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» 2005年06月17日 18時06分 UPDATE

各社が進める次世代3G、秒読み段階へ

現行の3Gに続く通信方式として、EV-DOやHSDPAなど3.5G、そしてOFDMを組み込んだ3.9Gなどの技術が見えてきた。最新通信技術の概要と各社の動向を概観する。

[斎藤健二,ITmedia]

 KDDIがEV-DO Rev.A導入と「ウルトラ3G」構想を打ち出したことで、各社の“ポスト3G”に向けた取り組みが見えてきた。スーパーからウルトラ、そして4Gまで──。“3G以後”の通信方式と各社の動向を概観しておこう。

第二世代(2G)から第三世代(3G)へ

 現在携帯電話は、第二世代(2G)から第三世代(3G)へと移り変わろうとしている。大きなくくりでいえば、デジタルの2GからCDMAベースの3Gへ移行が進みつつある。

 ドコモでいえば、PDC(ムーバ)からW-CDMA(FOMA)へ。KDDIの場合、cdmaOneからCDMA 1Xへの移行がそれだ。

 さらに、3Gの中でもパケットデータ通信に特化した通信方式が開発され、3.5Gという呼び方で導入が進んでいる。KDDIはCDMA 1x EV-DOを「CDMA 1X WIN」というブランド名で導入済み。ドコモはHSDPAを2006年にも導入する予定で(2月16日の記事参照)、ボーダフォンも試験を始めている(2月14日の記事参照)

 各社の無線通信方式の動向をまとめたのが下表となる。

事業者3G(現状)3.5G3.9G4G
ドコモ    導入時期W-CDMAHSDPAスーパー3G4G
商用化済み2006年〜20102010
KDDI     導入時期CDMA 1x1x EV-DOEV-DO Rev.AEnhanced cdma2000
商用化済み2006年2010年
ボーダフォン 導入時期W-CDMAHSDPA
商用化済み未定

 ドコモのHSDPAやKDDIのCDMA2000 1x EV-DOは、便宜的に3.5Gと呼ばれる。いずれも利用者の電波状況に応じて通信を制御し、基地局1つ当たりの合計通信速度(セクタスループット)を向上させる仕組みを採る。HSDPA(5MHz幅)では最大14.4Mbps、EV-DO(1.25MHz幅)では最大2.4Mbpsの下り通信速度を持つ。

 KDDIが2006年に導入するEV-DO Rev.AはEV-DOの改善版で、物理層の改良などにより下り速度を最大で3.2Mbpsに、上り速度を最大1.8Mbpsにアップさせる(2月13日の記事参照)。Qualcommのベースバンドチップでいうと、CPU速度もアップした「MSM6800」がRev.Aに対応している(6月2日の記事参照)

新規参入──各社のポスト3G展開

 2005年から2010年にかけて、3Gの進化版が次々と登場する。携帯事業への新規参入を目指す各社の場合、参入タイミングによって通信方式が変わる。

 ドコモやKDDI、ボーダフォンのいずれ標準的な技術を使っているため、新通信方式の導入タイミングは端末の無線チップセットや、基地局側の設備の開発に依存する。例えばHSDPAは、スウェーデンのEricssonや加Nortel、米Qualcommなどが手がけており、導入準備が整うのは2006年あたりだ(6月2日の記事参照3月24日の記事参照)

 このため、2006年を目処に参入を進めるイー・アクセスが当初予定している通信方式はW-CDMA/HSDPA。その後、WiMAXのモバイル版であるIEEE802.16eの開発を待って、16eも導入していく計画だ(4月8日の記事参照5月23日の記事参照)

 参入が2007年以降にずれ込みそうなソフトバンクは、HSDPA以降の技術を採用する可能性が出てきている(6月2日の記事参照)。Nortelなどが主張する「HSOPA」(High Speed OFDM Packet Access)だ(5月30日の記事参照)。HSDPAにOFDMを組み合わせた方式で、ドコモが進めるスーパー3Gに近い方式と見られる。

ウルトラ3Gの位置づけは?

 ここまでに挙げたのは、いずれも携帯電話端末と基地局との間の通信──無線通信方式を指す。しかし、3Gといった場合は無線通信だけでなく、基地局から後ろの交換システム(コアネットワーク)も規定している。

 例えば3Gは、5つの無線方式と3つのコアネットワークをそれぞれ組み合わせて構築する(3月4日の記事参照)。無線方式としては、W-CDMAやcdma2000、EDGE(UWC-136)、TDD(中国のTD-SCDMAなど)、DECT+(欧州コードレス用のDECTベース)の5つ。コアネットワークは、GSMで使われている「GSM-MAP」、cdmaOneで使われている「IS-41」、そしてIPベースとなる。

 例えばドコモのFOMAならW-CDMAとGSM-MAP、KDDIの1Xならcdma2000とIS-41という組み合わせだ。

 無線方式コアネットワーク
ウルトラ3GEnhanced cdma2000MMD準拠/IPベース
3Gcdma2000IS-41
W-CDMA
EDGEGSM-MAP
TD-SCDMA
DECT+IPベース

 KDDIが言う「ウルトラ3G」は、この無線方式とコアネットワークの両方をまとめて指す言葉だ。無線方式に次世代CDMA(Enhanced cdma2000)を使い、コアネットワークにはMMD(MultiMedia Domain)準拠のIPv6ネットワークを使う。このコアネットワークは、次世代CDMA以外に無線LANやADSL、FTTHなどの各種通信方式もつながるのがポイント。「さまざまなネットワークのシームレス化を図る」(KDDI)ところに、ウルトラ3Gの重点が置かれている。

無線通信規格の高速化

 2Gのキーワードは“デジタル”、3Gのキーワードは“CDMA”だった。ポスト3Gのキーワードは何か。

 まずEV-DOやHSDPAなど3.5Gのキーワードは、パケット通信特化だろう。回線交換による品質保証型の3Gに対し、3.5Gでは遅延やジッタ(揺らぎ)などをある程度許容し、IPパケットに特化することで高速度を実現している。また、基地局当たりの総伝送速度を重視しているため、実際の速度は通信環境に大きく左右される。下り最大384KbpsのW-CDMAの場合、通信可能な場所であればある程度の速度は出た。しかしHSDPAでは、最大では14.4Mbpsだが平均では600Kbps、電波受信状態が悪かったり同時利用ユーザーが多いとさらに速度が低下する。

 3.5Gから4Gに向けてのキーワードは、“OFDM”と“MIMO”になる。

 OFDMは利用できる帯域を、複数のキャリア(搬送波)に分割して利用する。1キャリアあたりの転送速度を遅くできるためマルチパス(反射した電波が送れて届く問題)やフェージング(電波の強さが揺らぐ問題)に強くなる。連続するキャリアを直行させることで干渉を防ぎ、電波を有効に利用できる(2003年8月5日の記事参照)。無線LANではIEEE802.11aなどで使われている技術だ。3GのCDMAを組み合わせることで、複数ユーザーの同時利用(マルチアクセス)を可能にする。

 MIMOは、送信側と受信側に複数のアンテナを用意することで、複数のデータを同時に送受信し速度を上げる技術。IEEE802.11nでの採用が予定されており、ドコモも4G向け技術として有力視している(2004年12月17日の記事参照)

 HSOPAや3.9Gと呼ばれるスーパー3Gでは、3G向けの2GHz帯を使いながらOFDMなどの技術を盛り込む見込みだ。

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