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» 2007年12月27日 19時56分 UPDATE

ITmedia News 年間アクセストップ50(07年1月1日〜12月26日)“守る”と“創る”は対立するのか――07年のネット界

「Second Life」がポシャり、「ニコニコ動画」が急成長。何の前触れもなく降臨した「初音ミク」が創造を加速する。ネットの創造は既存の著作権の枠組みと矛盾し、対立する――その先には、何が見えるだろうか。07年のアクセス上位の記事から振り返る。

[岡田有花,ITmedia]

 「3次元仮想世界」への期待を背負って登場した「Second Life」が急速に衰退し、「ニコニコ動画」が幾多の試練に耐えて急成長し、何の前触れもなく降臨した「初音ミク」というバーチャルアイドルがネットの「創造力」を刺激する。ユーザーが創るコンテンツの拡大と、既存の著作権の枠組みとの矛盾が大きくなり、しばしば衝突も起きる――2007年のネット界をおおざっぱにまとめると、そんな感じだろうか。

ネットとマスメディアは“近づいた”?

画像 脳内メーカー

 ITmedia Newsのアクセス上位50位を下にまとめた。トップはニコ動でも初音ミクでもなく「脳内メーカー」を紹介する記事。350万以上のページビューを稼ぎ出した。ブログやmixiを通じてじわじわと広がっていったこのサービスの記事には、検索サイトからのアクセスも多かった。ローゼン閣下こと麻生太郎氏も演説で言及したほど。テレビや雑誌でも頻繁に紹介され、ネットにまるで縁のない人にまで広がったことでアクセスが増えた。

 2位以下にはマスメディアとネットの“対立”が見える記事が続く。2位、3位には朝日新聞社の報道をやゆした“新語”「アサヒる」に関する記事が、4位には「アッコにおまかせ」(TBS)の「初音ミク」報道に関する記事が入った。マスメディアの報道姿勢に対してネットが大きな声をあげ、マスメディア側もそれに応えざるを得なくなる――マスメディアがネットの意思を、以前よりも強く気にするようになった1年だった。

 mixi日記やブログの“炎上”は、影響範囲を増してきた。ブログでの不適切な発言で企業が謝罪する、という事態は2005年ごろからあったが、今年は「テラ豚丼」「INFOBAR2」騒動など、ブランドのある大企業の従業員の書き込みが“炎上”し、ネットメディアだけでなくテレビなどのマスメディアも報道する――という事態に。これを見ても、ネットとテレビは以前よりも“近づいて”きたのかもしれない。

Second Lifeのがっかりと、ニコニコ動画のびっくり

画像 Second Lifeの企業SIMは閑古鳥が鳴く

 2006年末から話題になっていたSecond Life。ユーザーが自由に創造できる仮想世界という枠組みは新鮮で、記者は期待もしていたのだが、プレイすればするほど「がっくり感」が高まり、編集部で「これはまだまだだな……」という結論に至った。その理由は「『Second Life』“不”人気、7つの理由」、「Second Life「企業が続々参入」の舞台裏」といった記事に詳しい。将来、3次元仮想世界が当たり前に使われる日は来るかもしれないが、それは今ではなく、また、今のSecond Lifeではないだろう。

 Web2.0の狂騒も落ち着き、Second Lifeもとりあえず先延ばしとなると、ネットはいよいよ停滞するのか――編集部のあきらめムードを吹っ飛ばしてくれたのが、「ニコニコ動画」と「初音ミク」だ。ニコニコ動画はYouTube動画にコメントを付けるサービスとして1月15日にβ公開され、同24日には1日当たり200万PVを突破。YouTubeからのアクセスしゃ断を受けていったん閉鎖するという“試練”にも耐え、γ版でクローズドサービスとして復活した

「みんなで創る」動画

 「動画共有サービスは、YouTubeに代表されるように、テレビやDVDのコンテンツが無断アップロードされ、それをみんなで漫然と見るだけ。日本では“ユーザー発信動画”は盛り上がらない」――ニコニコ動画はそんな思い込みも打破してきた。

画像 「ニコニコ市場」で「Perfume」のCDが売れた

 「動画にコメントがもらえる」というシンプルな仕組みや匿名性が、無名の“職人”たちの創作魂に火を付け、動画職人や演奏職人などさまざまな才能を発掘。職人同士のコラボレーションも当たり前におき、見知らぬ人同士が音楽、歌、イラスト、動画をそれぞれ担当して“マッシュアップ”するということも起きた。

 動画の直下にユーザーが商品アフィリエイトを貼り付ける「ニコニコ市場」からは、動画に関連した「ネタ商品」が売れ、MADと呼ばれるマッシュアップ動画から、アイドル「Perfume」のCDが売れるなど、新しい流通の可能性も見せつけた

初音ミク、降臨

画像

 そんな土壌に突如降臨した女神が「初音ミク」だ。かつてのブームは見る影もなくしぼんだアマチュアDTMが、歌うバーチャルアイドル「ボーカロイド」という姿で“復活”。Web2.0のキーワードとしてしきりにもてはやされたCGM(Consumer Generated Media)の理想型を、最も急速に、最も分かりやすく体現した。

 ニコ動との“相乗効果”で、ミクは成長していく。ミクで作った歌だけでなく、画像や動画も続々とアップされ、ネットユーザーのみんなの力で1人の「バーチャルアイドル」が育っていった。かと思うと「ミクが画像検索から消えた」という珍事も注目を集めた。「ミクを画像検索できないのは大企業の陰謀だ」なんて説まで飛び出した。

