ケーブルレスの“身軽なプレゼン”をiPadで――カシオのプロジェクター「XJ-M155」を試す

» 2011年10月06日 11時00分 公開
[日高彰,ITmedia]
Photo ワイヤレスプレゼン機能「MobiShow」に対応するカシオ計算機のプロジェクター「XJ-M155」

 カシオ計算機の「XJ-M155」は、iPhoneやiPad、Androidスマートフォン/タブレットをワイヤレスで接続できる「MobiShow」機能に対応するプロジェクター。端末とプロジェクターをいちいちケーブルで接続することなく、無線LANを通じてプレゼンデータを投映でき、ページ送りなどの操作も端末から行えるのが特徴だ。

 ただ、いくらスマートデバイスとの連携が可能になったといっても、設定が面倒だったり、使いづらかったりするのでは意味がない。本レビューでは、MobiShow機能を使うためにはどんな準備が必要なのか、簡単に接続できるのか、ケーブルフリーのスマートデバイスでプレゼンテーションはどう変わるのか――といった点を検証した。

AndroidやWindows Mobileにも対応

Photo Android版画面

 スマートデバイスとのワイヤレス接続を実現するMobiShow機能は、iOS端末だけでなく、Android OSを搭載したスマートフォンやタブレット端末、Windows Mobile 6.1を搭載したスマートフォンにも対応。Android版は、MobiShowアプリ上にプレゼン資料のサムネイルが表示され、Windows Mobile版は、スマートフォンの画面をそのまま投映できる。


“iPad 2とプロジェクター”でプレゼンを行うまで

 まずはPowerPointの資料を、プレゼン用デバイスとして人気が高いiPad(iPad 2)からXJ-M155を通じて投映するまでの流れを追ってみることにしよう。

 MobiShowを利用したプレゼンの前に準備しておくのは以下3点である。

  1. iPadにMobiShowアプリをインストールし、無線LANの設定を行う
  2. 投映するPowerPointファイルを、PC上でMobiShow用のフォーマットに変換する
  3. iTunesを利用して、2で作成したファイルをiPadへ転送する

 アプリはApp Store上で無償配布されているものをダウンロードする。Android端末を使う場合は、Androidマーケットからインストールすればいい。

 無線LANの設定は、プロジェクターと端末の両方に施す必要がある。

 まず、XJ-M155の無線LANはUSBアダプタの形で実装されているので、プロジェクターの電源を入れてアダプタを装着する。アダプタが認識されるとメニュー画面の「USB」にワイヤレス接続の項目が表れるので、ここで設定を初期状態の「ワイヤレス接続」(PC用のワイヤレス接続機能)から「MobiShow接続」へと変更する。

 iPad側は、Wi-Fiをオンにするとプロジェクターがアクセスポイントとして表示されるので、これに接続すればいい。パスワードは固定で、説明書に記載されているものを入力する。

Photo プロジェクターにUSB対応のWi-Fiアダプタを装着
Photo プロジェクターのメニュー項目「USB」からワイヤレス接続の設定を行えるので(画面=左)、接続をMobiShowに切り替える(画面=右)。近くで複数のプロジェクターを使えるよう1〜3が用意され、どの番号でも利用できる

Photo iPadとプロジェクター(ここではcasiolpj_mobishow1)を接続

 接続までの設定がやや面倒に思えるかもしれないが、ここまでの準備作業は最初の1回だけ行えばいい。

 次に用意するのは、MobiShow対応のPowerPointデータだ。PowerPointのデータ(*.ppt/*.pptx)はそのまま投映することはできないので、MobiShowアプリ用のフォーマットに変換する必要がある。変換といっても、プロジェクターに同梱されるPC向けソフト「EZ-Converter FA」にファイルをドラッグ&ドロップするだけなので難しいことはない。変換が終わると「*.ptg」形式のファイルが作成されるので、これをiTunesのファイル共有機能でiPadに転送すればいい。なお、Android端末の場合は、microSDカードやBluetooth経由など、任意の方法で端末側に保存できる。

Photo EZ-Converter FAにPowerPointのデータをドラッグ&ドロップすると、MobiShow向けデータに変換できる
Photo iTunes経由で投映したいプレゼンデータをiPadに転送する

“Wi-Fiオン”で簡単接続、アクティブなプレゼンが可能に

 準備作業を終えたらプロジェクターの電源を入れ、iPadのWi-Fiをオンにする。ここでiPadのMobiShowアプリを起動すると、接続先のプロジェクター名が表示されるので、それを選択し、利用するPowerPointファイルをタップすればプロジェクターを通じてスライドが投映される。MobiShowアプリの起動から画面の投影までにかかる時間は10秒を切るくらいだ。

 スライドの投映が始まると、手元のiPadをコントローラーとして使えるようになり、短い矢印でページの移動、長い矢印でアニメーションのコントロールが行える。データを独自形式に変換することによるデザインの再現性が気にかかったが、試した限りでは気になるレイアウトの崩れはなく、アニメーションも正しく再生された。

Photo プレゼンを始める際にはiPadアプリ「MobiShow」を起動し、接続先のプロジェクターを選ぶ(画面=左)。利用するプレゼン資料を選択すると、データが投映される(画面=中)。プレゼン資料の操作もiPadから行える(画面=右)。短い矢印はページ送り、長い矢印はアニメーション表示に対応する
Photo スマートデバイス+プロジェクターはプレゼンスタイルも

 iPadとXJ-M155を連携させたワイヤレスプレゼンは利便性の向上にとどまらず、新たなプレゼンスタイルにつながっているのも面白い。

 ノートPCを使ったプレゼンテーションは、会議室の説明会ならプロジェクターの近くの席から、ホールでのセミナーであれば前方横の演台から行うのが一般的だ。しかし、iPadやスマートフォンを使う場合は、スクリーンの横に立って重要なポイントを指し示しながらプレゼンを行えるようになる。こうしたアクティブなプレゼンは聞き手の注意を引きつけやすく、ビジネスを進める上での強力な武器になりそうだ。

 無線LAN接続によるプレゼンは、重くてかさばるノートPCよりスマートフォンやタブレット端末で利用するほうが相性がいい。社内会議でプレゼンをする場合にも、いちいちケーブルを差し替えることなく、次々と担当者がスマートデバイスでプレゼンを行った方が手間がかからずスマートだ。

 これまで、“搭載されてはいるものの、あまり使われてこなかった”無線LAN接続機能だが、スマートデバイスの普及で“使われる機能”に転じる可能性は高そうだ。

主なスペック
型番 XJ-M155
サイズ 311×84×244ミリ
重さ 3.9キロ
光源 ハイブリッド光源(レーザーとLEDを採用)
明るさ 3000ルーメン
コントラスト比 1800:1
台形補正 上30°(自動) 上下30°(手動)
焦点調節 手動フォーカス
投映レンズ 光学1.5倍ズームレンズ(手動)
投映画面サイズ 30型〜300型
投映距離 60型投映時:2.0m〜3.0m、100型投映時:3.4m〜4.9m 最短投映距離:1.0m
投映方式 DLP方式
色再現性 1677万色
無線対応 IEEE 802.11b/g(無線モジュール同梱、本体背面のUSB端子に装着)MobiShow対応
電源 AC100V、50/60Hz
消費電力 動作電力:150W(エコモード「エコ1」時)、190W(エコオフモード「ブライト」時)/待機電力:0.4W(ネットワーク有効時を除く)

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