こうやってAppleとパーク24の変化をマッピングして考えてみると、いろいろな共通点が思い付きます。
AppleはiPodを売っていましたし、パーク24は駐車場機器を売っていました。主な収益は販売代金だったことでしょう。
AppleがiTunes Storeを始めたことによって、85円のアプリから10万円以上するMacまで扱う商材の価格帯は広くなりました。同様にパーク24も、高価な業務用機器だけでなく、数百円の駐車料、数千円のカーシェア料金という収益の流れを作っています。
初代iPodは、Mac専用でWindowsにも対応していませんし、ましてや、PCなしの運用などできませんでした。それがWindowsに対応し、さらに今のiPhoneではPCすらいりません。ターゲットとする層は、もはやコアなAppleファンだけではなくなりました。
パーク24も、最初は駐車場オーナーが顧客層で、いわゆるB2Bという分野です。それが駐車場を手にすることでB2Cに、さらにレンタカー会社を手にすることで、駐車場どころか、車を持たない層にまで自社のサービスを提供するようになりました。
Appleは、クールなデザインのハードウェアに、iTunesのようなソフトウェア、さらに使いやすく、品揃えのいい販売プラットフォームを組み合わせることによって、端末販売代金だけでなくコンテンツの料金、広告収入など収益の流れを複数化しています。
同じように、パーク24も使いやすい駐車場機器と、アクセスがよく、数の多い駐車場、そしてそこに停まっている車という価値を組み合わせて、収益の流れを増やしています。
もちろん、似ていない面も多々あります。例えば、ビジネス拡大の基礎をどこに置くかという点です。Appleは、初期は機器メーカーでありながら「ポケットに1000曲」「すぐに音楽が買える」など、どんなサービスを提供するかという「価値提案」から全体を構築しているように見えます。
一方で、パーク24は駐車場機器を売るお客さんである、駐車場オーナーに自らなり、さらにその顧客である「車」も取り込む、という、自らの「リソース」をベースにしてさらに大きいサイズになるように変わっていく、というプロセスが見て取れます。
企業として、どこを起点に置いてビジネスモデルを作っていくか、という点が重要である点はこの本でも強調していて、出発点をベースに「価値主導」「顧客主導」「リソース主導」「コスト主導」に分類しています。
ここでは、本の内容の一部を切り出して、興味のある企業に当てはめてみて遊んでみました。会議室で「うーん」とうなって考えるより、ランチでも食べながらホワイトボードや付せんを使って、ブレインストーミングをすると、面白いのではないでしょうか。『ビジネスモデル・ジェネレーション』、興味のある人は、ぜひ読んでみてくださいね。
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