年末も「LINEモバイル」と「mopera U」が“二強”か――「格安SIM」19サービスの実効速度を比較(ドコモ回線12月編)通信速度定点観測(1/2 ページ)

» 2017年01月20日 12時45分 公開
[小林誠ITmedia]

 MVNOが提供している「格安SIM」を選ぶうえで、料金はもちろんだが、「通信速度」も重要な決め手になる。料金は各社のWebサイトやカタログに表示されていて比較しやすいが、通信速度は各社一律「下り最大225Mbps」「下り最大375Mbps」などと表記されており、実際のところどれだけの速度が出るのかが分からない。

 そこで、2015年7月から各社が提供している格安SIMの“実効速度”を毎月調査し、その結果を横並びで紹介している。今回は2016年12月編として、先月のドコモ系MVNOサービス(格安SIM)の通信速度をリポートしたい。au系MVNOサービスやY!mobileについても同時に調査したので、別途記事化する。本企画が格安SIMを選択する際の一助になると幸いだ。

「通信速度定点観測」バックナンバー
SIMカードのパッケージイメージ

通信速度の調査方法

 今回、テストを行ったのは以下の19サービスだ。

  • IIJmio
  • OCN モバイル ONE
  • BIGLOBE LTE・3G
  • b-mobile(おかわりSIM)
  • LINEモバイル
  • 楽天モバイル
  • NifMo
  • ロケットモバイル
  • FREETEL SIM
  • DMM mobile
  • U-mobile PREMIUM
  • Wonderlink(LTE Iシリーズ)
  • Wonderlink(LTE Fシリーズ)
  • mineo(Dプラン)
  • DTI SIM
  • 0 SIM
  • イオンモバイル
  • エキサイトモバイル
  • ドコモ(mopera U)

 ドコモ純正回線用の接続サービス「mopera U」を除いたMVNOサービスは計18。いずれのSIMも、LTEの高速通信に対応したものを使っている。その他の調査条件は以下の通り。

  • 計測端末:ZenFone 3×2台
  • 計測アプリ:RBB TODAY SPEEDTEST
  • 計測時間帯:平日午前(8時50分〜)、午後(12時20分〜)、夕方(18時〜)の3時間帯
  • 計測場所:JR横浜駅西口(午前、午後、夕方)
  • 計測回数:各時間帯・場所で1サービス、上下3回ずつ(平均値を掲載)

 auやY!mobile回線の速度測定を同じ端末で測定した影響で、ドコモ系MVNOの測定時間に従来より若干遅れが出ている。人力のテストなので、全てのサービスを同時に測定しているわけではないことはご理解いただきたい。

 通信測定のエラー、明らかにありえない速度(理論値超え)が表示された場合は再測定としている。各サービスの測定を開始した時刻は、以降の各時間帯の表を見てほしい。

午前:おおむね高速! 「mineo」と「イオンモバイル」がトップ争いに

 今回の測定は全て12月27日(火)に行った。この日の天候は「くもり時々雨」。寒冷前線の通過で、天気がコロコロ変わる1日だった。

 午前中は生温かい風が吹いていた。学生は冬休みに入っており、横浜駅前の人出はやや少なめの印象だ。年末年始はさまざまなイベントがあるため、通信トラフィックが急増し、ネットワークも混雑し、通信速度は遅くなりがちな傾向にある。

 さて、午前中の計測結果はどのようなものだろうか。

JR横浜駅西口での計測結果(午前中) JR横浜駅西口での計測結果(午前中)

 結論から言うと、午前中に関してはおおむね問題なかった。

 下り平均速度は、前月4位の「mineo(Dプラン)」が1位を奪取した。下り平均で75.46Mbpsと絶好調だ。ちなみに前月も63Mbps台と速かったが、さらにそれを上回った。

