エックスモバイルが11月16日、SIMロックフリーの新製品「スゴい電話」を発表した。
スゴい電話は、エイビットが開発した固定電話型の携帯電話。エイビットはウィルコム(現ソフトバンク)向けに「イエデンワ」を供給してきたが、これの3G版といえるモデルだ。通常の固定電話のように配線工事が不要で手軽に利用できるのが特徴。今回はエックスモバイル向けに開発し、「もしもシークス」のSIMカードとセットで販売する。16日から予約を受け付け、12月中旬から出荷する。
価格は本体が3万5000円(税別、以下同)で、1日33Mバイトのデータ通信と、30秒19.9円の従量課金で通話ができる専用プランを用意する。1日33Mバイトを超えると当日の通信速度は制限されるが、翌24時に制限は解除される。専用プランの月額料金は1380円だが、11月16日から12月中旬までの先行予約期間に申し込むと、月額料金が半年間980円に割り引かれる。プランは従来の「かけたい放題」も選べる。
「データ通信」と聞いて「おや?」と思った人もいるかもしれないが、スゴい電話は無線LANルーターとしても使用できる。ただしLTEには対応しておらず、通信速度は下り最大7.2Mbps、上り最大2Mbpsの3G(W-CDMA)にとどまる。対応ネットワークはNTTドコモの2.1GHz帯と800MHz帯の2つ。SIMカードを差し替えれば、他のMVNOのSIMでもテザリングは利用できるが、SIMの種類やプランによって対応しない場合がある。
エックスモバイルの木野将徳社長は、「誰が見ても電話と分かるデザインだけど、電話線がない。これを置くと、すぐに家の電話としても使えて、インターネット環境になる」と使い勝手の良さをアピールした。固定電話として使えるのはもちろん、工事現場の事務所・クレーンの中に設置する、Webカメラのアクセスポイントとして使うなど、法人需要にも応えていく。エイビットは、非常時やイベント時の仮設電話、在宅介護の見守りやテナント向け端末として、企業や自治体にも販売を計画しており、年間3万台の出荷を見込んでいる。
ドコモのSIMカードを使うため、発信する番号は080、090、070から始まるものとなる。ダイヤル、留守番電話、ミュート、保留、アドレス帳、短縮ダイヤルなど、固定電話の基本機能は一通りそろっているが、迷惑電話の防止機能は備えていない。またメール(SMS)の送受信にも対応しておらず、スゴい電話の番号あてにテキストメッセージを送ることはできない。
電源はACアダプターを使って確保できるほか、持ち運ぶときは、別売りの単3アルカリ乾電池(4本)かリチウムイオンバッテリー(約3000円)を使用する形となる。単3アルカリ乾電池(4本)使用時の連続待受時間は最大350時間、連続通話時間は最大8時間。
エイビットの檜山竹生社長は、「これまでPHSをやってきたが、時代の要請が強く、3GやLTE端末も開発している。(スゴい電話は)通話プランとデータプラン込みで使うことで力を発揮する。フィールドテストをやったところ、特にシニアの方に非常に好評だった。電話を再発明したい」と意気込みを語った。本機は現在ところ、エックスモバイル向けにしか開発していないが、檜山社長によると、その他のMVNOに提供することも視野に入れているという。実際、エイビットは「ホムテル 3G」という製品名で別途発表している。
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