まず、Next GIGAを見据えたプラットフォーマーの動きを“端末”に絞って見ていこう。
学習用端末向けOSにおいて、ChromeOSはトップシェアを誇る。その提供元であるGoogleは、Chromebookをより普及させるべく、「Google for Education GIGA スクールパッケージ」を発表した。
このパッケージは、自社のWebサービス「Google Workspace for Education」、Chromebookの管理用ライセンスに利用状況ダッシュボードサービスを付帯した「Google GIGA License」、これらの運用開始や利活用をサポートする「Google for Education GIGA サポート」を一括して提供する。
Google Workspace for Education自体は、全世界の教育機関向けに提供されている。だが、名前からも察しの通り、Google GIGA LicenseとGoogle for Education GIGA サポートは日本独自の取り組みだ。
また、ChromeOS(Chromebook)の起動の速さとアップデートのしやすさ、CBT(Computer-based Test:コンピュータ上で行う試験)への対応のしやすさ、そして「ChromeOS Flex」による既存PCの移行など、既にWindows PCを導入している自治体を意識したアピールに余念がない。
ChromeOSに次ぐシェアを獲得しているWindowsだが、先のGoogleのアピールにもある通り「起動が遅い」「アップデートに時間が掛かる」という大きな問題を抱えている。事実、端末のリプレースを早く開始した自治体の中には、これらのデメリットを重く見てChromebook(とChromeOS Flex)に移行したという所もある。
そのことを意識してか、日本マイクロソフトは端末の要件が変更されたことで、Next GIGA端末ではこれらのデメリットを解消できるとアピールしている。
前編でも触れた通り、Windowsを搭載する学習用端末では、新規導入分から原則として必要メモリが4GBから8GBに“倍増”された。搭載されるストレージの容量は64GB以上ということで変わりないが、時間の経過を受けて速度的に問題のないUFSまたはSSDを採用するモデルも出てきているので、初代GIGAスクール向け端末のような“重さ”からは解放されそうだ。
問題は端末の価格だが、日本マイクロソフトが「GIGA Advanced パソコン」と呼ぶ8GBメモリ/64GBストレージの構成でも、補助の基準上限額である「5万5000円」に収まるモデルを複数用意しているという。
一応、Webブラウザでの作業を前提とする自治体に向けた「GIGA Basic パソコン」(4GBメモリ/64GBストレージ)も用意されてはいるものの、この使い方ではWindowsであるメリットが薄い(≒ChromeOSでも差し支えない)ため、基本的にはGIGA Advanced パソコンを推奨していく流れになるものと思われる。
iPadを擁するAppleは、Googleや日本マイクロソフトとは異なり、Next GIGAに向けた働きかけを“直接的に”行うことは少ない。EDIX東京 2024でも自社ブースは出展せず、パートナー企業がブースを構えた……のだが、同社のリズ・アンダーソン氏(教育マーケティング部門 ディレクター)が来日し、基調講演を行っている(参考記事)。
また、iPad(第10世代)を価格改定するなど、今後も学習用端末としてiPadを導入しやすくなる取り組みを行っている。
代理店では、先代の「iPad(第9世代)」か現行のiPad(第10世代)に、Next GIGAの要件を満たすためのキーボードやペン(Apple Pencilなど)を追加しても補助金の基準上限額に収まる購入プランを用意している。
価格はやや高いものの、操作のしやすさ/分かりやすさや、教育に対する効果が高い――このような切り口で、Appleは教育市場に切り込んでいくことになりそうだ。
ここまではプラットフォーマーの動きを見てきたが、Windows PCやChromebookを販売するメーカーの動きもチェックしてみよう。
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