトで、ホームポジションをキープできないのでは上達は難しいかもしれない。
ここは1つ、HHKBの方に歩み寄ってもらおう。
Happy Hacking Keyboard キーマップ変更ツールを使えばキーを入れ替えることができる。ホームポジションから一時的にFnキーを小指押ししたときに、自然にカーソルキーとして押してしまうキーが何かを確認し、再配置することにした。
結果としては、本来のカーソルキーの左隣にも同じ働きのキーを配置する、「このへんを叩けば上に移動する」という非常に雑なキーレイアウトとなったが、劇的に使いやすくなった。
人によって違いがあるが、筆者にとってはHHKBは右小指の使い方が大きなポイントだった。Fnキーを多用することは前から分かっていたものの、カーソルキーのあるHHKB Lite2を使用していた筆者の場合は、ファンクションキー程度にしか利用しておらず、自分がここまで頻繁にカーソル移動キーを使っていたことに驚かされる結果となった。
試用を始めて3週間ほど経ち、キーマップを変更したとは言え、かなり滑らかにタイプができるようになり、誤タイプも少なくなった。一度HHKBに染まってしまえば再び元の配列に戻ることは難しいだろうが、そもそも戻ろうという気も起きなくなるだろう。
だが、それでも問題はないかもしれない。HHKBは持ち運びに便利な小型/軽量ボディーで、その上乾電池駆動でBluetooth接続にもUSB接続にも対応する。変更したキーマップも本体に記憶されるため、どこでも同じフィーリングでタイプすることができる。“他のキーボードを使わなければならない事態”を避けることは十分にできそうだ。
もしHHKB Professional HYBRID Type-Sの3万円以上かかる出費に悩んでいるとしたら、折しもHHKBのレンタルサービスが始まっており、こちらを試す手もある。
HHKBは、キー入力3000万回という高い耐久性も備えている。一生使い続けられるキーボードとして、浮気を許さないキーボードを選ぶのもいいかもしれない。幸福なマリアージュであらんことを。
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