「間もなく黒字です」――新プラン導入で“大人の階段”を上り始めたエックスモバイルMVNOに聞く(3/3 ページ)

» 2016年04月20日 11時16分 公開
[石野純也ITmedia]
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「UPQ Phone A01X」と「arrows M02」を追加した理由

―― ちょうど端末の話が出たところで、4月からのラインアップをうかがっていこうと思います。新たに「UPQ Phone A01X」と「arrows M02」などを導入しましたが、その意図を教えてください。

木野氏 UPQ Phone A01Xは、初期費用の負担が小さい、1万円台の端末を出したかったからです。ASUS、Huawei、FREETELといろいろ悩みましたが、これに決めています。

もしもシークス 「UPQ Phone A01X」

―― 決め手は何だったのでしょう。

木野氏 私も秋葉原に住んでいましたし、お互い頑張れるということで(笑)。

(※UPQの代表取締役社長 中澤優子氏は秋葉原でカフェのオーナーを務めながら、同地を拠点にするDMM.makeでUPQを設立した)

―― あ、面識があったんですね。

木野氏 いや、特にありません。Facebookの友達申請も、許可が下りていないです(苦笑)。

―― あっ……。話を変えて、次にarrows M02はいかがでしょうか。

木野氏 やはり、国内メーカーで3万円という価格帯のものが欲しかったからです。私個人としては、「Galaxy S7 edge」でいいのではと思いますが、やはり店頭で国産に対するニーズが大きく、それはなかなか……。

もしもシークス 「arrows M02」

―― 売れ筋の価格帯で、国内メーカーがいいという人もいますからね。

木野氏 あとは、メーカーさんの協力があるかどうかも重要です。例えば、HTCさんだとモックや什器(じゅうき)をいただけたり、パンフレットもほぼ無制限でいただけます。新規店舗をオープンした際は、ケースをいただけたりと、非常に協力的でした。そうなると、僕らとしてもやりやすいですね。

―― 今後のラインアップとして、ガジェット好きな木野さんの趣味が反映されたような端末は、出るのでしょうか。

木野氏 狙っているものはあります。あるのですが、最近、買う端末がなくなってきて……。(背面に電子ペーパーを搭載した)「YotaPhone 2」が出たときのような感動がない。Xiaomiも普通になってきてしまったので、そうなるとなかなかフルコミットができません。ただ、「Smartisan」(新興中国メーカー)の端末はいいですね。あれはやれるなら、ぜひやりたいです。

au/ソフトバンクのマルチキャリアも検討

―― 店頭では、どういう層が契約されていますか。

木野氏 本当にまちまちで、こうとは言い切れません。初めてスマホを持つ人もいれば、スマホやMVNOに詳しい人もいる。かなりバラつきがある印象です。ただ、MVNOを最初から知っている人は2割ぐらいで、あとの8割はまったく知りません。

―― そうなると、先ほどの初期費用の話ですが、ここはもう少し軽減できるとうれしいのかなと思います。例えば、MNPである程度値引くといったことは、可能でしょうか。

木野氏 今すぐにやるわけではありませんが、検討はしています。確かに端末を買うところの障壁が1つあって、月々サポートのような形や、分割払いも検討しています。また、その意味では、(ドコモ以外のauやソフトバンク回線を使った)マルチキャリアもやっていきたい。そうすれば、お客さまが端末を乗り換えなくてもよくなります。特にソフトバンクはiPhoneユーザーが多いので、そういうところを取り込んでいけることは目指しています。

―― 最後に、以前のインタビューでは「超絶赤字」とおっしゃっていましたが、現状はいかがですか。

木野氏 間もなく黒字です。1回黒字になれば、相当安定します。その意味では、昔のように超赤字で死ぬ気でやらないと本当に死んでしまうところから、成長するために何をしなければいけないのか考えるフェーズに変わってきました。以前のように、気合と根性だけで乗り越えられないところですが、手応えは相当あると感じています。

もしもシークス

取材を終えて:派手さはなくなったが堅実に成長している

 やんちゃだったエックスモバイルも、大人の階段を上り始めている。インタビューを終え、そのように感じた。打ち出す施策も以前のような派手さはなくなっており、どちらかといえば、ユーザー中心の発想になっている印象だ。

 独自ショップの販路をここまで広げているのも、他のMVNOにはない特徴。料金プランを単純に比較すると他社より高くなるかもしれないが、接客やサポートなどのきめ細やかさがあれば、ユーザーの支持は得られるはずだ。上位のプランを契約する人が多ければ、端末の割引の原資が作れる。木野氏も検討していると述べていたように、Y!mobileやUQ mobileのような端末を値引くプランが登場する日も、そう遠くはないのかもしれない。

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