MVNOが提供している「格安SIM」を選ぶうえで、料金はもちろんだが、「通信速度」も重要な決め手になる。料金は各社のWebサイトやカタログに表示されていて比較しやすいが、通信速度は各社一律「下り最大225Mbps」「下り最大375Mbps」などと表記されており、実際のところどれだけの速度が出るのかが分からない。
そこで、各社が提供している格安SIMの“実効速度”を毎月調査し、その結果を横並びで紹介。今回は2017年9月編として、ドコモ系MVNOの通信速度をレポートしたい。au系MVNOやY!mobileについても同時に調査したので、別途記事を掲載する。本企画がMVNOサービスを選択する際の一助になると幸いだ。
今回、テストを行ったのは以下の18サービス。
前回とラインアップは変わらないが、「BIGLOBE SIM」のサービス名が「BIGLOBEモバイル」に変更されている(挿しているSIMカード自体は従来と同じ)。ドコモ純正サービスである「mopera U」を除くと、MVNOのサービスは計17となる。いずれのSIMもLTEの高速通信に対応したものを使っている。
調査条件は以下の通り。
通信測定のエラー、明らかにありえない速度(理論値超え)が表示された場合は再測定としている。用意しているのは4台のスマホなので、全サービスを同時に測定しているわけではない。各サービスの測定開時刻は、テスト結果の表を確認してほしい。記事で明記している速度結果は特記がないものを除き、3回の平均値となる。
本企画で紹介する通信速度は、時間帯や場所によって大きく変化するので、記事で紹介されている数値を100%うのみにせず、あくまで参考値としてご覧いただきたい。
まずは8時56分から実施した午前中の測定結果をお伝えする。
天候は小雨。この日、関東地方は大雨に見舞われ各地に洪水や土砂災害の警報が発表されていたが、横浜駅前は穏やか。しかし、電車や自動車など、交通網には影響が出ているかもしれない。周辺で待ち合わせをしている人や通勤・通学の通行人もやや少ない印象だ。
結果やいかに。
下り平均通信速度で前回1位だった「エキサイトモバイル」は、今回平均52.18Mbpsで5位となった。代わって1位を獲得したのは、ドコモ純正のmopera U。平均73.61Mbpsと、この時間帯で唯一の70Mbps台を記録した。
MVNO最速は平均68.18Mbpsの「イオンモバイル」。「IIJmio」「OCNモバイルONE」「楽天モバイル」「mineo(Dプラン)」も下り平均50Mbpsを超えた。
40Mbps台を記録したのは「BIGLOBEモバイル」「LINEモバイル」「NifMo」。30Mbps台をマークしたのは「ロケットモバイル」「DMM mobile」「U-mobile LTE使い放題」「nuroモバイル」。少し間が開いて10Mbps台に「DTI SIM」が来た。
残りの3サービスのうちワースト1位は「b-mobile(おかわりSIM)」で下り平均2.25Mbps。おかわりSIMの午前中は、いつも遅い傾向にある。ワースト2位は、先日楽天に買収されることが発表された「FREETEL SIM」。もともと午前中は遅めだが、2.48Mbpsは前回の6.52Mbpsより悪化した。
そして毎回ワースト1位常連だった「0 SIM」が下り平均8.23Mbpsを記録! 通信速度が出やすい傾向にある午前中でも下り平均1Mbps未満が当たり前だったことを考えると、この結果は喜ばしい。ようやく復活か……?
