NTTドコモは10月26日、2017年度第2四半期決算を発表した。上期(第1・第2四半期)の連結営業収益は2兆3001億円、同営業利益は5488億円と、前年同期比で「増収減益」となった。
同日に行われた報道関係者向け決算説明会では、同社吉澤和弘社長が一部端末において「ケータイ補償サービス」の値下げを検討していることを明かした。
この記事では、説明会で開催された質疑応答の主なやりとりをご紹介する。
―― 「顧客還元を続けている」という話があったが、今回は数値的な話はなかった。どのようなサービスでどのくらいの還元をしているのか、示せるものがあれば教えてほしい
佐藤啓孝取締役 顧客還元(に対する投資)については、予定通りに推移していると考えている。今年度はすでに約200億円の還元を実施している。
吉澤社長 還元施策は第2弾、第3弾と考えている。先ほど触れたケータイ補償サービスの値下げも含めて、今年度合計で500億円ほどの還元をしたいと考えている。
―― 「PREMIUM 4G」に対応する基地局の整備を進めているという話の中で、「5G時代に備えたい」とおっしゃった。PREMIUM 4G対応基地局は、5Gでも活用することを念頭に置いているのか。
吉澤社長 PREMIUM 4G基地局のハードウェアについては、5Gでも流用することを考慮している。ソフトウェアの変更は必要だが、書き換えれば5Gに対応できることを前提とした設計としている。
―― 「iPhone 8」の発売に前後して、(大手キャリアの)料金面での「横並び」が崩れてきたと考える。現時点での競争環境に対する受け止めと、それに対するドコモの戦略について考えを伺いたい。
吉澤社長 端末価格を含むいろいろな料金について、少し前まではどこかが(新しいものを)打ち出すとそれに追随するみたいなことはあった。当然「横並び」と言われることもあった。
とはいえ、どういった所に力を入れていくのかという特徴を出していくことが(これからは)重要だと考えている。「全てのお客様をターゲットにして、全てうまい(満足の行く)価格設定」というのは、なかなか難しい。
私ども(ドコモ)であれば、「家族」という単位を大切にするとか、ドコモ光とのセットでモバイル(携帯電話)を使ってもらう事でメリットを最大化するということを考えている。料金体系は、それにマッチするようなものを考えていきたい。
あと、ドコモを長く使っているけれど「それほど通信しない」あるいは「端末を長く使う(買い換えない)」という方もたくさんいる。そこで、端末の価格を抑えつつ基本的な機能を備えた「docomo with」を打ち出した。これなら、料金面でも2年と言わずずっと安く使える。
自分たちのターゲットをしっかり見据えた上で、さまざまな取り組みをしていくことになるとは思うが、利用状況やお客様の声も常にチェックしながら進めていきたい。
なので、結果的に再び(他社と)横並びになった時には、あまり「横並びだ!」と言わないでほしい(笑)。
―― (携帯電話サービス契約の)新規純増数について、年度当初の計画とのズレが大きいように思う。この原因は何か。
(筆者注:ドコモは2017年度通期で220万件の純増を見込んでいた。しかし、上期の純増実績は48万1000件と、通期計画の約22%にとどまった。それに伴い、今回の決算では通期の純増見通しを130万件に下方修正している)
吉澤社長 私達の場合、昨年度(2016年度)と大きく変わったのが「モジュール(組み込み機器用の通信デバイス)」の動きだ。昨年度まではスマートメーターを中心としてモジュールの純増が多かった。しかし、(今年度は)スマートメーターの需要が落ち着いたこともあり、想定よりも(純増が)少なくなった。このことが、影響としては一番大きい。
あとは、(多くがドコモから回線を借りている)MVNOの勢いが弱まったこともある。
佐藤取締役 基本的には社長が言った通りである。上期の実績を踏まえて、通期の見通しも変更(下方修正)している。
モジュールの需要が一巡したことと、MVNOにおける純増が弊社の想定を下回ったことを加味して、年間見通しを変更したということだ。
―― ドコモブランド(の回線契約)にはあまり影響がなかったということか。
吉澤社長 ドコモブランドのハンドセット(スマートフォン・ケータイ)やタブレット(の販売台数の見通し)については、ほとんど変えていない。
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