現代のスマートウォッチよりスゴイ?――カシオの歴代多機能時計はこんなにユニークだった樫尾俊雄発明記念館(1/3 ページ)

» 2015年06月06日 06時00分 公開
[荻窪圭ITmedia]

 世田谷区の成城にある「樫尾俊雄発明記念館」にて、6月10日から7月24日まで、カシオの歴代多機能時計の特別展示が行われる。古くからのガジェット好きにはたまらない、ゲームができる腕時計、放射温度計がついた腕時計、心拍数を測れる腕時計、そんなユニークな商品たちだ。6月10日からなのは、その日が「時の記念日」だから。

 それに先立ち、6月4日にメディア向けの先行公開が開かれたので、歴代の逸品を見てきた。

「樫尾俊雄発明記念館」とは?

 そもそも樫尾俊雄発明記念館とは何か。なぜ成城にあるのか。

 カシオは正式には「カシオ計算機株式会社」。電気式計算機の開発をするために、樫尾四兄弟で設立した会社だ。樫尾俊雄はその次男で開発を担当し、リレー式計算機から電子計算機、さらに電卓、腕時計、電子楽器など画期的な製品を開発・発明してきたので有名だ。

 樫尾俊雄発明記念館は、2012年に亡くなった樫尾俊雄氏の居宅の一部を記念館として整備し、氏が開発・発明したさまざまな機器を展示して公開しているのだ。それが世田谷区の高級住宅街、成城にあるのである。

 駅からは遠いが、武蔵野台地の西の端、国分寺崖線上(つまり崖の上)にあり、急な斜面の庭園は「成城四丁目発明の杜市民緑地」として一般公開されており、誰でも入ることができる。

photo 崖の下から発明の杜市民緑地を上る人たち。こんな崖だ。木々の隙間からちらりと見えるのが、樫尾俊雄発明記念館

 記念館自体は氏の住居そのままだが、リビングや応接間など各部屋にテーマ別にさまざまなカシオの製品が展示されている。「発明記念館」というくらいだから、個性的な製品が多い。

photo 樫尾俊雄発明記念館

 エントランスを入ると「発明の部屋」と「数の部屋」がある。発明の部屋にはカシオ兄弟が発明した世界初の小型准電気式計算機「14-A」(小型といっても大きな机の横にコンソールがついたもの。リレー式計算機で、机の裏にリレーがびっしりつまっており、計算時はかなり大きな音がする。1957年の製品。今でも稼働し、各種計算を行ってくれる)など古い計算機を展示。

 広くてキレイで庭を楽しめるリビングに鎮座する古い計算機という取り合わせがたまらない。

photo ソファのあるリビングに鎮座する1957年の計算機。巨大な計算機とおしゃれなリビングの取り合わせがシュールでたまらない

 数の部屋は電卓の部屋。電光管を使った電卓から、大ヒット商品となったカシオミニ、薄型電卓や関数電卓が並ぶ。

photo 数の部屋の展示の様子
photo 電光管を使った計算機。なんと稼働品
photo 一世を風靡(ふうび)したカシオミニ。これが懐かしく感じられるのは50歳以上限定かも

 時の部屋はカシオ最初の腕時計「カシオトロン」を代表とする時計類の部屋。

photo 時の部屋
photo カシオ最初の腕時計「カシオトロン」

 今回の先行公開は書斎で行われ、書斎に時計も置かれたが、6月10日以降はこの「時の部屋」に展示される予定だ。

 その隣には「音の部屋」があり、カシオが手がけた電子楽器が展示されている。

photo 電子管楽器、デジタルホーンもある

 民生向けデジタル機器の歴史やカシオ計算機の歩みを知るのみならず、往年のガジェット好きなら垂ぜんもののアイテムが解説付きで並んでいるし、往年の電気計算機の実稼働姿を見られるのもたまらない。

 なお、ちょっとハードルが高いのが、開館日が平日のみで、あらかじめ予約が必要なこと。詳細は樫尾俊雄発明記念館を参照。

特別展示の多機能ウォッチたち

 さて本題。

 そんな発明記念館で行われる「特別展示」。なぜ今特別展示が行われるのか?

 そこはやはりApple Watchの登場でAndroid Wearをはじめとするスマートウォッチが話題になり、手首争奪戦の様相を呈している中、カシオが数10年前から作ってきた多機能腕時計が再び見直されているからだろう。

photo 実際の展示では「時の部屋」のガラスケースに置かれる数々の多機能腕時計たち

 今だからこそ、その先進性やユニークさがきちんと評価できる。

 今回の先行展示では、多機能腕時計のほとんどに携わってきた時計事業部長 増田氏は現在のスマートウォッチでできることは、「実はカシオがすでに商品化!」と言いつつ、カシオの多機能腕時計の歴史を振り返ってくれた。

photo スマートウォッチとカシオの歴代多機能腕時計

 ジャンルは「ビジネス」「エンターテイメント」「健康・フィットネス」「アウトドア」の4つ。

 展示される各ジャンルの時計それぞれを増田氏のコメントを加えながら紹介しよう。

ビジネス:受話器に押しつけて電話をかける時計も

 ビジネス系では、電卓内蔵の「C-80」(1980年)を紹介したいが、残念ながら実機はない。増田氏いわく「カシオの腕時計は遊び心があるといわれるが、作っている我々はボタンの高さを変えて押し間違いを減らすなど真剣に作っていた。今考えると、誰が使うんだ、となるけれども(笑)」。

 続いて、ウォーキングディクショナリとして登場した、辞書内蔵の「T-1500」(1982年)、アドレス帳を入れられるテレメモの「CD-401」(1984年)。腕時計に入れられるメモリ容量が増えてきたので、誰もが考えるアドレス帳をつけてみたという。

 プッシュ式電話は音で電話番号を送信することができたので(いわゆるピポパ音)、腕時計からその音を出すことで電話をかけられるようにしたフォーンダイヤラー「DBA-800A」(1987年)。受話器に腕時計を押しつけて電話できたのだ。これも実機がないのが残念。

photo 左から「C-80」「T-1500/2000」「CD-401」「DBA-80」

 そして今のスマートウォッチの先駆けといえるのが、PCとリンクしてアドレス帳などをやりとりできる「HBX-100」。1998年にすでにパソコンから電話帳を転送して使える腕時計を出していたのだ。

photo PCリンク「HBX-100」

 2004年にはG-SHOCKシリーズのひとつとしておサイフケータイ的機能をもった腕時計も登場。エッソ・モービル・ゼネラルのスピードパスに対応した「GWS-900」だ。

photo スピードパス対応の「GWS-900」

 そのほか、世界初のオートカレンダー付き腕時計「QWO2-10」、タッチパッドを搭載して盤面で数字を描いて計算できる「VDB-1000」や、漢字辞書を内蔵したデータバンクウォッチ「DKW-100」、盤面の上に透明の液晶パネルを置き、二重液晶で情報を表示する「ABX-55」、音声録音機能がついたデータバンク「DBC0-V50」、携帯電話への着信を振動で通知してくれる「VCL-100」も展示される。振動で通知してくれるなんて、今のAppleWatchそのものではないか。

photo 「QWO2-10」(1979年)
photo 左が「VDB-1000」(1991年)、右が「DKW-100」(1991年)
photo 「ABX-55」。見て分かるように、液晶パネルが重なっていて手前側に日時やデジタル時計表示がある。
photo 「DBC-V50」(1999年)
photo 「VCL-100」(1998年)
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