「サブブランド」優遇 してる? してない?――KDDI、UQ、ソフトバンクが説明(1/2 ページ)

» 2018年01月24日 06時30分 公開
[井上翔ITmedia]

 総務省が2017年末に設置した「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」。この会では、大手キャリア(MNO)やその子会社が運営する「サブブランド」と呼ばれる通信サービスのあり方がテーマの1つとなっている。

 1月15日の第2回会合では、サブブランドではないMVNO(仮想移動体通信事業者)3社に対するヒアリングが実施された。“温度差”はあるものの、各社ともにサブブランドに対して問題意識を持っていることが分かった。

 1月22日に開かれた第3回会合では、MVNO(トーンモバイル)、全国携帯電話販売代理店協会、MNOとその関連会社(NTTドコモ、KDDI、UQコミュニケーションズ、ソフトバンク)からのヒアリングと質疑応答が行われた。

 子会社として複数のMVNOを持つKDDI。その1社として「UQ mobile」を運営するUQコミュニケーションズ。そして、自社と子会社で「Y!mobile」を運営するソフトバンク。サブブランドの“当事者”たちは、グループ外MVNOからの疑念にどう答えたのだろうか。

開始直前の様子 第3回会合開始直前の様子。傍聴・取材者用の席はほぼ満席だった
NTTドコモの出席者 NTTドコモからの出席者。主な説明は大松澤清博取締役(中央)が行った
KDDIからの出席者 KDDIからの出席者。主な説明は古賀靖広理事(左)が行った
UQコミュニケーションズからの出席者 UQコミュニケーションズからの出席者。主な説明は西村紀彦執行役員(右)が行った
ソフトバンクからの出席者 ソフトバンクからの出席者。主な説明は松井敏彦渉外本部長

KDDI:UQ mobileはあくまで「数あるMVNOの1社」

 先述の通り、KDDIは複数のMVNOを子会社として保有している。中でも、UQコミュニケーションズとUQモバイル沖縄が運営する「UQ mobile」は、各種調査においてMVNOとしては速い通信速度を保っていることが確認されている。

 この“高品質”さに、一部のMVNOが疑念を抱いている。UQ mobileと同一品質(速度)でサービスを提供しようとすると採算が取れないことから、親会社(KDDI)が一定の優遇措置を講じているのではないか、というのだ。今回の会合でも、トーンモバイルから同趣旨の意見が出ている。

トーンモバイルの資料 トーンモバイルはITmedia Mobileの記事を引用してUQ mobileと他MVNOとの間の公平性の検証を求めた(総務省公開資料より)

 KDDIは「全てのMVNOに公平に(au回線を)提供することは当然」とした上で、グループの内外を問わず、全てのMVNOに対し同条件でネットワークを貸し出していることを説明。貸し出し条件についても、総務省による確認を経たもので問題はないと強調した。

公平さをアピール KDDIは全MVNOに対して同じ条件でネットワークを貸し出しているという(総務省公開資料より)
総務省検証済み 貸し出し条件は総務省による確認を経ているという(総務省公開資料より)

 その上で同社は、MVNO間の通信速度差が「POI(責任分界点)におけるデータ接続容量(帯域幅)」と「MVNOのポリシーや戦略」によって生じるものであると主張する。

 POIはMNOとMVNOの通信ネットワーク上の境界。一般に、POIの帯域幅が大きければ大きいほど当該MVNOの通信速度(品質)は向上するが、その分MNOに支払うデータ接続料はかさむ。「帯域を広く取って通信速度を上げる」のも「帯域をある程度絞って安価なサービスを提供する」のもMVNOの方針次第となる。

 KDDIとしては、UQ mobileはあくまでも「数あるMVNOの1社(One of them)」であり、「より多くの帯域を購入して差別化を図っているMVNOである」という見解のようだ。

ネットワーク概略図 POI(責任分界点)の手前までは全ての通信は同等で、POIから先で通信品質の差が生じると説明(総務省公開資料より)
速度の差を図示 MVNO間で通信品質(速度)に差が出る理由も合わせて図示(総務省公開資料より)

UQコミュニケーションズ:プロモーションコストは「自社負担」

 UQコミュニケーションズ(UQ)は元々、「WiMAX」「WiMAX 2+」両規格でBWA(広帯域移動無線アクセス)を提供するMNOだった。それが2015年、KDDIグループのKDDIバリューイネイブラー(KVE)を吸収合併したことでMVNOとしての顔も持ち合わせることになった。

 現在、同社はKDDIの「連結子会社」でKDDIグループの一員だ。しかし、BWA事業に対する免許割り当て条件の都合から、KDDIの議決権保有比率は33%未満となっている。そのため、他の議決権保有者の意向を無視した企業運営はできない。

 この点を踏まえ、UQはあくまでも「独立した企業」であることをアピールした。

あくまでも「独立した企業」 KDDIの国際財務報告基準 (IFRS) 任意適用によって同社の「連結子会社」となったUQだが、議決権構成比率の上では「独立した企業」であることをアピール(総務省公開資料より)

 この「独立」姿勢はMVNO事業(UQ mobile)でも同様であることをUQは主張する。

 UQ mobileは同社のBWA事業と同様に「快適な通信速度の提供」を重視している。一定の通信速度を維持するために、同社で他のMVNOと同じ条件で帯域を購入しているという。

 「品質の割に安い」と一部のMVNOが指摘する月額料金については、2年目以降の「通常料金」が他のMVNOサービスよりも高額であることを指摘。1年目を「お客様を呼び込むためのキャンペーン料金」としつつ、2年目以降の料金を高めに設定することで全体として接続料などのコストを回収しながら収益も上げられるようにしている旨を説明した。

 テレビCMやショップ(UQスポット)に対する積極投資についても、シェア拡大のための「先行投資」という位置づけで自社の予算内で行っているという。

接続料水準など 接続料などの提供条件においてKDDIから特別扱いは受けておらず、他社と同じ条件で帯域の購入を行っているという(総務省公開資料より)
ポリシー 1年目は安い料金で呼び込み、2年目以降を「割高」とすることで、全体としてコスト負担と収益確保を狙っているという。テレビCMやショップ展開も自社内でコスト負担しているとのことだ(総務省公開資料より)
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