 続く2位は、午前中は好調な傾向にある「イオンモバイル」で、下り平均75.07Mbpsとこちらも見事な速度が出ている。3位には、前月は30Mbps台だった「エキサイトモバイル」がランクイン。下り68.58Mbpsと、速度は前月の倍近くになっている。

 以下、「IIJmio」「BIGLOBE LTE・3G」「b-mobile(おかわりSIM)」「NifMo」「Wonderlink(LTE I)」の5サービスが下り平均で50Mbps台となった。b-mobile(おかわりSIM)は、前回下り平均速度でワーストワンだったが、大きく改善している。

 「LINEモバイル」「楽天モバイル」は平均40Mbps台、「DMM mobile」「mopera U」は下り平均30Mbps台となった。ドコモ純正のmopera Uは、前月は平均75Mbps台で1位だったが、今回は速度が抑えめだ。とはいえ、スマホで使うには十分過ぎる速度だ。

 下り平均で10Mbpsを切ったのは3サービスのみ。うち、「0 SIM」で平均0.8Mbpsと、1Mbps未満の速度となった。人気のMVNOだけに混雑しやすいのだろうか……。同じく知名度の高い「OCNモバイルONE」も、平均6.77Mbpsと振わない。パナソニック系のMVNO「Wonderlink(LTE F)」は、平均9.79Mbpsとなった。これらのサービスがワースト3ということになるが、0 SIM以外はSNSの閲覧・投稿やWebサーフィン程度であれば十分快適に使えるだろう。

 一方、上りの平均速度は下りほどのバラつきはない。1位の「DTI SIM」、2位の「FREETEL SIM」、3位におかわりSIMが、平均20Mbps以上を記録した。前月は上り平均速度でもワースト1だったおかわりSIMが、下り平均速度と同じくトップ3入りを果たした。

 ワーストでも、上り平均速度については6Mbps台を確保。アップロード主体のサービスを使っている場合は、午前中はスマホを使う上でのストレスを感じることは少なそうだ。

JR横浜駅西口での測定結果(午前)
計測開始時刻 下り平均(Mbps) 上り平均(Mbps)
IIJmio 8:59 52.55 13.62
OCNモバイルONE 8:59 6.77 19.6
BIGLOBE LTE・3G 9:02 52.52 15.55
b-mobile(おかわりSIM) 9:02 50.55 20.66
LINEモバイル 9:05 45.28 6.2
楽天モバイル 9:05 40.99 8.74
NifMo 9:08 50.98 8.43
FREETEL SIM 9:08 19.84 23.08
ロケットモバイル 9:11 22.14 9.99
U-mobile PREMIUM 9:11 47.8 11.72
DMM mobile 9:14 34.49 9.01
Wonderlink(LTE I) 9:18 51.03 15.73
mineo(Dプラン) 9:18 75.46 6.93
Wonderlink(LTE F) 9:20 9.79 10.26
0 SIM 9:20 0.8 6.53
DTI SIM 9:23 13.88 23.33
イオンモバイル 9:23 75.07 8.29
エキサイトモバイル 9:25 68.58 13.54
ドコモ(mopera U) 9:14 30.2 7.86

午後:「mopera U」が突出! 2位以下を大きく引き離す

 続いて、ランチタイムの横浜駅前での測定。天候は急変し、テスト前まで強風が吹き荒れる。傘が折れるほどの強風だ。しかし、測定を開始する時には穏やかになり、晴れ間も見えた。一方で、気温は急激に低下した。気温の急低下は、人出に影響するかもしれないがどうか。

 周辺の状況を見渡すと、午前中とはうって変わって冬休みの若者が多い。また、旅行や帰省のためだろうか、大きな荷物を持つ人も目立つ。当然、連絡を取り合う人も多い。もしかすると、いつも以上にネットワークに負荷がかかっているかもしれない……。結果やいかに。

JR横浜駅西口での計測結果(午後) JR横浜駅西口での計測結果(午後)

