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» 2014年05月30日 20時33分 UPDATE

ワイヤレスジャパン2014:ユーザー獲得競争、求められる高度な接客、人材不足――悲鳴を上げるキャリアショップ (1/4)

MNPによる過度なキャッシュバック戦争など、キャリア間でし烈なユーザー獲得争いを見せる携帯電話の販売業界。キャリアや野村総研の担当者が、キャリアショップが抱える苦悩と今後の展開を語った。

[房野麻子,ITmedia]

 新規ユーザー獲得に向けてし烈な競争を繰り広げる携帯電話の販売業界。5月28日にワイヤレスジャパン2014で行われた携帯電話の販売代理店向けのカンファレンスでは、「販売チャネルの現状と今後の方向性」というテーマで、NTTドコモおよびKDDIのショップ運営担当者2人と、野村総研の上席コンサルタント 北俊一氏が登壇。キャリアの担当者からはショップ運営の難しさや現場での工夫が語られた。北氏は過度なキャッシュバックなどよって規制が強化される可能性があるとした上で、携帯電話販売の今後のあり方について、同氏が総務省に提出した提案書を交えながら意見を述べた。

サービスの多様化でショップの対応が重要に

photo NTTドコモ 販売部 代理店担当部長 岡誠一氏

 まず、NTTドコモ 販売部 代理店担当部長 岡誠一氏が登壇。「ドコモショップのお客様満足度向上にむけて」と題し、ドコモショップの現状とこれからの方向性について説明した。

 現在、ドコモのユーザー数は約6300万人。ユーザーとの接点は、Webサイトやコールセンター、対面で応対する販売代理店などで、ドコモショップは全国に2400店舗以上ある。「なんらかの注文に対して接客を行った対面接客数は年間6400万件以上になり、来客数は億単位になる」(岡氏)という。


photo 約6300万人のドコモユーザーに対し、さまざまなチャネルで対応。リアルな接点となるドコモショップは全国に2400店舗以上あり、対面接客数は年間6400万件に上る

 携帯電話の使い方やサービスが多様化している中で、「ドコモショップの役割が上昇している」と話す岡氏。分からないことは対面で丁寧に教えてほしいと考えるユーザーが増えてきているという。ドコモが2013年からiPhoneを導入したことで、端末、ネットワーク、サービス、エリアを含めて各キャリア間で差がなくなってきている現状があり、その中で「ドコモショップの高い応対力は最も強力な武器になると考えている」と岡氏は語った。

 スマートフォンのユーザーが増えると、直接ドコモと関係のないアプリやサービスについて説明を求められる機会が増え、スタッフに必要なスキルも高くなっていく。また、ドコモが積極的に取り組んでいる、「らでぃっしゅぼーや」を始めとする新領域のサービスについても店頭での取り扱いが中心で、スタッフは幅広い知識が求められることになる。

 そのため、「来店客1人あたりの応対時間や待ち時間が非常に長くなっているのが課題だ」と岡氏は話す。また、「スタッフの労働環境が悪化したために退職率が上昇し、人材を募集しても人が集まらない」(岡氏)という課題もある。

photo ドコモショップの現状と課題。ユーザーの要望の多様化、取り扱う商材の多様化により、スタッフに求められるスキルや知識のレベルが高くなってきている

 こうした現状を踏まえた上で、岡氏は「ドコモショップが持つ強みである『提案力』を発揮していく時期にきている」と述べる。具体的には、新料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」と、「スマートライフのパートナーへ」というコンセプトのもとで提供されているさまざまな新領域のサービスを取り上げ、これらを店頭で丁寧に説明していくということだ。

photophoto 新料金プランはユーザーの要望から生まれたとし、4つのメリットがあると紹介。すでに100万件を超える予約がある(写真=左)。新領域のサービスは「知名度が低く、店頭での丁寧な応対が鍵になる」(岡氏)と説明(写真=右)

 また、ドコモブランドでスマートフォンやタブレットのアクセサリーをラインアップする「docomo select」も積極的に訴求していくことにも言及。「販売店でも周辺機器の取扱量の拡大が望める」(岡氏)とアピールした。

photo 夏モデル発表会で発表された周辺機器やアクセサリーのブランド「docomo select」。これを導入することで、ユーザー、販売代理店、ドコモそれぞれにメリットがあるという

 来店者1人あたりの応対時間や待ち時間の長時間化については、「来店予約システム」の活用と、フロアでのタブレット端末による応対で対策を打っている。来店予約は「ドコモマイショップ」会員になるとマイショップサイトからでき、ショップで優先的に案内される。月間10万件ほど利用があり、急速に増えているそうだ。マイショップサイトに直接アクセスできるアプリも提供されている。また、タブレット端末での接客は、それだけで応対が完了することもあり、カウンターの専有時間を短くするのに役立っている。

photophoto ショップでの待ち時間や応対時間短縮のために、ドコモマイショップを活用した来店予約システムやタブレット端末での応対を採用

 また、募集してもなかなか集まらないショップスタッフの採用支援も行っている。2013年12月からショップスタッフの業務紹介サイトを立ち上げ、ドコモショップの1日を紹介したり、スタッフの話を掲載したりしている。アクセス数はまだ少ないがエントリー数は累計で約550件になり、岡氏は「採用に結びつけたい」と期待を語った。

 「今後は新料金プランの導入だけでなく、固定の光回線とのコラボレーションも予想される。ショップもますます高度化していくと思うので、店頭やスタッフの応対力を高めていくように努力する」と、岡氏は今後の展開を語った。

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