子供用スマートフォンとは何か(2):小寺信良「ケータイの力学」

» 2013年03月18日 13時30分 公開
[小寺信良,ITmedia]

 前回はNTTドコモの「スマートフォン for ジュニア SH-05E」のハードウェア的な特徴を見ていった。今回はその中身について検討する。

 SH-05Eの初期設定は、保護者が行なうようになっている。実際の利用者である子供は制限付きユーザーで、保護者がアドミニストレーター権限を持っており、それを4ケタの数字パスワードで保護するというイメージだ。

photo 初期設定は保護者が行なう

 機能の制限としては、電話帳に登録された相手以外とのSMSやspモードメールは自動的に削除されるので届かなくなる。また、利用や通話時間に制限をかけることもでき、端末が利用できる時間帯や1日の利用時間、通話時間なども設定できる。時間制限はカスタマイズもできるし、制限しない設定にもできる。GPSも搭載しているので、「イマドコサーチ」という機能を使って居場所を探すこともできる。

photophoto 利用時間の設定もできる(写真=左)。GPSによる居場所確認も可能(写真=右)

 防犯ブザー動作時などに発信される緊急連絡先は、自由に決められる。ソフトバンクモバイルの「みまもりケータイ」などは親機もソフトバンク端末でないとだめという縛りがあるが、SH-05Eに関してはそういう縛りはないようだ。

 例えば夏休みに田舎のおばあちゃんちに泊まりに行かせるような場合、こっちに緊急連絡が来てもどうにもならないので、おばあちゃんのケータイに連絡先を変える、といったケースがある。このとき、祖母までも同じキャリアであるとは限らないので、このような柔軟な設計は必要だ。

 フィルタリングは、契約回線ごとに「spモードフィルタ」に加入する必要がある。今回お借りした実機には、あいにくspモードフィルタを契約していない大人向けのSIMが入っていたので、ネットアクセスのフィルタリングを試すことができなかった。

photo spモードフィルタのカスタマイズができる

 SH-05Eはフィルタリング未契約のSIMでも通信できるため、子供がこっそり保護者のSIMと入れ替えればフィルタリングなしでネットにアクセスできてしまう。その場合、保護者のSIMにあらかじめPINコード(端末を変えた場合に必要になるパスワード)を設定しておけば、勝手に使われる可能性は低くなるだろう。

 設定の最後には、アニメコンテンツでケータイ利用のルールが分かるようになっている。これはスキップすることもできるが、まあ見せておいて損はない。

photo 最後に啓発コンテンツを再生して、初期設定は終了

利用アプリは限定的

 アプリのインストールに関しては、Google Playに対応しておらず、ドコモが用意した専用ポータルからのみしか、インストールできない。もちろんそこには安全性が確認されたものしか置いていないので、子供がどこからかアプリを探してきてインストールするということはできない。

 プリインストールアプリは、意外に幅広い。電子書籍用として「GALAPAGOS」が入っているのは、端末がシャープ製だからだろう。ハードとしてFeliCaにも対応しているので、マクドナルドといったおサイフケータイ用のアプリも入っている。

photophoto アプリも青少年向けに限定(写真=左)。使わせたくない機能はアプリごとに利用制限できる(写真=右)

 そのほか、学生が使うことを前提に、時間割やお小遣い帳、ゲームもいくつか入っていて、これらのアプリも個別に利用制限をかけることができる。

 学習にも利用できるよう、中学歴史や足し算風のゲームなどもあるが、特定の年齢にターゲットを絞ったアプリではないので、教科書と連動しているわけでもない。例えば特定の年齢向けの学習アプリをインストールして利用したいという塾や通信教育向けのニーズには、応えられないだろう。

 緊急対策としては、GPSがあるので、利用者である子供自身が地図上で現在地を知ることはできるが、通信が途絶したときのために地図をローカルにダウンロードする機能は、月額課金がかかる。安全のためには致し方ない出費かもしれないが、最低限以上の機能を使わせると、ランニングコストは案外高く付くかもしれない。

 外側、中身と順に見てきたが、これをスマートフォンと定義するのかは微妙なところだ。音楽プレーヤーやカメラ機能も付いており、そのあたりはフィーチャーフォンタイプの子どもケータイより機能は多いが、基本的にはスマートフォンのアーキテクチャを使って、子ども向けケータイをもう一度作り直した、といった格好になっている。

 ただこういう端末は今回が初めての試みであり、ドコモとシャープが苦労して仕様をまとめた様子がうかがえる。これが完全な姿ではないと思うが、今後のキッズケータイを考える上でのリファレンスモデルになってくるだろう。

小寺信良

映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。最新著作は、ITmedia Mobileでの連載「ケータイの力学」と、「もっとグッドタイムス」掲載のインタビュー記事を再構成して加筆・修正を行ない、注釈・資料を追加した「子供がケータイを持ってはいけないか?」(ポット出版)(amazon.co.jpで購入)。


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