Ryzen 9 7950X3Dは、ベースとなったRyzen 9 7950Xと比べるとTDP(熱設計電力)が低く設定されている。具体的にはRyzen 9 7950XのTDPは170Wであるのに対して、Ryzen 9 7950X3DのTDPは120Wと50Wも低い。単純計算だが、50W低い消費電力でほぼ同じゲーミング性能を発揮できているとしたら、それはそれでスゴいことである。
ということで、最後にRyzen 9 7950X3Dの消費電力を確認してみよう。今回はWindowsにログインした後、10分間放置した状態を「アイドル状態」、3DMarkのTime Spy Extremeを実行している時を「高負荷時」として、それぞれの消費電力をワットチェッカーで計測を行った。結果は以下の通りである。
アイドル時は三者共に大きな差はない。しかし、Ryzen 9 7950X3Dは、高負荷時の消費電力が500Wを切っている。先のベンチマーク結果と合わせて考えると、消費電力当たりの性能は、確かに優秀ということになる。
組み合わせる他のパーツ次第だが、これまでのRyzen 7000Xシリーズや第13世代Coreプロセッサのアンロックモデルと比べるとTDPは低めなので、ハイエンドであってもパーツや構成の自由度が高いといえるだろう。
もっとも、それでもTDPは120Wと低くはないので、超小型ケースに組み込むのはやや厳しいだろうが……。
3D V-CacheテクノロジーでL3キャッシュを144MBも搭載したRyzen 9 7950X3Dは、消費電力の割にパフォーマンスが高いことは確かである。「高いTDPで高クロック」というアプローチではなく「L3キャッシュを増やす」という方法でもパフォーマンスは向上しうると、改めて分かった。ドライバーやゲームアプリのチューニングが進めば、莫大(ばくだい)なL3キャッシュによる高速化効果は十分に得られるだろう。
120WというTDPは決して低くはないものの、大型の水冷ラジエーターを用意せずとも何とかなるかもしれないという点で、自作PCユーザーにとっては有益な選択肢となるはずだ。今後の展開に期待したい。
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