みずほ銀×ソフトバンク「フィンテック貸金業」のメリットは?

» 2016年09月15日 21時15分 公開
[井上翔ITmedia]

 みずほ銀行とソフトバンクは9月15日、個人向けレンディング(貸金)サービスの提供を目的とする合弁会社の設立で合意した。合弁会社は両社の折半出資で11月中に設立し、2017年前半の事業開始を予定している。

 この合弁会社では、ビッグデータや人工知能(AI)などのIT技術を活用する金融「フィンテック(FinTech)」にもとづく貸金業務を行うという。従来の個人向けローンと比較した際のメリットはどこにあるのだろうか。

合弁会社は折半出資の予定 合弁会社はみずほ銀行とソフトバンクの折半出資となる予定。なお、会計上はみずほ銀行側の連結子会社となる見通しだ
発表会で握手を交わす持株会社の首脳 共同記者会見で握手を交わすみずほフィナンシャルグループの佐藤康博社長(左)とソフトバンクグループの孫正義社長(右)。合弁会社を設立するのは両社の“子会社”なのだが、“親”が説明を行う格好となった

「情報提供」で融資を受けやすく

 両社が設立する合弁会社は、「今までとは全く違うレンディングの世界を作る」(みずほフィナンシャルグループの佐藤康博社長)という意図のもと、新ブランドのもとでサービスを展開する予定だ。

 その目指す姿は「夢の実現を応援」することにあるという。例えば、MBA(経営学修士号)取得のための留学費用、音楽でプロを目指すための費用、子どもの教育資金、旅行資金といった個々人の持っている夢をかなえるための融資を行うという。

合弁会社の目指す姿 合弁会社の目指す姿

 それを実現するために、合弁会社では「スコア・レンディング」という手法を用いる。この手法では、収集した情報をスコア(点数)化して融資の可否や融資条件(融資限度額や金利)を決定する。

 収集する情報は、既存のカードローンなどの審査でも用いている信用情報(クレジットカードなどの契約・利用状況など)や属性情報(勤務先、年収、住居など)だけではなく、みずほ銀行やソフトバンクでの取引情報、SNSでの投稿情報なども含まれる。

 信用情報や属性情報以外の情報もスコアとして反映されるため、従来型の審査では「蚊帳の外」だった人でも、融資を受けられる可能性があることが大きなメリットだ。また、より多く情報を提供することで、より有利な条件で融資を受けられることも利点となる。

 ただし、融資条件を良くするには、より多くの情報を提供する必要があるという点には注意が必要だ。メリットは見方を変えればデメリットにもなり得るのだ。そのことを意識してか、スコア・レンディングに伴う情報収集は、申込者の明確な同意がない限り行わないことにしている。

従来よりも審査応諾者を増やす スコア・レンディングによって、従来のローンよりも申し込み対象者を広げる

スマホ1台で完結

 合弁会社のサービスは、専用のスマートフォンアプリで完結できることも大きな特徴だ。

 新規申込時は、アプリから属性情報を入力すると、30分程度でプレスコアリング(事前審査)が完了し、初期の融資条件(限度額と金利)を確認できるようになる。

 アプリを通してより多くの情報を提供すると、先述の通り、より有利な条件で融資を受けられるようになる。人員やインフラへの投資を抑えることで、金利も低めに抑える予定だという。

アプリで完結 合弁会社の新サービスは、スマホアプリで完結することも大きな特徴

 合弁企業や、それが提供する金融商品の詳細については、後日両社から改めて発表される予定だ。どこまで「夢をかなえる」手伝いとなるサービスになるか、詳細発表が待ち遠しい。

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