連載
» 2013年04月15日 16時30分 UPDATE

小寺信良「ケータイの力学」:旧型Androidに保護機能を追加する「ミマモール」(2)

古いAndroidスマートフォンでも子供が安全に利用できる「ミマモール」。今回は実際の使い勝手を検証した。

[小寺信良,ITmedia]

 では実際にミマモールの挙動を見ていこう。今回テストしたのはGoogleの「Nexus 7」で、ミマモールが対象としているスマートフォンではない。OSも最新の4.2.xなので、2.3.x系とは操作体系が違う点があることをあらかじめご了承願いたい。

 まずサイトでアカウントを作成したのち、Androidでミマモールを起動してログインする。続いて子供の名前を入力し、利用を許可するアプリを選択する。複数の子供で利用する場合は、名前で設定状態を切り換えることになる。

photo 家族名とアプリの選択を行なう

 利用可能なアプリは最大24個で、ミマモールが提供するホーム画面2ページ分に制限される。子供に利用させることを考えれば、あまり多すぎても使いにくいだろうという配慮だ。

 アプリ選択後にミマモールをスタートさせたのちホームボタンを押すと、Androidデフォルトのランチャーの設定画面に進む。ここでデフォルトで起動する設定を消去しておき、ミマモールを常時起動にすると、それ以降はホームボタンを押しても常にミマモールが提供するホーム画面にしか行けなくなる。

photophoto デフォルトのランチャーに変わってミマモールを常時起動に変更(写真=左)。ログアウトにもパスワードが必要(写真=右)

 標準のホーム画面に戻るには、ミマモールをログアウトしなければならない。ログアウト時もパスワードが必要になるのは、勝手に子どもがログアウトしないためである。

 ただ現状は、抜け穴がある。2.3.xではホームボタン長押し、4.x以降では右ボタンでこれまで起動したアプリの履歴を出す機能があるが、ミマモールを起動する前に履歴をクリアしておかないと、ここから制限したはずのアプリにも行けてしまう。これはOS標準の機能のため、現時点ではいかんともしがたいようだ。

位置情報と課金の問題

 ミマモールのもう一つの特徴として、現在位置を把握できるという機能がある。子どもケータイではお馴染みの機能だが、ミマモールはアプリのインストールだけでこれを実現するわけだ。

 保護者側は、ミマモールのサイトにログインすることで、いつでも位置を確認できる。このマップも、Googleのような一私企業の情報に頼るのは継続性の面で問題があるとして、フリーの地理情報を提供するOpen StreetMap Japanのデータを使用している。

photo 保護者側はサイトで端末の位置を確認できる

 位置情報はかなり正確で、実際にやってみたところ、誤差は半径5メートル程度である。ただ地図データが場所によっては細かい路地が記載されていない、建物名の記載が少ないこともあり、実際にその場所へたどり着くには別の地図も併用しないと難しいかもしれない。

 位置情報の発信は、クライアントアプリの起動から5分後、以降はプランに応じた時間間隔で定期的に送信される。フリープランでは60分に1回、ベーシックプランでは10分に1回、プレミアムプランでは5分に1回だ。

 もちろん事業として有料プランへの誘導が必要なことは理解するところだが、子供の位置情報は時として、本当に身の安全がかかっている場合がある。めったに起こらない事態であるとはいえ、親の支払金額に応じて子どもの安全性が変わるというあり方には、事業の倫理性が問われることも有りうる。

 つまりプランとして段階があるのが、「お前の子どもへの愛情を金額で示せ」と言われているようなもので、気分良くお金を払いたくなる保護者は少ないだろうという話である。ケータイキャリアの同様のサービスを見ると、位置情報の利用には頻度に限らず一律定額課金にしているケース、利用したときに都度課金するケースがあるようだ。

 有料プランの階段化はこの部分ではなく、アプリの登録数などで差別化したほうがいいように思う。また開発元のユニリングスでは、将来的にはハザードマップや放射線情報を地図に載せていく計画もあるそうなので、そのような利便性で差別化するなら、多くの賛同が得られるだろう。

 さらに言えば、ミマモールが起動していないと位置情報は発信しないのだが、現利用者に位置情報を発信していることを明示的に知らせる必要もあるだろう。ただランチャーとして起動しているだけで、「明示的である」とするのは無理がある。これは以前「カレログ」というサービスでも問題になった部分で、非常にデリケートなところでもある。

 このようなサービスは、将来的には子どもだけでなく、高齢化に伴う徘徊老人問題などにも使える技術である。同時に保護者と実利用者の関係、そして事業者に対するプライバシーなど、議論すべきポイントも多い。これらは法規制の問題とするよりも、セキュリティの専門家と利用者とで、実被害の有無も含めた落としどころを探るべき問題であろうと思われる。

小寺信良

映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。最新著作は、ITmedia Mobileでの連載「ケータイの力学」と、「もっとグッドタイムス」掲載のインタビュー記事を再構成して加筆・修正を行ない、注釈・資料を追加した「子供がケータイを持ってはいけないか?」(ポット出版)(amazon.co.jpで購入)。


Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.