2004年の携帯業界はどうなる?

» 2004年01月08日 23時22分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 2004年の携帯業界はどうなるのか。久しぶりに激動の1年になる──そう予想する関係者は多い。

 理由は大きく2つ。各社が第3世代携帯電話(3G)の本格的普及の年と位置づけている点と、KDDIがスタートしたパケット定額制プランが業界に及ぼすインパクトにある。

 そして3Gの進展具合と定額制プランの行方は、ドコモとボーダフォンが、好調KDDIに“待った”をかけられるかどうかをも意味している。

今年こそ羽ばたく、第3世代携帯電話

 2004年はドコモとボーダフォンが本腰を入れることで、3Gが全面的に普及し始める年となるだろう。

 ドコモは1月末を皮切りに新FOMA「900iシリーズ」5機種の投入を始め(特集参照)、3月には200万契約まで持っていく。2004年度は、春に派生モデル2機種(2003年12月の記事参照)、下期にもFOMAの新シリーズを投入する予定だ。立川敬二社長は「2006年頃には半分がFOMAになる」と話しており(2003年12月の記事参照)、続く2年間で2000万台以上をFOMAに置き換えていく計画だ。

 ボーダフォンは10月までに「J-スカイとWAP両対応の6機種を出していく」(グリーン社長)予定(2003年10月の記事参照)。当初2003年12月発売と話していたシャープ製端末「V801SH」、海外でも販売されるノキア製端末「Nokia7600」などが近々に登場すると思われる(2003年11月の記事参照)。3Gの契約者数目標は「できるだけ早く100万に」とするに留めているが、グリーン社長は「今年のモットーは『有言実行』。今までに目標として掲げてきたことを実行する一年にしたい」と年頭挨拶で話しており、今後の“実行”が期待される。

 ドコモとボーダフォンが2004年を3G普及の年と位置づけているのに対し、全体の70%が3GのCDMA2000 1xに置き換わったKDDIは(2003年12月の記事参照)、今後追われる立場になる。

KDDIはリードをどこまで守れるか

 2004年、FOMAやVGSがどこまで契約者数を伸ばせるかは分からない。しかし3G同士の戦いとなれば、KDDIのこれまでの優位性は薄れる可能性もある。

 KDDIが2003年に伸びた理由はいくつか考えられる。大ヒットした「着うた」もそのひとつ。しかし各社3Gへの移行と共に「着うた」サービスを開始しており(2003年11月の記事参照)、KDDIのアドバンテージとはいえなくなる。

 斬新なカラーリングやデザイン重視の端末「INFOBAR」など、端末商品力もKDDIの強みだが、2004年もトレンドリーダーでいられるかどうかは不透明だ。

 安価なパケット料金は、まさに3Gの利点を生かしたものだ。エンドユーザー向けには「3Gとは高速データ通信が特徴」といわれているが、実は最大のメリットとはキャリアにとってパケット単価を安くできる点にあるからだ。定額制の「EZフラット」を除くと、各社が3Gに移行する中ではパケット料金面でのKDDIの優位性は失われつつある。

ドコモやボーダフォンは“禁断の”定額制に移行できるか

 2004年のもうひとつの注目点は、ドコモとボーダフォンがパケット定額制をどうするかということだ。KDDIの定額制を見て「他社も定額制をやらざるを得ない」と断言する専門家もいる。

 ドコモは「単純な料金競争ではなくサービス競争をしたい」(2003年10月の記事参照、立川敬二社長)、ボーダフォンは「私はインターネットの社会で、定額制を経験しているが……あまりいいものではないと思う」(2003年11月の記事参照、グリーン社長)と述べるなど、現時点では定額制に積極的ではない。ただし、KDDIも直前まで定額で行けるかどうか社内で割れていたという(2003年11月の記事参照2003年8月の記事参照)。KDDIの定額制への反応次第では、思いの外急いで定額制に踏み切らざるを得ない可能性も残っている。

 ただしそのためにはインフラのアップデートが欠かせないだろう。KDDIの定額制「EZフラット」は、無線通信で定額が可能な通信方式「CDMA2000 1x EV-DO」の導入によって初めて可能になった(2003年1月の記事参照)。ドコモやボーダフォンといったW-CDMA陣営でEV-DOに当たる通信方式は「HSDPA」と呼ばれている。ドコモはHSDPAを2005年前半に導入としており(2003年11月の記事参照)、少なくともそれまで定額制の導入はないと見ていい。

 なお、イーアクセスやソフトバンクなどもTD-CDMA方式を使って3G携帯参入を虎視眈々と狙っている(2003年12月の記事参照)。定額制に慣れたこうした通信事業者が携帯に参入してきた場合、当初からパケット定額制を導入する可能性は高く、一気にパケット通信は定額制の時代に突入する事態も考えられる。

携帯の端末機能はどこまで進化するか

 2003年がメガピクセルカメラに代表される端末大進化の年だったのに対し、2004年は、端末自体の進化はある程度落ち着きそうだ。

 液晶解像度は最大2.4インチ・QVGAでいったん収束するという見方が強い(2003年10月の記事参照)。次の方向性は、タッチパネルを搭載した「F900iT」のように、いかに付加機能を入れ込むかになるだろう。

 カメラは、ローエンドの31万画素、メインストリームの130万画素、ハイエンドの200万画素オーバーと、3グループに分かれる見通しだ。「携帯カメラの用途を考えた場合100万画素クラスで十分」というメーカーがある一方で、「200万画素でも足りない。400万はいる」というメーカーもある。携帯コンテンツと直接関係ない部分だけに、液晶のようにスペックを横並びにする必要はなく、メーカーとキャリアの考え方次第でさまざまな画素数のカメラが併存しそうだ。ただし、2003年末になってオートフォーカス(AF)が200万画素機を中心に搭載されたのに続き、2004年は光学ズームレンズ搭載端末が現れそうだ。

 動向が気になるのがBluetoothの行方。これまでも内蔵端末はいくつかあったが、いずれも根付かないまま消えてしまった。「今年こそは……」という表現は、Bluetoothについては毎年のことでどうも信憑性がないが、「F900iT」がBluetoothを内蔵したり車載機器がBluetoothに対応したりとブレイクする兆しもある。

 最後に、目が離せないのが非接触ICチップ搭載だ。ドコモがFeliCa内蔵の端末を今年中頃に投入する予定で(2003年10月の記事参照)、KDDIも非接触ICチップを内蔵した携帯電話のトライアルを2004年中に実施する予定。決済との連携も含めて、携帯利用法が新しいステージに上れるかどうかが決まりそうだ。

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