常時待受の専用PHS内蔵、富士通製PCに世界初の盗難対策ソリューション搭載へ(2/2 ページ)

» 2009年05月07日 19時31分 公開
[岩城俊介,ITmedia]
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PCメーカーと通信キャリアが考察した「持ち運ばれないモバイルPCは何のためにある」

 2009年5月現在、パフォーマンスや携帯性、省電力といったノートPCの機能進化とともに、無線LANスポットやHSPAといった通信サービスの普及とともにモバイルWiMAXやWILLCOM CORE XGP、LTEなど次世代の通信インフラの普及も控え、場所にとらわれず効率的に業務を遂行できる環境が整いつつある。

 対して、個人情報保護法(2005年4月)の施行を機にPCの業務利用におけるリスク意識が高まり、業務用PCの持ち出しを制限する対策をとる企業が増えた。この結果、情報漏えい事故の原因の上位約5割が紛失や盗難であった2006年度に対し、2008年度上半期は約3割に低減し、上位の原因は誤操作や管理ミスに入れ替わった。減少した数値は企業対策の成果の表れだが「要は持ち出せなくなったため」という考え方もでき、かつ、いまだ紛失や盗難が情報漏えいの大きな要因であるのは変わらない。企業の情報セキュリティ部門はリスクを考えると、今後もPC持ち出しの制限をより高めていくと予想される。

photophoto 企業のセキュリティ意識が向上したことにより情報漏えいの原因はやや変化しているが、「リスク回避のため、PCの持ち出しを制限」する施策は、ユーザーの利便性や業務セキュリティをうまく両立しにくい現状もある

 この現状を、富士通 経営執行役パーソナルビジネス本部の五十嵐一浩本部長は「端末やインフラは高度に整いつつあり、企業の情報漏えいの意識も高まっている。ただ、リスク回避のために多くの企業がPCの持ち出しを制限する現状から、ビジネスパーソンの業務効率は逆に低下傾向にある。また、これまでのPCは“認証により情報へのアクセスを困難”にする技術を中心に発展していた経緯があり、PC紛失や盗難時の情報漏えいに対しては十分に対処できず、よい対策もなかった」と振り返る。今回のソリューションは、このジレンマを常時接続するウィルコムの専用通信端末と、電源オフ時も自動起動して制御できる技術を組み合わせることで打破し、法人向けPC市場のさらなるシェア拡大を図る考えだ。

photo 「ARPUはそれほど高くはないが、企業の大量導入などで数はかなり多くなると予想する。WILLCOM CORE XGPでモバイルブロードバンドを推進していくウィルコムだからこそ、ナローバンドの事業も重要と考える」(ウィルコム 取締役執行役員の土橋匡副社長)

 ウィルコムも、飽和しつつあると言われる国内の携帯電話・PHS契約者において、複数台契約やビジネス向け端末以外に販路を拡充できる新たな手段を開拓した。また、2000年にウィルコム(当時DDIポケット)が富士通と開発したH"IN搭載の「FMV-BIBLO LOOX」(関連リンク参照)を皮切りに、H"INモジュールがいくつかの他社製PCにも採用された例があるように、(富士通との協議にもよるが)このモジュールは他社製法人向けPCへの採用も大いに見込まれる。「(このソリューションは)ARPUはそれほど高くはないが、企業の大量導入などで数はかなり多くなると予想される。MVNO事業として、ウィルコムにとっても大きい収益源となると期待している」(ウィルコム 取締役執行役員の土橋匡副社長)。

 イー・モバイルの契約とセットで購入する、いわゆる「100円PC」やノートPCのワイヤレスWAN搭載モデルのほか、インテルなどが推進するモバイルWiMAXを内蔵するPCも登場する予定であり、PCとモバイル通信分野は今後、より融合が進むと予想される。「企業のリスク意識や対策は当然向上させつつ、現場のビジネスパーソンの要望にも応えたい。これが企業の競争力を高めることになると信じているし、PCベンダーの責務でもある。情報漏えいのリスク回避のためにノートPCを持ち出さない──ではなく、持ち出したPCから情報を漏えいさせないソリューションをベンダーとして積極展開し、モバイルPCはやはりモバイルの世界で便利に使えるのが自然だと思っている」(五十嵐本部長)


photophoto 持ち出さないではなく「漏えいさせない」対策を積極推進し、ノートPCを再びモバイルの世界へ──と法人向けPC市場の需要喚起を図る
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