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» 2010年06月16日 07時50分 UPDATE

クラウド・ビフォーアフター:結局SaaS、PaaS、HaaSって何さ?

クラウドというキーワードが包含する技術的要素が多岐にわたっていることが「雲をつかむような話」になっている理由。まずはSaaS、PaaS、Haas/IaaSについて、解説しましょう。

[岡田大助,Business Media 誠]

 前回は、クラウドコンピューティングが注目される理由として、「コスト」「柔軟性」「敏捷性」をキーワードとして挙げました。どれか1つが欠けていたとしたら、クラウドがここまで受け入れられることはなかったかもしれません。

 今回は、クラウドの使い方に応じて分類されるSaaS、PaaS、Haas/IaaSについて、少し詳しくお話します。クラウドサービス利用者にとって、この分類を技術的に理解する必要はないかもしれません。しかし、クラウドというキーワードが包含する技術的要素が多岐にわたっていることが、まさにクラウドをして雲をつかむような話にしているのです。

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 改めてクラウドについて、おさらいしておきましょう。クラウドコンピューティングとは、インターネットを使って、ハードウェア、ソフトウェア、あるいはデータそのものといったITリソース(資源)を必要なときに、必要な分だけ利用するものです。リソースを外部から調達するという視点で考えれば、アウトソーシングの1形態として考えてもいいかもしれません。

似たようなキーワードにクラウドソーシングがあります。不特定多数の人々に業務を外注する形態を意味しますが、これはCrowdsourcingとつづります。雲(Cloud)ではなく群集(Crowd)ですので、混同しないようにしましょう。

 クラウドコンピューティングについて厳密な定義を知りたいのであれば、米国立標準技術研究所(NIST)の定義を参照するのをおすすめします。これはクラウドを取り巻く技術的な進歩に応じて更新し続けており、国内でも総務省や地方自治体、クラウドに関わるIT企業などが参考にしています。検索すると対訳を公開しているブログなども見つかることでしょう。

SaaS――Software as a Service/サービスとしてのソフトウェア

 SaaSは、クラウドの代表選手ともいうべき利用形態。読み方は「サース」(語尾をズと濁らせない)です。課金方法は月額固定、ユーザーID単位、利用時間単位と組み合わせによってさまざまですが、利用した分だけ料金を支払うのが一般的です。また、基本機能を無料で提供し、拡張機能で課金する“フリー”モデルも存在します。

 SaaSは、アプリケーション提供ベンダーが用意する専用のURLへアクセスし、アプリケーションをインストールすることなくWebブラウザから操作するものです。PCにソフトウェアをインストールする従来型アプリケーションを提供しているベンダーも、次々とSaaS型へのアップデートを実施しています。

 ユーザー画面では、アドビの「Flash」やマイクロソフトの「Silverlight」、Ajax(JavaScriptの一種)といったリッチクライアント技術を駆使し、Webブラウザからの利用であっても従来型ソフトウェアのような使い勝手を実現しました。

 Webメールやグループウェア、社内SNS(ソーシャルネットワークサービス)などのコミュニケーションツールとの親和性が高いSaaSですが、CRM(顧客関係管理)やERP(勤怠管理や給与計算の業務パッケージ)、EDI(電子データ交換)といった業務アプリケーションも続々とSaaS化されています。

 SaaSに関して多く寄せられる質問に、「ASPとは何が違うのか」というものがあります。ASP(Application Service Provider)は、業務アプリケーションをネットワーク経由で提供する事業者ないしサービスのことを指し、SaaSの定義とほとんど変わりません。つまり、両者には技術的な違いはありますが、本質においては同じものと考えてしまってかまいません。

PaaS――Platform as a Service/サービスとしてのプラットフォーム

 クラウドコンピューティング環境において、PCのOSにあたるものがPaaS(パース)です。提供するのは、ソフトウェアを稼働させるための開発・実行環境です。

 SaaSでは、ユーザーごとに柔軟なカスタマイズが可能とはいえ、SaaSベンダーから提供されるアプリケーションをサービスとして利用しました。SaaS化されるアプリケーションは、多くのユーザーが使いたいと思うものであって、特定の企業だけが使うようなニッチなものは用意されない可能性があります。

 PaaSでは、自社で開発したアプリケーションを稼働するための場を提供します。新規で開発したり、自社のデータセンターで稼働していたりしたWebアプリケーションをPaaS上に展開できます。また、開発中のWebアプリケーションのテスト環境や、プロトタイプの公開プラットフォームとしても利用されています。

 PaaSは、SaaSの代表的な企業であるsalesforce.com(セールスフォースドットコム)が提唱したサービス形態です。代表的なサービスとして、salesforce.comの「Force.com」、Googleの「Google App Engine」などが挙げられます。

IaaS――Infrastructure as a Service/サービスとしてのインフラストラクチャー

 IaaS(イアース)は、仮想マシンやネットワークといったITインフラをサービスとして提供するもので、PaaSの発展系ともいわれています。登場当初は、HaaS(Hardware as a Service)といわれていましたが、物理的なハードウェアの時間貸しサービスから、仮想的に構築されたIT基盤そのもの(サーバやデータセンター)を提供するものへと進化しました。

 国内では、クラウド型ホスティングという形のサーバレンタル事業者が登場しています。従来のように、データセンターという“場所”を借りて、物理的なサーバを運用する形から、仮想サーバによるサーバ統合を進めて総所有コスト(TCO)を下げつつ、事業規模に応じてIT基盤を増減させることがトレンドになりつつあります。

 次回は、クラウドコンピューティングの弱点について取り上げます。

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