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» 2015年02月13日 12時00分 UPDATE

石川温のスマホ業界新聞:ソニーが2017年度に売上高9000億円から1兆1000億円を計画 ━━高付加価値路線で販売台数減少を視野に入れたのか

日本通信の「VAIOスマホ」や、ソネットのモバイル通信サービスと「Xperia」を組み合わせた新サービスなど、モバイル分野での新展開をもくろむソニー。モバイル事業での巻き返しはできるのだろうか。

[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 2月4日、ソニーは2014年度第3四半期の連結業績を発表した。売上高及び営業収入は前年同期比6.1%増の2兆5578億円。営業利益は前年同期比894億円増加の1783億円となる。これにより2014年度の連結業績見通し営業利益は、昨年10月には400億円の赤字と見積もっていたが、一転して200億円の黒字となった。

 収益が改善している背景にあるのが、円安基調の為替による影響だ。また、ゲーム分野ではPS4の販売台数が計画を上回り、さらに、オンラインゲームの売り上げも堅調だという。

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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2015年2月7日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額525円)の申し込みはこちらから。


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 ただ、ソニー本体の足を引っ張っているのが、モバイル分野だ。販売台数は増加したものの、2014年度のモバイル分野の売上高は1兆3200億円、営業損益が2150億円の赤字見通しを発表。ソニーではモバイル分野での構造改革を進めるために、昨年9月に発表した約1000人に加え、新たに約1100人を追加し、計2100人の人員削減をする。どの地域でどれくらいの人員を削減するかなどは明らかにされなかったが、構造改革費用に300億円を計上し、他のオペレーション費用の削減を含め年間900億円以上削減するという。

 もし、この構造改革で上手くいかないことがあれば、VAIOのようにモバイル分野を分離するといった大胆な手を打ってくるかも知れない。場合によっては、他の日本メーカーとの協業もあり得るかも知れない。今回、ソニーではモバイル事業における2017年度の経営数値目標を発表している。売上高は9000億円から1兆1000億円、営業利益率は3〜5%を目指していくとした。気になるのがこの数値だ。2014年度の売上高は1兆3200億円もあるのに対し、2017年度には1兆1000億円とマイナス成長となっている。ソニーモバイルでは、価格競争の激しい中国向けを取りやめ、比較的堅調な日本市場と欧州に注力し、製品的にもソニーの技術を搭載した「高付加価値モデル」が中心になろうとしている。

 平均価格帯は上がるにもかかわらず、売上高が下がると言うことは、販売台数は今後、減っていき、シェアもさらに下がるということなのだろう(ちなみに2014年度は年間3920万台の見通し)。

 確かにスマホ市場を見ても、世界的に成長は鈍化すると見られており、今後、成長が期待できるのは新興国であることを考えれば、先進国にターゲットを絞るソニーにとっては販売台数が減るというのは当然のことなのかも知れない。しかし、堅実な計画目標とは言え、売上高が下がっていく方向にあるのは何とも寂しいものだ。

 ただ、一方で、先日、自動車ジャーナリストの方々と対談する機会があったのだが(自動車を専門的にやられている、尊敬できる著名な方々)、日本のメーカーであるマツダは「10%の熱狂的なファン向けに商品を開発し、2%のシェアが獲れればいい戦略」で動いているのだという。確かに、ここ最近のマツダのクルマは個性的であり、クルマ好きからしても、購入するかは別として、横目でちらりと気になる存在になっている。ソニーはモバイル分野に関して「シェアは追わない」という言い方をしている。

 ソニーモバイルは、Xperia Zシリーズで王道を行くハイエンドモデルが中心であるが、ならば、マツダと同様に「2%でいいじゃん」と割り切って、フラグシップだけではなく、もっと尖った製品にチャレンジしても良いのではないか。それこそ、パナソニックがDMC-CM1を出したように、ソニーは10万円以上するハイレゾウォークマンにSIMカードスロットを採用してもいいだろう。

 2017年に今よりも売上高が下がる予想で動いているのであれば、もっと暴れ回ってもいいはずだ。2月18日には、平井一夫社長による経営方針説明会が行われる予定だ。是非、今後のソニーモバイルに期待できるような話を聞きたいものだ。

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