 この騒動がここまでユーザーの耳目を集めたのは、草の根ユーザーが創り出すコンテンツと、企業主導の既存のコンテンツ流通システムとの矛盾が、ユーザーの違和感として常にあったからかもしれない。

ニコ動やミクが提起する、次の著作権の姿

画像 「ダウンロード違法化」は、携帯電話の違法着うたサイトに手を焼く日本レコード協会が提案した

 ユーザーによる創作が活気づく中「違法にアップロードされた動画や楽曲をダウンロードすることも違法にしよう」という議論が文化庁傘下の小委員会であった。今のところ「ダウンロード違法化」を推進する権利者団体の意見が、そのまま通りそうな気配だ。

 また、著作権保護期間を50年から70年に延ばそうという権利者側の意見と、「それでは自由なコンテンツ流通が妨げられる」というユーザー側の意見も激しく対立した

 既存の著作権制度の枠組みと、一般ユーザーのネット利用やコンテンツ創作――プロによる商業ベースを前提にした「著作権」と、CGMの世界でユーザーが盛り上げる作品の「著作権」との矛盾が噴出した年だった。初音ミクを使って作られた楽曲の着うた配信をめぐる騒動も、そんな矛盾を体現していた。

 08年は07年以上に、ネット上での創作が盛り上がってくるだろう。音楽も動画もイラストも、一般ユーザーがネットで自由に発表できる環境が整ってきている。旧来の著作権の枠組みと、ユーザーの自由な創作との相克の先に、新しい何かが見えてくるかも知れない。

ITmedia News アクセストップ50(07年1月1日〜12月26日)

順位 記事
1 頭の中が丸分かり? 「脳内メーカー」が人気
2 「アサヒる」「初音ミク」「ローゼン麻生」、現代用語の基礎知識に
3 ネット流行語大賞に「アサヒる」
4 TBS「アッコにおまかせ」の初音ミク特集に批判相次ぐ
5 吉野家、「テラ豚丼」動画騒動で謝罪
6 総務省や文科省もWikipediaを編集していた 「WikiScanner」日本語版で判明
7 2ちゃんねらー提案の「新イギリス国旗」、英大手新聞サイトに
8 異例の売れ行き「初音ミク」 「ニコ動」で広がる音楽作りのすそ野
9 橋下弁護士、2chの殺害予告で刑事告訴
10 「Wiiリモコンジャケット」任天堂が無償配布、利用呼び掛け
11 福島県立医大サイトから「裸宴会」写真が流出 「患者侮辱では」と批判も
12 あの「ねこ鍋」がDVDに
13 「初音ミク」画像がネットから“消えた”?
14 初音ミクの次は「鏡音リン」
15 DTMブーム再来!? 「初音ミク」が掘り起こす“名なしの才能”
16 「初音ミク」画像、Googleに復帰
17 萌えボイスで自作曲を歌ってくれる「初音ミク」
18 mixiで捜索協力呼び掛けが広がる 横浜で不明の12歳
19 この速さなら買える!――WiiよりXbox360が売れる「ニコニコ市場」
20 反対意見多数でも「ダウンロード違法化」のなぜ
21 安倍首相辞任でアニメ企業の株価上昇 「ローゼン麻生」に期待か
22 「意図的削除はしていない」が…… 謎深まる“消えた初音ミク”問題
23 「ダウンロード違法化」のなぜ ユーザーへの影響は
24 ニコ動で“自作自演”騒動 「面白ければいいのでは」とひろゆき氏
25 激白! 腐女子のホンネ
26 分解してわかった、新iPod nanoの低コストぶり
27 ついに登場“夢の”有機ELテレビ 「ソニー復活の象徴に」
28 「ネットランナー」休刊へ
29 「ゴキブリ揚げた」mixi日記は「事実無根」 ケンタッキーに「本人が謝罪」
30 INFOBAR 2告白は「事実無根」三洋が説明、「本人が謝罪」
31 2ちゃんねる、新トップ絵募集中
32 開発者が明かす「ニコニコ動画」人気の“キモ”
33 PS3値下げ 3万9980円のPS2非互換モデルも
34 “家電化”するケータイ 「905i」には「VIERA」「Cyber-shot」も
35 “2ちゃんねるそっくり”掲示板放映 TBS「担当者が作成」
36 “消えた初音ミク”問題 ヤフーとGoogle「原因を調査中」
37 岩場に“落書き”、ブログで披露 人気グループ「AAA」が謝罪
38 Second Life“不”人気、7つの理由
39 なぜ「ニコ動」は盛り上がり、「Second Life」は過疎化するのか
40 「新PS3」はここが違う
41 Second Life「企業が続々参入」の舞台裏
42 初音ミクフィギュアに予約殺到 2日で1万突破の「異常なペース」
43 「ダウンロード違法化」不可避に
44 ひろゆき氏「ユーザーも権利者もニコニコに」 新ニコ動の“企み”
45 5000円以下地デジチューナー「実現難しい」と各社
46 YouTube日本語版が公開に
47 1人のイブ、ITにすがりつく
48 Windows XP SP3 RCを試してみた
49 「日本人と仲良くなりたい」――「ニコ動」でアニソン歌う、韓国人の女の子
50 男の子もいます!「鏡音リン・レン」 コンテンツ投稿サイトもオープン

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