Windows phoneの法人利用で「大きなコスト削減見込める」――マイクロソフト 越川氏

» 2009年11月27日 19時39分 公開
[山田祐介,ITmedia]
photo マイクロソフト コンシューマー&オンラインマーケティング統括本部 モバイルコミュニケーション本部 本部長の越川慎司氏

 バージョン6.5の登場に合わせ、「Windows phone」という新たなブランドを掲げてスマートフォン市場でのシェア拡大を目指すマイクロソフトのWindows Mobile。進化したユーザーインタフェース(UI)やフルブラウザに加え、クラウド対応の利便性を積極的にアピールし、法人分野でもさまざまな導入事例が生まれようとしている。

 11月27日に開催されたモバイルソリューションの展示会「MCPC モバイルソリューションフェア2009」で、マイクロソフトのモバイルコミュニケーション本部長 越川慎司氏が、デモンストレーションを交えながらビジネスシーンでのWindows phoneの強みや、法人の導入事例を紹介した。

 「CEATEC JAPAN 2009」での講演をはじめ、越川氏はWindows Mobile 6.5の進化ポイントとして3つの特徴を強調してきた。1つ目は、スタイラスペンだけでなく指で操作しても使いやすいように、アイコンを大きくするなどの改善を図ったUI。2つ目は「もっさり」と表現されることも多かったOSの動作を「サックサク」(越川氏)と呼べるまで高速化したこと。そして3つ目はクラウドサービスとの連携だ。

photophotophoto 進化したインタフェースや、マルチメディアに対応したフルブラウザ、強化されたクラウド連携機能などが備わっている
photo 指の操作に追従して画面が素早くスクロールしていた

 こうしたポイントを、越川氏は実機を使ったデモンストレーションの中で披露した。まずはタッチUIの改善を、フリック操作でメニューを素早くスクロールできることや、片手でもアイコンを簡単に選択できることでアピール。iPhoneのタッチパネルがマルチタッチに対応する静電容量式なのに対し、Windows phoneではマルチタッチに対応しない感圧式を採用しているが、越川氏は「感圧式は、仕事で指が汚れていたりしても、爪で画面を汚さずに操作できる。また、女性にとっても爪で操作できることはメリットになる」と利点を挙げる。

 FlashやSilverlightの再生にも対応し、「モバイル向けのネイティブのフルブラウザとして、PCサイトの再現性は最強」と越川氏が自信を見せる「Internet Explorer Mobile」は、「ディスプレイのサイズや解像度が違っても、見たいものを見たい大きさで見られる機能を持っている」(越川氏)という。デモでは、サイトを立ち上げるとまず全体が表示され、そこから拡大/縮小のスライダーを指でなぞることで、見たい大きさに調整できる様子が示された。「企業システムをWebで構築している場合でも、Flashなどの再生を含めてIE Mobileを利用できる」(越川氏)

photophoto 「+」側と「−」側のあるスライダーを操作して、画面を拡大/縮小できる(写真=左)。Flashの部分も表示される(写真=右)

 クラウドサービスに関しては、メールや写真、アドレス帳などの各種情報をバックアップしたり、PCとファイルを共有したりできる無料オンラインストレージ「My Phone」の活用例として、講演に使ったPowerPointの資料をPCからMy Phoneのストレージ領域にアップし、外出先でもWindows phoneからファイルに目を通せることを見せた。

 また越川氏は、ベータ版の提供を開始した「Office Mobile 2010」にも言及。Office Mobile 2010には、来春にリリースされる予定の「SharePoint Server 2010」にアクセスできるクライアントソフト「SharePoint Workspace 2010」が搭載され、これらのソリューションを使えば「わざわざPCでVPNを使わずとも、モバイル端末からhttpsで社内のドキュメントなどを安全に見ることができ、さらにモバイル上で内容の編集もできる」(越川氏)という。

 さらに、メールの使いやすさやセキュリティ面も越川氏が訴求するポイントだ。ホーム画面にある「電子メール」の項目では、左右のフリックで複数のメールサービスを切り替えられるほか、Outlookではアドレス帳と連携し、新着メールの差出人や件名に加え、顔写真といった情報を画面が遷移する前に確認できる。また、Exchange Serverで暗号化されたメールを、コピーや転送などができない安全な状態で閲覧することも可能だ。会社のスタッフのプレゼンスが確認できる「Communicator Mobile」を活用して、“オフライン”“会議中”“連絡可能”といった相手の状態に合わせて、メールや電話などの連絡手段を選べることもデモで示し、業務のコミュニケーションをサポートする機能が充実していることを強調した。

photophoto Outlookではホーム画面からメールの件名や差出人の情報が閲覧できるほか、暗号化されたメールも安全に閲覧できる

 このような特徴を持つWindows phoneを導入すると、どんなメリットが生まれるのか――。越川氏は、「生産性の向上」「強固なセキュリティ」「コスト削減」という3つの側面を挙げる。特にコスト削減の面で、越川氏は大きな強みがあると見ているようだ。例えば、アプリケーションの開発においては、Visual Studioを使った低コストな開発ができると同氏は話す。機種ごとにアプリを作り替える必要もなく、Visual Studioで開発したPC向けソフトを簡単にWindows phone向けに変更できるという。

photophoto Visual Studioのノウハウや資産をそのまま流用できる

 さらに、バーコードリーダーやプリンタとの連携機能などを備えた低コストな“業務端末”として、Windows phoneを利用できる点も大きくアピールした。「20万〜30万円といった費用がかかる通常の業務端末をWindows phoneにまとめていただければ、3〜5万円で済むことになり、大幅なコストダウンになる」と越川氏は話し、小売店や流通業者の業務端末としての需要を開拓していく姿勢を見せた。

 実際の導入例として、「日本のスマートフォンの法人導入事例としては、おそらく最大級」(越川氏)という佐川急便の事例も紹介された。佐川急便では配達員の業務端末として2万4000台のWindows phoneを来年から導入する。富士通が開発したドコモ向けのバーコードリーダー付き法人端末を採用することで、業務端末を4台から2台に削減できたという。また、通信機能をWindows phoneに集約することで、通信費の削減にもつながっているようだ。

photophoto 佐川急便の導入事例(写真=左)と、参考展示されていた富士通製のバーコードリーダー付きWindows phone(写真=右)

 そのほかにも越川氏はニコンや大日本印刷の事例を紹介。ニコンではExchangeやSharePoint、Office Communications Serverなどと連携することで、社内コミュニケーションに必要な時間を約10〜22%削減できたと同氏は語る。また大日本印刷では、ルーヴル美術館とともに取り組んでいる拡張現実(AR)などを使ったWindows PC向けのガイダンスアプリを、低コストにWindows phoneに移行できたという。


 講演では、既存のノウハウを生かせるアプリケーションの開発環境や、ワールドワイドに普及している同社のソリューションとスムーズに連携できるといった“ハードルの低さ”に大きくスポットが当てられた。マイクロソフトは今後も、同社製品との親和性の高さを武器に、幅広い分野でWindows phoneを普及させていきたい考えだ。

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