 下り平均速度のトップは、2カ月連続でmopera U。前回とほぼ同じ65.61Mbps(前回は67.19Mbps)を記録し、朝よりも速くなっている。混雑時に強い大手キャリア純正サービス、という構図はかわりそうにない。

 2位も、前回と同じく「LINEモバイル」。MVNOサービスとしては非常に健闘しているものの、下り平均15.42Mbpsと、mopera Uには大差を付けられている。また、前月は下り平均で約57Mbpsを記録したことを考えると、速度がだいぶ落ちているともいえる。今のところ実用上は気にならないレベルだが、MVNOサービスは契約者が増えると速度が落ちる傾向にあることを考えると、今後の速度の動向が非常に気になるところだ。

 3位は、前月4位のFREETEL SIMで下り平均4.96Mbps。前回は下り平均5Mbpsだったので、速度はキープこそできているが、LINEモバイルの方が速い状況が固定化しつつある。4位は、Wonderlink(LTE F)の下り平均4.1Mbps。順位的にはFREETEL SIMに「逆転」された格好だが、結果的には「五十歩百歩」だ。

 5位は「楽天モバイル」の下り平均3.26Mbps。下り平均2Mbps台のサービスはなく、おかわりSIM、DTI SIM、イオンモバイル、エキサイトモバイルが下り平均1Mbps台となった。

 残りのサービスは下り平均1Mbps未満。ワーストワンは平均0.33MbpsのNifMoで、僅差のワーストツーは平均0.34Mbpsの0 SIMだった。ワーストスリーは平均0.5Mbpsの「U-mobile PREMIUM」となった。午前中に引き続き、0 SIMは辛い結果となった。また0 SIMとU-mobile PREMIUMについては、3カ月連続でランチタイムのワーストスリーに入るという不名誉な結果が続いている。もっとも、MVNOの多くも同様に低速なのだが……。

 前回同様に、10サービスが下り平均1Mbps未満と厳しい結果になっている。天候も人出もあまり影響しないのだろうか……? 結局、ランチタイムはMVNOは一部を除いてボロボロになるだけなのか。このあたりの動向も見逃せない。

 下りとは打って変わり、上りの平均速度はどのサービスも好調だった。トップはやはりmopera Uで、26.11Mbpsを記録した。2位には、上り平均17.1MbpsでNifMoが付けた。下りではワーストワンになってしまったが、上りでは挽回した格好だ。3位は、NifMoとほぼ同じ17.07Mbpsを記録したBIGLOBE LTE・3Gが入った。

 上りの平均速度のワーストワン・ワーストツーは前月と同じく「FREETEL SIM」「エキサイトモバイル」で、速度もやはり前月とほぼ同じ5Mbps台となった。

JR横浜駅西口での測定結果(午後)
計測開始時刻 下り平均(Mbps) 上り平均(Mbps)
IIJmio 12:29 0.87 9.57
OCNモバイルONE 12:29 0.65 9.73
BIGLOBE LTE・3G 12:32 0.6 17.07
b-mobile(おかわりSIM) 12:32 1.24 7.02
LINEモバイル 12:36 15.42 14.75
楽天モバイル 12:36 3.26 14.41
NifMo 12:39 0.33 17.1
FREETEL SIM 12:39 4.96 5.64
ロケットモバイル 12:42 0.58 12.28
U-mobile PREMIUM 12:42 0.5 9.21
DMM mobile 12:45 0.86 11.62
Wonderlink(LTE I) 12:49 0.94 10.28
mineo(Dプラン) 12:49 0.61 11.07
Wonderlink(LTE F) 12:52 4.1 15
0 SIM 12:52 0.34 6.39
DTI SIM 12:55 1.94 12.75
イオンモバイル 12:55 1.42 9.99
エキサイトモバイル 12:58 1.56 5.79
ドコモ(mopera U) 12:45 65.61 26.11

基本情報から価格比較まで――格安SIMの情報はここでチェック!→「SIM LABO

格安SIM、SIMロックフリースマホのすべてが分かる

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年