「VAIO S11」で独自SIMを採用した理由、MVNO参入でVAIOが目指すものとは?:MVNOに聞く(1/2 ページ)

» 2015年12月28日 06時00分 公開
[石野純也,ITmedia]

 VAIOが発売した「VAIO S11」は、LTEに対応し、SIMロックフリーで利用できるモバイル向けのPCだ。アンテナ設計をモバイルネットワークに最適化し、本体にもあえて樹脂素材を使っているなど、“電波”に徹底的にこだわった1台といえる。

photo LTE内蔵のノートPC「VAIO S11」

 注目したいのが、VAIO S11の発売と同時に、VAIOは、MVNOとして通信サービスも提供するようになったことだ。このサービスを支えるのが、「OCN モバイル ONE」でおなじみのNTTコミュニケーションズ。OCN モバイル ONEの特徴を生かし、データ通信の速度をPC上から切り替えるユーティリティも提供している。

 NTTコミュニケーションズがサポートしているとはいえ、VAIOのSIMカードのプランは、OCN モバイル ONEとは別物だ。基本的にはプリペイドの買い切り制で、期限の設定が1年、2年、3年の単位となる。毎日データ通信を使うかどうか分からない、PCユーザーのニーズに応えた格好で、まさにキャリアにはできないサービスを実現するMVNOとなっている。

photo VAIO S11で提供される料金プラン

 この「VAIOオリジナルLTEデータ通信SIM」の誕生秘話を、サービスの開発に携わったVAIO 事業企画室 永吉桂子氏、商品企画部 黒崎大輔氏と、NTTコミュニケーションズ 長野支店 奈良部達也氏、NTT 技術企画部門 飯田博之氏に聞いた。なお、飯田氏は、サービス開発当時はNTTコミュニケーションズに在籍しており、その後持ち株会社に異動、現在の役職に就いている。

photophoto キーボードのヒンジ側の側面にSIMスロットがある。SIMカードのサイズはmicroSIM

NTTコムからの提案で商品化が決定

photo VAIO 事業企画室 永吉桂子氏

―― まず、ハードウェアの会社であるVAIOが、SIMカードを提供することになった経緯を教えてください。

永吉氏 2014年7月にVAIOを設立したとき、長野支店長の奈良部さん、飯田さんがいらっしゃり、「LTE搭載端末にSIMを装着して、常時接続にするのはどうでしょうか」という打診をいただきました。まだLTE搭載端末はありませんでしたが、そのお話がきっかけとなり、社内で議論をして、VAIO S11が開発されました。

奈良部氏 VAIOさんが長野の会社になられたのですが、これは長野支店として見ても、新しく大きな会社ができたということになります。われわれは通信の会社なので、モバイル絡みのご提案もできる。VAIOということで、こだわりのあるもの、世界観のあるものが作れるのではないかと思いました。その中で、当然、通信も1つのパーツになりますからね。

飯田氏 個人的な話になってしまいますが、僕は初代のVAIOユーザーで、そのあと、「VAIO type P」も使っています。分社化されたとき、「これは提案しにいかなければ」と思いました。奈良部もVAIOがずっと好きで使っていた1人です。

photophoto NTT 技術企画部門 飯田博之氏(写真=左)、NTTコミュニケーションズ 長野支店 奈良部達也氏(写真=右)

―― なるほど。NTTコミュニケーションズさんの中の、VAIOファンが動いたことがきっかけになったということですね。安曇野だから、長野支店というのも納得です。最初から、今回のような料金プランが念頭にあったのでしょうか。

奈良部氏 せっかくVAIOのSIMを出すのであれば、どこにもないプランがいい。ありきたりの「月額いくら」というものにして、こっちが安いというところにいっても、仕方がないですからね。割と最初のころから、アイデアの種としてはこういうものがありました。

日本通信からNTTコムに乗り換えたわけではない

photo VAIO 商品企画部 黒崎大輔氏

―― 役割分担としては、VAIOがMVNOで、NTTコミュニケーションズがMVNEということでよろしいでしょうか。あえてMVNEの名前を全面的に出すのも珍しいと思いますが、その理由を教えてください。

永吉氏 はい。その関係で合っています。

黒崎氏 量販店に行き、信頼感が絶対的ということは聞かされていました。逆にわれわれは、PCではある程度ブランドはありますが、通信事業は経験がない。あえてOCNということは言った方がいいのではないかということは、内部でも議論していました。

―― その中で、どういった流れで、サービスが開発されたのかを教えてください。

永吉氏 やりたいことをご相談して、料金も含めて、見合うかどうかを検討するという流れです。

黒崎氏 われわれはフワッとしたわがままを言うのですが、それを、きちんとしたプランとして作っていただくような形ですね(笑)。

永吉氏 通信のことはよく分からなかったので、フワッとした感じでお伝えしていました。そこをどう具現化するのかを、相談しながら進めています。

―― 今回はMVNOになり、SIMカードの販売までVAIOが担当しています。一方で、通信サービスをNTTコミュニケーションズ側で出し、販売するだけという選択肢もあったかと思いますが、いかがでしょうか。

永吉氏 単なる取次になってしまうと、カスタマイズの部分でやりづらいところもあります。黒崎も、VAIO S11に搭載するならこういうプランにしたいという思いがありました。それをやるには、われわれが自らMVNOとして販売までしていくしかないというのが結論です。

―― ソニー時代から日本通信と組み、VAIO Phoneもあったので、てっきり今回も日本通信なのかと思いました。日本通信とNTTコミュニケーションズに乗り換えた……というわけではないですよね。

永吉氏 今回は、このプロジェクトとして、NTTコミュニケーションズさんと協力しています。日本通信さんとの協業はまだ継続していますし、VAIO Phoneに関しても法人向けのソリューションと組み合わせたビジネスを展開されています。ですから、今回のSIMが出ることは事前にご連絡もしています。

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