3月2日から、NTTドコモのXperia Z5シリーズ3機種で、Android 6.0へのバージョンアップが開始された。GoogleがAndroid 6.0を提供してから約5カ月後、海外のXperiaとほぼ同じタイミングで、ドコモスマホがOSバージョンアップできるようになるとは、過去のケースを考えると異例の早さだ。筆者も「Xperia Z5 Premium」に早速Android 6.0を導入したので、ファーストインプレッションをお届けしたい。
Xperiaは端末単体か、PCソフトの「PC Companion」経由でバージョンアップが行えるが、今回はPCからのバージョンアップが遅れているので、端末単体から行った。バージョンアップは「設定」→「端末情報」→「ソフトウェアアップデート」からできる。
筆者は3日の1時30分頃に試してみたが、ドコモ側のサーバが混雑していたためか、なかなか更新ファイルのダウンロードが始まらなかったので、ひとまずファイルを自動ダウンロードする設定にして就寝。8時30分頃起床して確認したところ、ちょうど更新ファイルのダウンロードが始まっていた。なお、更新ファイルは1.3GBほどあるので、あらかじめ相応のストレージを空けておく必要がある。
Xperiaの場合、SIMカード(spモード契約)が挿入されていると、Wi-Fiに接続していてもLTEか3Gで更新ファイルがダウンロードされる(SIMカードを抜けばWi-Fiを利用できる)が、通信料は発生しない。ダウンロードが終了すると、いよいよインストールが可能に。ドロイド君の画面がしばらく出て、インストールが終了すると、通常の起動画面に切り替わる。これで作業は完了だ。
Android 6.0では、ホームボタンを長押しすると、起動中のアプリで表示されている内容から欲しい情報を提案する「Now on Tap」、端末を操作しないと自動で深いスリープ状態になる「Doze」機能、利用頻度の低いアプリの電力消費を制限する機能、本体のデータへアクセスする権限をアプリごとに決められる設定などを利用できる。
6.0の目玉機能の1つであるNow on Tapは、ホーム画面を表示させてホームボタンを長押しすると、オンにできる。以後は、知りたい情報がある画面でホームボタンを長押しすると、Google検索、ニュース、電話番号など、さまざまな情報や操作の入口を表示してくれる。
UI(ユーザーインタフェース)や画面の見栄えは4.4→5.0のときほどの変化は少ない。ホーム画面では、下方向にスワイプすると、アプリの検索が可能になる。また、ホーム画面の長押し→「設定」から、画面をスワイプしたときのエフェクト設定が可能になる。細かいところでは、「最近利用したアプリ」一覧の画面で下方向にスクロールをすると、スモールアプリのバーが隠れるようになる。
「設定」の項目名も少し変更されている。メインメモリの使用量が分かる「メモリー」(これまでは「アプリ」から確認できた)、マルチユーザーの設定ができる「ユーザー」(通知バーの人型アイコンからも設定は可能)、Googleサービスの設定をまとめた「Google」などが追加された。
Android 5.0まで使えた「電源管理」がなくなり、「STAMINAモード」が利用できなくなったが、4月下旬以降のソフトウェアアップデートで復活する予定。ただ、6.0で新たに追加された「バッテリーセーバー」機能では、STAMINAモードと同様の省電力設定が可能になり、指定したバッテリー残量に達すると、バックグラウンドのデータ通信を制限してくれる。STAMINAモードとどちらが優れているのかは気になるところだ。
スクリーンショットの仕様も変更される。まず、スクリーンショットを撮った後に、通知バーで「共有」のほか「削除」も可能になる。
また、Android 5.0のXperia Z5 Premiumでは、スクリーンショットの画面サイズは1080×1920ピクセルに固定されていたが、6.0では2160×3840ピクセルとなり、ディスプレイと同じ解像度で保存される。トリミングをするときなどはサイズが大きい方が便利だが、ファイル容量が400KB〜4MBほどに増えてしまった。サイズを変更できる設定があればいいのだが、今のところ見当たらない。そもそも写真や動画以外のコンテンツはフルHD表示に固定されているのだから、無理に4Kに引き延ばさなくてもいいと思うのだが……。
カメラ機能では撮影時の操作法が変わり、画面をスワイプすることで、「マニュアル」「プレミアムおまかせオート」「ビデオ」「カメラアプリ」を切り替えられる。iPhoneのカメラに操作性が近くなった印象だ。
プレミアムおまかせオートとマニュアルをワンスワイプで切り替えられるのは便利だが、これまでプレミアムおまかせオートの撮影画面に表示されていた動画の録画ボタンが非表示になり、動画を撮影するときは都度モードを切り替える必要があり、逆にステップが増えた。ここのUIは無理に変えなくてもよかったように思える。
「4Kビデオ」「ARエフェクト」「スイングパノラマ」など、その他の撮影モード(カメラアプリ)は別途メニューから呼び出す形だが、これらの中でよく使う機能も、スワイプで設定できるようにしてほしかった。特にZ5 Premiumなら4Kビデオを使う人も多いのではと思う。
一方、操作スピードは改善されたと感じる。Android 5.0のときはロック画面からカメラを起動させたときに、若干もたつくことがあったが、6.0ではよりスピーディに起動する(正確に秒数を比較したわけではないが)。
操作面で明らかに5.0から改善されたのは動画編集だ。5.0のときは、4Kサイズで撮影した動画を編集しようとすると(編集用のボタンを押すと)、「不明なエラーです」というアラートが出て、編集を進めることができなかった。短い4K動画やフルHD動画なら編集はできたのだが、ある程度長い4K動画は編集できなかった。「何のための4Kだよ!」と何度叫びたくなったことか……。
ソニーモバイルに確認しても原因が不明だったが、恐らくメモリ不足によるところが大きかったのだろう。しかし、6.0にバージョンアップしてからは、このエラーメッセーは出ず、問題なく編集できるようになった。特に4Kで撮影したものを「フォトキャプチャ」で静止画に保存する機能は、Z5 Premiumならではのメリットだったので、操作問題の解消はうれしい。
ちなみに、内蔵ストレージの空き容量が少ないと(100MB未満など)、Android 5.0と6.0いずれも、「メモリーがいっぱいです」といったアラートが出て編集はできない。4K動画の編集には、ある程度の内蔵ストレージを確保しておく必要がある。
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