「格安SIM(MVNO)ってキャリアSIMの安い版でしょ? 田舎でのエリアとか速度とか心配だな」…そんな声も時々聞こえるMVNO、実はそんなことはありません! でもそれってどうしてでしょうか?
格安SIMは、携帯電話キャリアの提供しているサービスに比べ、何かしらで劣っていると思われがちです。特に、携帯電話における重点テーマ「エリア」については、MVNOってエリアが狭かったり、田舎に行ったら速度が遅かったりするんじゃないの?と考えている方は多いのではないでしょうか。
実はそんなことはありません。確かに、みんなが一斉に使う昼休みは遅い、なんて検証記事もありますが、そういった特別な場合を除くと、キャリアのサービスと劣るところは無いんです。それは、MVNOがサービスをしている仕組みに関係があります。
MVNOはどんな仕組みでサービスを提供しているのでしょうか。
MVNOは携帯キャリアから電波を借りている、とよく言われますが、実際はスマホやルータとMVNOのネットワークの間が「つながる」権利を購入しているのです。電波は、最後にスマホやルータにデータを届けるための手段に過ぎないということになります。
キャリアのネットワークが端末に「つながること」と同じく、MVNOとキャリア間の「つながりやすさ」を購入していることになります(間で何も手を入れないと言う意味で、キャリアのことを「土管」なんて呼ぶこともあります)。
無線中継局(基地局)はいろいろなつなげる手段の中の一つで、基地局自身は、送ろうとしているデータがキャリアのものなのかMVNOのものなのかを知りません。ですから、どこに行っても最低限キャリアと同じレベルの無線サービスが利用できることになります。
と言うことは、MVNOのサービスエリアは、ドコモやauと全く同じということになります。さらに言えば、無線の上では区別されずドコモやauのサービスと共有するので、MVNOが独自の規制をしていなければ全く公平に無線を使えるということです。
よく「MVNOは遅い」と言われるのは、MVNOとキャリアの間の接続速度の話です。実はこの部分がMVNOのコストになるため、格安で提供するためにここでコストダウンをしている例が多いようです。みんなが一斉に使う昼休みには、MVNOではキャリアとの接続点の通信速度があふれてしまって遅くなることがあります。これが「遅い」と噂される唯一の原因。
逆に言えば、そんな時間帯以外で、人影もまばらな場所に行けば、まさに爆速で使えます(MVNO独自の通信速度制御が無い場合)。地方だと直接キャリア契約しないと使えなかったり遅かったりするんじゃないかなあ、なんて心配は一切無用なんです。
幸い、今ではいろんな格安SIM MVNOが通販でSIMを買えるようになっていて、オンラインで即座に開通できるようなところもあります。
郊外に住んでいる人こそ、MVNOを活用するのが賢いと言うものです。そうでない人も、9月にあるシルバーウィークという大型連休には、広いエリアで都市部よりも爆速なMVNOを、旅のお供にしてみてはいかがでしょう。
(文:記者M)
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