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» 2012年03月14日 20時46分 UPDATE

Mobile IT Asia:ドコモ、真の4Gサービス「LTE-Advanced」を2016年度以降に開始

東京ビッグサイトで開幕した「Mobile IT Asia」の基調講演で、ドコモ副社長の辻村氏が「LTE-Advanced」の開始時期に言及。2015年度末までに開発を終え、2016年度以降にサービスを開始したいと述べた。

[平賀洋一,ITmedia]

 NTTドコモ代表取締役副社長の辻村清行氏は3月14日、第4世代通信サービス「LTE-Advanced」を2016年度以降に開始したいとの考えを明らかにした。

 東京ビッグサイトで開幕した「Mobile IT Asia」の基調講演に登壇した辻村氏は、「2015年度末までにLTE-Advancedの開発を完了させたい。(サービス開始は)おそらく2016年度以降になるだろう」と開始時期に言及。LTE-Advancedは通信速度が下り最大1Gbpsと超高速のサービスで、「あと数年で光通信を超えるスピードがモバイルで体験できる」(辻村氏)と期待を寄せた。

photophoto NTTドコモ代表取締役副社長の辻村清行氏。「LTEは4Gではなく厳密には3.9G」(写真=左)。4Gサービスへのロードマップ

 ドコモは2010年12月に「Xi(クロッシィ)」のブランド名でLTEの商用サービスを開始。現在の人口カバー率は「全国で30%」(辻村氏)にとどまるが、今後は全国主要都市から地方都市、そして全市町村へとカバレッジを広げ、2014年度までには全国で98%を目指す。Xiの加入者数は2月末現在で約177万回線だが、2015年に3000万契約の獲得を目標に据え、2010年から2015年度にかけて合計8800億円を投資する。

 辻村氏は、LTE(またはLTE-Advanced)の普及で最も恩恵を受けるのが「モバイル分野での動画サービス」であると予想する。ドコモはすでに「BeeTV」や「dマーケット VIDEOストア」を手がけ、Android端末にはHuluのアプリをプリインストールするなどしている。また、映像コンテンツの配信だけでなく、観光や教育、医療分野でライブカメラ活用も考えられるという。さらに、低遅延という特性を生かし、「通訳電話」に代表されるリアルタイム性の高いクラウドサービスも有望とした。

 モバイル向けのコンテンツが大容量化・リッチ化していく一方、トラフィックの“爆発”問題が課題として残る。辻村氏はドコモの実データを掲げ、「2009年から2011年にかけ、データトラフィックは倍々(約4倍)になった。2015年には、2011年度のおよそ12倍になるだろう」と述べた。この12倍のトラフィックを吸収するための算段として、(1)LTEの導入、(2)周波数帯域の増加、(3)Wi-Fiへのオフロードという3点を挙げた。

photophoto 2015年には現在の12倍まで激増するドコモのトラフィック(写真=左)。Wi-Fiへのデータオフロードなどでキャパシティの増加を図る(写真=右)

photo Xi(LTE)は、2014年までに3000万契約を目指す

 「LTEは3Gの環境と比較して3倍のキャパシティがあり、これの導入でまずはパイプラインが3倍になる。次に、使える周波数帯域が(2015年には)倍になると考えている。900MHz帯の割り当ては終わったが、700MHz帯の割り当てはこれから。700MHz帯も頂けることが前提になるが、すでに持っている800MHz帯や1.5GHz帯も使って、帯域を倍にしたい。そして、Wi-Fiへのデータオフロードを強めることでさらに倍する。つまり、3×2×2で12倍のトラフィックには対応できると考えている。さらに2015年度以降は、新たな周波数でLTE-Advancedを開始し、さらにキャパシティを大きくすることになる」(辻村氏)

 3番目のWi-Fiオフロードについて辻村氏は、「ドコモが設置しているWi-Fiスポット(docomo Wi-Fi)は、現在7000カ所。これを9月末までに3万カ所に増やしたいと思っている。10万カ所までは早期に増やせるが、公衆無線LANがどれくらいデータオフロードに効いてくるのか? これを見極めながらアクセスポイントを増加させたい」と、スポット数で上を行く他キャリアをけん制した。

ドコモのスマホ契約は4000万件が目標

 講演で辻村氏は、ドコモスマートフォンの契約数を2015年度に4000万件まで増やす計画も明らかにした。

 「日本で販売される携帯電話は、年間約4000万台規模。このうち約半分がスマートフォンになっており、ドコモはこの年度末までに850万台に到達する見込み。2015年には、年間3000万台のスマートフォンが販売されるだろう。そして、ドコモの6000万契約のうち、3分の2にあたる4000万契約がスマートフォンユーザーになっていると予測する」(辻村氏)

photophoto スマートフォンは、出荷台数も契約に占める割合も急増している

 残る2000万件は従来型のフィーチャーフォンやM2M向けのモジュールになるが、辻村氏は「『スマートフォンは4000万契約よりも増える』という声もあって、正直分からない」と話す。らくらくホンのように、物理キーの使いやすさやを生かした製品が残る可能性がある一方、ドコモではスマートフォンへのリテラシーが低くても利用できる「らくらくスマートフォン」の開発も進んでおり、エントリー層がどう動くかの見極めが難しいという。そして、これから市場が拡大する分野としてタブレットの存在を挙げ、スマートTVなどマルチデバイスでクラウドサービスを活用するシーンが増えると解説した。

 講演ではこのほかに、おサイフケータイを活用したマクドナルドのクーポンサービスや、4月に開局する「NOTTV」、ドコモワンタイム保険、らでぃっしゅぼーやへの出資など、モバイルを取り巻くドコモの新事業も紹介。特におサイフケータイについては、「サービス開始から7年たち、日本は世界の先行者としての地位を築いている」と自信を見せ、海外で普及の動きが進むNFC(TypeA/B)については、おサイフケータイ(FeliCa:TypeC)とデュアルで対応する端末を2012年度以降に発売することを重ねて表明。3月1日から開始した音声エージェントの「しゃべってコンシェル」についても、「Siriに対抗できるサービス。ぜひ試してみて欲しい」(辻村氏)とアピールした。

孫正義とスティーブ・ジョブスに挟まれ……

今回の基調講演では、辻村氏の著書「モバイルパワーの衝撃」が紹介された。都内のある書店では孫正義氏の「あんぽん」とスティーブ・ジョブス氏の自伝に挟まれる格好で平積みされていたといい、辻村氏は「非常に恵まれた場所に飾っていただいて……」と頬をゆるめていた。


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