調査機関“全国テスト”で比較するiPhone 5s/iPhone 5cが速いキャリアは!“新規参入”ドコモどこまで?

» 2013年10月04日 18時59分 公開
[長浜和也,ITmedia]

調査専門機関の測定結果をまとめてみました

 iPhone 5sとiPhone 5cの発売から2週間が経とうとしている。iPhone 5sのゴールドモデルのように、購入したいのに物がないという状況が続いている一方で、今回のモデルから、従来のKDDIとソフトバンクモバイルに加えて、NTTドコモもiPhone 5sとiPhone 5cの扱いを開始したことから、各キャリアごとにデータ通信速度を測定したデータが個人のSNS投稿やWebニュースなどで紹介されている。

 ただ、データ通信の速度は場所だけでなく測定した時間帯やユーザー密度によって変わってくる。同じ場所で同じ機材で同じキャリアで測定しても、以上の項目が可変であれば、測定した通信速度の測定結果は変化し、キャリアごとの優劣も変わってくる可能性がある。

 このような場合、条件を(比較的)そろえて全国規模で大掛かりな調査ができる調査専門期間のリポートは参考になる。特に発売間もないモデルの調査結果では、ユーザーリポートの蓄積もまだ十分でないため、貴重なデータといえるだろう。

 現在、ITmedia Mobileで掲載した調査企業によるiPhone 5sとiPhone 5cのデータ通信速度に関する調査結果は、ブランド総合研究所による「iPhone 5sパケ詰まり調査」とクロス・マーケティングによる「iPhone 5c 通信速度調査」、そして、MMD研究所による「2013年9月 iPhone5c キャリア・地域別通信速度比較調査」だ。

 iPhone 5sの速度調査はブランド総合研究所だけで、クロス・マーケティングとMMD総合研究所はiPhone 5cを使った測定だ。それぞれの調査で測定を実施した日時と場所は以下のようになる。

調査企業 調査日時 場所 テスト方法
ブランド総合研究所 9月24〜25日、8〜10時、13〜15時、17〜20時 JR山手線6駅 特定Webページ表示までの時間(15秒以上でパケ詰まりと判断)
クロス・マーケティング 9月27〜29日 1日平均乗降客数全国上位500駅 BNRスピードテスト(インターコネクト)による転送レート測定
MMD総合研究所 9月21〜25日 全国20都市125カ所 RBB TODAY SPEES TESTによる転送レート測定

駅でダントツだったのはソフトバンクモバイル

 ブランド総合研究所とクロス・マーケティングは人が集中しやすく利用する機会も多い大規模駅における測定で都市部に集中している。乗降客が多い通勤時間帯の調査だけにデータ通信環境としては過酷な状況といえる。

 ブランド総合研究所の調査は、データ転送レートの速度ではなく、“パケ詰まり”が発生する回数を調べて「実感として我慢できるか否か」に注目している。我慢できるか否かの基準として、あるポータルサイトにアクセスしてトップページを表示するまでの時間を計り、15秒以上の場合は「我慢できないパケ詰まり」が発生したとカウントする。

 JR山手線の主要6駅で各キャリア840回測定した結果によると、最もパケ詰まりが少なかったのはKDDIの2.4パーセントで、ソフトバンクモバイルが3.9パーセントで続く。NTTドコモのパケ詰まりは16.8パーセントにも達しているが、NTTドコモの測定結果のうち、秋葉原駅の測定でパケ詰まりが65パーセントと突出しているため、なにかしらの特異条件が秋葉原に存在する可能性とその影響を考慮する必要があるかもしれない。

ブランド研究所が測定した各キャリア別 パケ詰まり率(パケ詰まり回数/計測回数)

 クロス・マーケティングの調査では、測定範囲を全国の駅に拡大してダウンロードにおける転送速度の平均で比較している。測定結果の平均で最も速い結果となったのはソフトバンクモバイルの11.92Mbpsで、2位のKDDIにおける平均6.7Mbps、3位のNTTドコモにおける平均5.82Mbpsを大きく離している。最速となったポイント数の比較でもソフトバンクは427地点とほとんどの場所で最速値を出した。

クロス・マーケティングの調査による全国主要500駅におけるiPhone 5c通信速度調査の結果

NTTドコモはどこも苦しい

 MMD総合研究所の調査も全国20都市で測定しており、駅以外の繁華街やビジネス街でも調査をしている。また、今回の調査では3キャリアともすべてのポイントでLTEで接続できているのも注目しておきたい。RBB TODAY SPEED TESTで行った測定では、ダウンロードとアップロードともにソフトバンクモバイルが最も速く、わずかの差でKDDIが続き、NTTドコモが大きく離されるという傾向だった。特に、アップロードの転送速度はKDDI、ソフトバンクモバイルの半分程度しかない。

MMD総合研究所が調査したiPhone 5c 20都市125カ所の通信速度

 以上、調査専門機関が行ったiPhone 5s、iPhone 5cによる3キャリアのデータ転送速度比較は、ソフトバンクが優勢(特に駅の調査では)でKDDIがわずかの差で続き、NTTドコモはやや引き離されている、という傾向で共通するようだ。

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