面倒くさがり屋がToDo管理10の失敗の果てにたどりついた「Gmail Tasks」への道最強フレームワーカーへの道(2/2 ページ)

» 2009年09月15日 15時00分 公開
[永田豊志,Business Media 誠]
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いやでも見えるところに存在し、どこにいても、いつでも見えてしまう化

 メールを活用する9は結構いい方法だ。私は会社のメールもGmail一元管理しているが、件名に「ToDo」とか入れておいて、フィルタをかけておけば、ラベルで管理できる。完了していないタスクは「未読」にし、重要なものは「スター」をつけるなどしておけば、いつでもどこでもチェックできるのだ。10もチェックはたやすいが、携帯は入力が面倒なので更新が容易ではなかった。

 ということで、9のメール画面でToDo管理をするというのが私にとってとても理にかなった方法ということが分かった。1日のうちで最も開いている画面であるし、移動中もiPhoneでメールはチェックするから見落とすこともない。

 ToDo管理は、タスクの「見える化」。ただし「見える化」が単なるビジュアルで管理できることだと勘違いしている人も多い。「業務の進捗がガントチャートで表示されるようになりました」は見える化のようで、実は違う。本当の「見える化」とは、「いやでも、どこにいても、いつでも、見えてしまう化」でなければならない。人間は心理的に弱い。わざわざやりたくないこと、大変なことからは目を遠ざけてしまう。だからこそ、業務の見える化もタスクの見える化も「いやでも見えるところに存在し、どこにいても、いつでも見えてしまう化」が必要である。

なまけ者で面倒くさがり屋がたどりついた「Gmail Tasks」

1日に何度となくチェックするメール画面にポップアップ表示するGmail Tasks」。いやでも目に入り、メールと連動させたタスクを気軽に追加できるのが特徴。フル表示も非表示も可能でiGoogleや携帯版Gmailの画面でも同じリストをチェックできるのだ

 で、結局どうなったのか? 「9に落ち着きました……」と言いたいところだが、そうではない。先ほどのやり方でToDoを一覧化するには、「ToDo」ラベルをクリックしなければならない。能動的な1クリックが必要なのだ。「たかが、1クリック」と思ってはいけない。人間の「面倒くさい」という心理的壁を超えて管理できなければ、たとえ1クリックとは言え、絶対に習慣化しない。

 そんな事を考えていた2008年の年末、Gmailのガジェットとして「Tasks」が始まった。

 結局、現在はこのGmail TasksのToDo管理機能に落ち着いている。メール自体で管理するのではなく、メールの横にいつもポップアップで一覧が出ている状態だ。なので、「いやでも、どこにいても、いつでも、見えてしまう化」を達成している。メールで受け取った依頼の文面がそのままタスクとなることもあるが、ドラッグ一発でメールからToDoへ追加できるのもいい。機能はシンプルで限られているが、今のところ問題ない。

 同じリストをGmailでも、iGoogleでも、携帯版のサービスでも、iPhone向けのサービスでも共有できる。オフラインでの更新ができないのがネックではあるが、アクセスするためのタイムラグはそれほど気にならない。それよりも、あらゆるシーンでToDo管理が可能であることの意義は大きい。

1週間後に「見向きもしない」ではしようがない

 いろいろな難くせをつけてしまったが、ほかのツールや手法がイマイチといっても、付せんやソフトそのものがイマイチだったわけではなく、人間心理に照らし合わせた場合に「習慣化しない」という問題である。少なくとも私にとっては。

 ToDo管理はその目的上、習慣化しないとまったく意味をなさない。ぱっと見、管理できている自分が「かっこいい」と思えても、1週間後には「付せんやToDoリストに見向きもしない」のではしようがない。機能の数も関係ない。なまけ者、面倒くさがり屋の自分でも、毎日確実に管理、更新できる手法、それが本当に手になじむツールとなるべきだ。

 習慣化しないと意味を成さないのはToDo管理ツールだけではない。勉強、情報収集、思考フレームワーク、体力作り、ダイエット――あらゆる活動は習慣化できるかどうかがキーファクター。皆がやっているからやるのではなく、本当に自分でやり続けられる方法を探してみてほしい。

著者紹介 永田豊志(ながた・とよし)

 知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。

 リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。

 近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)がある。

連絡先: nagata@showcase-tv.com

Webサイト: www.showcase-tv.com


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