UQコミュニケーションズ(UQ)は1月25日、記者向け説明会「UQコミュニケーションサロン」を開催した。会では、同社の野坂章雄社長が事業の近況と、2017年春商戦に向けた取り組みを説明した。
2016年10月25日から放映しているテレビCM(参考記事)によって、同社(とUQモバイル沖縄)が手がけるMVNOサービス「UQ mobile」の認知度は急速に高まり、契約者数も増加傾向にある。同社のルーツである無線モバイルデータ通信サービス「UQ WiMAX」についても、WiMAX 2+の速度制限ポリシーを変更するなど、積極的な取り組みで一層の普及を図る。
先述の通り、UQ mobileは2016年10月25日からテレビCMを放映している。「UQモバイル、だぞっ」をキーワードとしたこのCMは、CM総合研究所(東京企画)が集計している「CM好感度ランキング」の2016年11月前期(2016年10月20日〜11月4日)分において作品別ランキングで1位を獲得。銘柄別ランキングでも、2016年11月前期から5期連続で上位10銘柄に入り続けている。
好感度の高いCMによって、UQ mobile自体の認知度も向上している。UQの自社調べではあるが、2016年6月段階で24%だった認知度が、CM放映後の11月には61%に、翌12月には71%に向上しているのだ。
ただし、どれだけ好感度の高いCMを流してUQ mobileユーザーが増えたとしても、肝心のサービスが伴っていなければ意味がない。再びUQの自社調査ではあるが、UQ mobileのサービスに対する総合満足度は88%、他者推奨度(他人に使っているサービスを推薦したと答えた人の比率)は78%と高水準となっている。具体的には、月額料金の安さ、SNSデータ消費ゼロ(「節約モード」中のデータ通信は月間容量にカウントしないこと)、au 4G LTEの高速通信の3点に関する評価が高いという。SNSにおけるUQ mobileに対するポジティブ(前向き)コメントも、11月以降は増えているという。
CM効果もあって、UQ mobileは新規契約者も増加傾向にある。特に、テレビCMを放映し始めた10月以降は増加幅が大きくなったという。野坂社長によると、現状の増加傾向がうまく続けば、MVNOの新規契約シェア30%の獲得も視野に入ってきたそうだ。
この勢いを保つためにUQ mobileでは、新端末を投入し、料金プランをさらに拡充し、学割を導入する。
一方、ユーザーをタッチポイント(接点)を増やすべく進めている専門店「UQスポット」の整備は、1月25日現在で10店舗にとどまっている。2016年度内に40店舗の開設を目標としていたが、今回の説明会では目標が「2017年度内に100店舗」(野坂社長)に修正されている。いずれにしても、今後は出店ペースが早まりそうだ。
WiMAX 2+通信サービスについても、UQは高い満足度を獲得している。イードの「RBB TODAY モバイルアワード2016」において、キャリア部門の総合満足度1位となったほか、モバイルWi-Fiルーターの通信スピードとプランバリエーションにおける満足度も1位となった。
しかし、UQが取ったユーザーアンケートによると、3GB規制(直近3日間に3GB以上通信すると翌日に速度規制がかかること)、自宅の電波状況、通信速度の遅さに対する不満が多く寄せられたという。
そこで、UQではこれら3点に対する改善を実施することにした。
「3GB規制」に対しては、2月2日から規制対象となる容量のしきい値を「3GB」から「10GB」に変更し、規制時間を「24時間」から「夜間の8時間」に短縮する変更を行う。ただし、規制中の通信速度は「1Mbps程度」とより厳しくなる。
スマホ(UQ mobile)と異なり、WiMAXの通信は夜間に集中することが特徴だという。規制時間を夜間の8時間に絞り込み、規制中の通信速度をより厳しくすることで、全体の数%しかいない「超ヘビーユーザー」の利用時間帯の平準化を促し、ネットワーク利用の公平性確保とユーザー利便性の向上を両立しようとしているのだ。
野坂社長は、「単純に計算すれば、(規制変更後は)月に100GB以上(高速)通信できることになる」と説明している。
ただし、超ヘビーユーザーの通信が昼間にシフトすると、昼間の通信速度が落ち込む可能性もある。この点について、UQでは現状の設備でもある程度は吸収できるとしている。
「電波状況」に対する対策としては、WiMAX 2+エリアの補完を目的として提供している「LTEオプション」の無料範囲を2017年夏をめどに拡大することで対応する。
ただし、無料範囲が拡大しても、LTE通信を使った場合の「7GB規制」は残る。この規制の対象になった場合は、WiMAX 2+通信をした場合でも規制がかかることになるが、「ハイスピードモード(WiMAX 2+単独)に戻した時にだけ規制を解除することは、システムの設計上困難」(関係者)だという。この問題は今後の課題となりそうだ。
「通信速度の遅さ」に対しては、「4×4 MIMO」と「キャリアアグリゲーション(CA)」を併用することで下り最大440Mbps(理論値)で通信できるエリアを2月以降は順次全国に広げることで対応する。ただし、諸事情で九州地区の一部では対応が遅れるという。
昨今、大手キャリア(MNO)が安価な20GB・30GBプランを提供している。一部のMVNOでは、それに対抗する形で大容量プランを拡充している。
それに対し、UQでは「たっぷりプラン」「ぴったりプラン」にL(7GB)プランを追加するものの、それ以上の通信容量のプランを設ける予定は現時点ではないという。
その代わり、UQはUQ mobileスマホとUQ WiMAX 2+ルーターの“2台持ち”を「UQまるごとパック」として訴求する。
UQまるごとパックは、UQ mobileの「おしゃべりプラン S」と、UQ WiMAXの「UQ Flat ツープラス ギガ放題」を契約すれば、5分以内の国内通話定額と月間100GB以上の高速通信を月額6360円(税別)で使えるというものだ。ある意味で、UQならではの対抗策ともいえる。
この2台持ちをより促進すべく、UQでは期間中にUQ mobileとUQ WiMAX(WiMAX 2+)の両方を新規契約すると、3姉妹(永野芽郁さん、深田恭子さん、多部未華子さん)の声入り目覚まし時計をもれなくもらえる「UQまるごとパックキャンペーン」を3月1日から5月31日まで実施する。ただし、詳しい条件は最終調整中とのことで、詳細は決定次第UQのWebサイトで発表される。
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