上り平均速度の最速は、ロケットモバイルの7.27Mbps。この時間帯の計測では唯一の7Mbps台だった。他のサービスはおおむね2〜4Mbps台で、ワースト1位はFREETEL SIMの1.63Mbps。
下りが比較的好調だった0 SIMは、上り速度でも2.91Mbpsと調子が良かった。午後や夕方の計測結果にも期待したいがどうなるか……。
計測開始時刻 | 下り平均(Mbps) | 上り平均(Mbps) | |
---|---|---|---|
IIJmio | 8:57 | 52.07 | 3.14 |
OCN モバイル ONE | 8:56 | 58.16 | 3.21 |
BIGLOBEモバイル | 8:57 | 47.01 | 4.07 |
b-mobile(おかわりSIM) | 9:02 | 2.25 | 4.3 |
LINEモバイル | 9:02 | 40.98 | 3.57 |
楽天モバイル | 9:02 | 51.31 | 3.39 |
NifMo | 9:02 | 45.41 | 2.6 |
ロケットモバイル | 9:06 | 31.47 | 7.27 |
FREETEL SIM | 9:06 | 2.48 | 1.63 |
DMM mobile | 9:06 | 36.35 | 3.48 |
U-mobile LTE使い放題 | 9:06 | 36.71 | 2.71 |
mineo(Dプラン) | 9:10 | 58.47 | 2.4 |
DTI SIM | 9:10 | 18.84 | 1.8 |
0 SIM | 9:10 | 8.23 | 2.91 |
イオンモバイル | 9:10 | 68.18 | 4.36 |
エキサイトモバイル | 9:14 | 52.18 | 3.17 |
nuroモバイル | 9:14 | 32.23 | 3.84 |
ドコモ(mopera U) | 9:14 | 73.61 | 1.96 |
ランチタイムの頃になると、雨は止んだ。雲はあるものの、空は明るい。外出している人も多い。ただし、周辺で待ち合わせをするような人はまだ少なめという状況だ。
一般的に、昼食時は通信トラフィックが増える時間帯。そのため、通信速度は一気に落ち、下り平均1Mbps未満のサービスが続出する。
今回はどうだったか、見てみよう。
前回(8月)と比較して、今回は状況が悪化している。下り平均速度で1Mbps以上に達したMVNOサービスはわずか3つとなった。
トップは前回同様(というか毎月のことだが……)、混雑時に強いドコモ純正のmopera U。下り平均56.98Mbpsと、前回に引き続き圧倒的な速さだ。MVNOサービスで一番速かったのは「nuroモバイル」で平均14.35Mbps。これくらいの速度なら、ランチタイムでも普通に通信できるはずだ。
そして驚きなのが、その次に0 SIMがランクインしたこと。下り平均1.71Mbpsと大して速くはないが、他のMVNOサービスの多くが1Mbps未満ばかりなのだから、この速度は光る。前回は測定エラーが多発し、結局「測定不能」と判断したことを踏まえると、本当に嬉しい大改善……かもしれない。今回のランチタイムは、ソニーネットワークコミュニケーションズの2サービスがランチタイムに強いことを示した。
残りのMVNOサービスで惜しかったのは、平均0.97Mbpsのロケットモバイルと、平均0.82MbpsのBIGLOBEモバイル。あと少しで1Mbpsの大台に乗ることができた。
下り平均速度のワーストは、0.26MbpsのNifMo、0.3MbpsのDTI SIM、0.32MbpsのOCNモバイルONE。DTI SIMとOCNモバイルONEは前回も振わず、ランチタイムでの印象が良くない。
一方、上り平均速度のトップは前回に引き続きエキサイトモバイル。平均5.79Mbpsと前回と全く同じ結果で、今回唯一の上り5Mbps台だ。他のサービスはおおむね1〜3Mbps台。ワースト1位は0.93MbpsのおかわりSIM。今回唯一の上り平均1Mbps未満という不名誉な結果になった。
なお、下りが好調だった0 SIMの上りは平均1.35Mbps。前回より改善したものの、ワースト4位となった。
計測開始時刻 | 下り平均(Mbps) | 上り平均(Mbps) | |
---|---|---|---|
IIJmio | 12:25 | 0.64 | 3.33 |
OCN モバイル ONE | 12:25 | 0.32 | 1.47 |
BIGLOBEモバイル | 12:25 | 0.82 | 1.88 |
b-mobile(おかわりSIM) | 12:29 | 0.72 | 0.93 |
LINEモバイル | 12:29 | 0.72 | 2.33 |
楽天モバイル | 12:29 | 0.74 | 1.65 |
NifMo | 12:29 | 0.26 | 1.27 |
ロケットモバイル | 12:33 | 0.97 | 3.33 |
FREETEL SIM | 12:33 | 0.42 | 3.77 |
DMM mobile | 12:33 | 0.62 | 1.29 |
U-mobile LTE使い放題 | 12:33 | 0.67 | 1.45 |
mineo(Dプラン) | 12:37 | 0.35 | 3.78 |
DTI SIM | 12:37 | 0.3 | 3.69 |
0 SIM | 12:37 | 1.71 | 1.35 |
イオンモバイル | 12:37 | 0.67 | 1.52 |
エキサイトモバイル | 12:41 | 0.62 | 5.79 |
nuroモバイル | 12:41 | 14.35 | 2.9 |
ドコモ(mopera U) | 12:41 | 59.68 | 2.8 |
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.