MVNOもMNOも「特徴」が重要に――ドコモ吉澤社長一問一答(2/3 ページ)

» 2017年10月28日 10時55分 公開
[井上翔ITmedia]

契約者当たりの収益は地道に上げていく

―― パケット通信に関するARPU(1契約者当たりの平均収入)が上げにくくなってきていると思う。今後、どのように上げていくのか。

佐藤取締役 パケット通信に関しては、お客様還元を強化している分野でもあり、ARPUが伸びづらくなっていることは事実。基本的な課題として認識しており、アップセル(より容量の大きいパケットパックへの誘導)という形でさまざまな営業の取り組みをしている。

 具体的にはフィーチャーフォン(ケータイ)からスマートフォンへの移行、「d」の付く各種サービスの契約増といった地道な努力によって、ARPU向上をしていくことになる。

ARPU パケット通信のARPUは横ばい

―― 自社株買いについて、昨年に実施した時と比べると取得の上限額が減っていると思う。株主への配当を増やすこととの兼ね合いでこうしたのか。株主還元に対する考え方を聞きたい。

(筆者注:2016年に実施した自己株式取得は5000億円を上限としていたが、今回は3000億円を上限としている)

吉澤社長 (手元にある)資金や増配予定など、さまざまな条件を勘案して今回の買い取り上限額を設定した。

自己株式取得 決算発表に合わせて発表された自己株式の取得。前回よりも規模は小さめだ

MVNOも特色が重要になってくる

―― プラスワン・マーケティングのMVNO事業(FREETEL SIM)が楽天に買収されることになった(参考記事)。そのことに関する感想は。

吉澤社長 MVNOの事情については、私たちとしてコメントする立場にはない。

 一般的な話にはなるが、MVNOは何らかの特徴を持つことが非常に必要なのではないかと思っている。先ほどのMNO(大手キャリア)の料金の話ではないが、MVNOも対象とするユーザーや、料金(プラン)の立て方といった所でどこまで特色を出せるのかが重要になってくるのだろう。

―― 今後、FREETELのように事業が立ちゆかなくなったMVNOが出てきた場合、ドコモ自らユーザーを保護するようなことをすることは考えられるか。

吉澤社長 前々から言っているが、ドコモ回線をご利用頂いているMVNOは、私たちと提携して頂いていることになる。個人向けにとどまらず、ドコモ回線を使ったさまざまなソリューションを企業や自治体に提供しているMVNOもある。

 そのようなMVNOに回線を提供することは非常にウェルカムな(歓迎すべき)事であるし、逆にドコモとしても、MVNOと組んでソリューションを提供することもやぶさかではない。今までもそのような事例はいくつかある。

 このような連携の仕方であれば、できると思っているし、私たちとして否定的なもの(考え)は全く持っていない。

MVNOは「傘下に収めない」が「連携する」

―― 先ほどの質問とも関連するが、最近KDDIがビッグローブソラコムを立て続けに買収して、MVNOを傘下に収めている。ドコモとしてその動きに対抗することはあるのか。

吉澤社長 KDDIはIoT(モノのインターネット)のプラットフォームを持っていることを含めてソラコムを買収したのだと思う。

 ドコモとしてはMVNOを傘下に持つ(子会社や関連会社とする)こと、グループ内にサブブランドやMVNOを持つことは全く考えていない。

 先ほども言った通り、MVNOとの連携についてはいろいろなやり方が考えられる。例えば、大きなソリューションで利用する回線はMVNOが提供して、ドコモがそれをサポートするということは当然できる。このような連携によって、私どもの回線を使って頂ければ良いと考えている。

 ただ、IoTプラットフォームをしっかり充実させることは私達も考えていて、その観点から技術を持つ企業と連携、場合によっては資本提携することについては将来考えられないことではない。

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