子供用スマートフォンとは何か(1):小寺信良「ケータイの力学」

» 2013年03月04日 13時30分 公開
[小寺信良,ITmedia]

 2012年11月にインプレスR&Dが公開した「スマートフォン/フィーチャーフォン利用動向調査」によれば、個人のスマートフォン利用はおよそ4割に届く数字であることが分かった。2012年あたりから各キャリアともすでにフィーチャーフォンのラインアップは大幅に縮小し、機種変のタイミングではもうスマートフォン、という流れができつつある。

 テクノロジーの面からみても、すでに世界はスマートフォンのテクノロジーへの投資や技術開発に向かっており、フィーチャーフォンの製造は逆に割高になってくる。今日本では、子供に持たせる通信機器はフィーチャーフォンが一番安全というレベルまで磨き上げてきたが、今後製造が難しくなること、世の中の趨勢がスマートフォンに向かっていることなどから考え合わせると、子ども向けの、いわゆる「キッズケータイ」も、スマートフォン化せざるを得なくなるだろう。

 その先陣を切ったのが、NTTドコモの「スマートフォン for ジュニア SH-05E」だ。2月1日から市場投入されている。このシャープ製のスマートフォンをしばらくお借りすることができたので、実際にどういうものなのか見て行こうと思う。

 一般的なスマートフォンのサイズというのはあってないようなものだが、画面サイズは4.1インチで、本体サイズはiPhone 4Sとだいたい同じぐらいだ。過去のキッズケータイと同じく、防水・防塵仕様となっている。

photo 子供向けスマートフォン「SH-05E」

 充電はMicro USBポートから行ない、イヤフォン端子もある。サイドのボリュームキーは、真ん中を押すと防犯ブザーが鳴り、緊急連絡先への通話が行なわれる。別途「イマドコサーチ」サービスを契約すると、現在位置をメールで発信する機能もある。

photophoto 充電用USB端子はカバーで覆われている(写真=左)。緊急ボタンは、音量ボタンの真ん中を押す(写真=右)

 緊急発信ボタンは、真ん中の赤いポッチを押す格好だが、実際には音量上下キーを両方いっぺんに長押しする動作だ。キッズケータイの紐を引っぱるやり方に比べると、小学生の低・中学年にはちょっと難しいだろう。

スマホの穴を塞いだ仕様

 ハードウェアとしての最大の特徴は、スマホなら当たり前のWi-Fi機能を搭載していないことだ。この連載をお読み頂いている読者諸氏ならよくご存じだろうが、キャリアが提供するフィルタリングは、Wi-Fi接続では効かなくなる。

 そこがスマホの穴だったわけだが、すべてのアクセスをキャリア回線に限定することで、安全性を高めている。ちなみにイマドキのトレンドを押さえて、「Xi」(クロッシィ)にも対応している。

 フロントとリアにカメラを備えており、外側のカメラは1210万画素で、電子手ブレ補正も搭載している。HDムービーも撮影できるなど、機能的には大人向けと遜色ない。

photo 背面にはカメラとLEDライト、赤外線ポートを備える

 赤外線通信機能を備えているのは、お友だちのフィーチャーフォンとアドレス交換などをするケースがまだあると想定しているのだろう。

 おサイフケータイ機能も搭載しており、iDやマクドナルドのアプリがプリインストールされている。そのほか、ANA SKiPサービス、ビックポイント機能付きケータイ、ヨドバシゴールドポイントカード、楽天Edy、マツキヨポイントアプリ、イオンかざすサービス、ケータイかざしてポイントゲット、に対応しているようだ。

 モバイルSuicaは2013年春に対応予定となっている。ただしモバイルSuicaは子供料金に対応していないため、利用は12歳以上(小学生は除く)に限定するようだ。

 おサイフケータイ搭載には賛否あるだろうが、都市部では子供が一人で電車に乗って学習塾へ通う姿もよく見られる。この時に現金を持たせるより、利用が管理できるおサイフケータイのほうがいいと判断する保護者もあるだろう。利用させたくない場合は、アプリ側で利用制限をかけることができる。

 次回はソフトウェアを含めた中身を見てみよう。

小寺信良

映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。最新著作は、ITmedia Mobileでの連載「ケータイの力学」と、「もっとグッドタイムス」掲載のインタビュー記事を再構成して加筆・修正を行ない、注釈・資料を追加した「子供がケータイを持ってはいけないか?」(ポット出版)(amazon.co.jpで購入)。


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