連載
» 2014年04月28日 19時00分 UPDATE

小寺信良「ケータイの力学」:内閣府調査に見る青少年のスマートフォン利用(2)

青少年のスマホ利用で目立つのが「LINE」や「Twitter」に代表されるチャットやSNSなどのサービス。その一方で、従来のメールは頻度が減少している。またコミュニケーションの総量が増加しているのも特徴だ。

[小寺信良,ITmedia]

 前回に引き続き、内閣府調査による「青少年のインターネット利用環境実態調査」を元に考察を続けていく。前回は主にハードウェアの利用に注目したが、今回は利用の内容に注目してみたい。

 青少年が携帯・スマホで何をしているのかと言えば、コミュニケーションの分野で興味深い結果が得られている。高校生においては、メールの利用が減少、その代わりSNSやチャットのコミュニケーションの伸びが目立って増えている。これはもうそのままの話で、これまでメールによって行なわれていた個人対個人のコミュニケーションが、私企業のネットサービス上で行なわれるようになってきたということであろう。

photo 青少年の携帯電話・スマートフォンを通じたインターネット利用状況

 代替として思い当たるサービスはLINEだが、これはチャットに分類されるものの、SNS的な要素もあるため、ある程度の票がSNS側にも流れたのではないだろうか。丁度総務省が2014年の「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(PDF)をこの4月に公開した。この中で年代別のソーシャルメディア利用率があるので、合わせて見てみよう。

photo 総務省調査の年代別ソーシャルメディアの利用率

 このグラフの10代に注目すると、LINEの利用が最多で70.5%、次いでTwitterが39.6%となっている。LINE一辺倒なのかと思ったが、10代でも案外Twitterが使われているようだ。いずれにしても、レガシーなメールは今後衰退していく可能性があることを、初めて示唆した結果と言えるかもしれない。

 ただこの総務省の調査にも、おかしいところがある。10代のGoogle+の利用率が、Twitterに次いで3位という点だ。筆者が理解できる40代〜50代の利用率を見ても、LINEに次いで2位という結果となっているが、体感的にFacebookやTwitterを上回るほどGoogle+が使われているとは思えない。これはそもそもGoogle+というSNSがあることを知らず、単にGoogleの利用と勘違いした人が多かったのではないかという指摘がネットから上がっているが、その意見には一理ある。この調査におけるGoogle+の数値は、無視した方がよさそうだ。

長時間化する利用時間

 再び内閣府のインターネットの利用状況のグラフに目を移してみる。高校生に注目すると、メールの利用減少幅は9.8ポイントだが、SNSの利用増加は15.3ポイント、チャットの利用増加は22.1ポイントとなっており、コミュニケーションの総量としては、差し引き27.6ポイント増加したことになる。中学生は全体に利用が少ないためあまり目立たないが、同じように足し引きすると総量で27.8ポイント増加となり、高校生と変わらなくなる。つまり子供達のネットコミュニケーションは、あきらかに忙しくなっている。

 この忙しさは、利用時間の増加という形で現われている。利用の平均時間は、平成22年度にいったん減少を見せているが、その後は増加し、昨年度は平均で107.4分となっている。グラフでは特に2時間以上を赤で囲って強調しているが、これは特に2時間を超えることを問題視しているわけではなく、その範囲が増えたという意味だろう。

photo 青少年の携帯電話・スマートフォンを通じたインターネット利用時間

 保護者としては、ネットを使ってダベっている時間が増えて、勉強してくれなくなるのが一番困る。利用時間の増加と学習時間の変化、あるいは成績の調査と照らし合わせたいところだが、この手の調査で有用なOECDの調査は、最新が2012年のものしかなかった。OECDの学習到達度調査は3年に一度実施されるので、次回2015年の調査を待つ事になる。

 一方ベネッセが2013年夏に、保護者に対してアンケートを行なった結果があった。これによれば、高校3年生はさすがに大学受験があるので如実に減りはしないものの、ほとんどの学年で3割以上、中には4割近くが減ったとする傾向が見られた。その一方で、むしろ増えたとする結果もわずかながらあり、どうやってうまくリードしていくかのノウハウが知りたいところだ。

photo スマートフォンを使い始めて、お子さまの勉強時間は変わりましたか?(中学生、高校生)

 内閣府のインターネット利用調査は、子供のネット利用の傾向を把握する上で重要だが、来年あたりから設問を調整しなければならなくなるだろう。これまでの調査では、青少年のネット利用を学習と関連付けて調査していないが、今年度から大手通信教育事業者や学習塾が、スマホやタブレットを利用する学習に力を入れ始めている。これまで通りの単純な設問では、学習時間もネットの利用時間に入ってきてしまうことになるだろう。

 子供達がネットばっかりやって困った困った、という時代が終わろうとしている。この認識をしっかりもって、子供とネットの関係を見ていかなければならない。

小寺信良

映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。最新著作は、ITmedia Mobileでの連載「ケータイの力学」と、「もっとグッドタイムス」掲載のインタビュー記事を再構成して加筆・修正を行ない、注釈・資料を追加した「子供がケータイを持ってはいけないか?」(ポット出版)(amazon.co.jpで購入)。


Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.