GeForceとRadeonで頂点を狙え!──幹部が語るMSI「Big Bang-Fuzion」と「Lucid Hydra」(2/3 ページ)

» 2010年01月12日 17時00分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]

ドライバ依存、ハードウェア依存がないLucid Hydra

 Lucid Hydraは、すでに3つのラインアップをそろえている。主流となるのは、PCI Express Gen2対応ラインアップで、全部で48レーン(x16を3方向に分岐)のモデルと、より面積の小さい全部で24レーン(x8を3方向に分岐)のモデルが用意されている。なお、Lucid HydraのPCI Express Gen1対応モデルは130ナノメートルプロセスルールで製造され、消費電力は約3.5ワットほどだが、PCI Express Gen2対応モデルは65ナノメートルプロセスルールを採用した小型パッケージで、消費電力は6ワット以下とされている。実際の動作に関しては5つの設定カテゴリが用意されており、同一GPUの組み合わせ、非同一GPUの組み合わせ、マルチベンダーの組み合わせなどが可能となる

 Big Bang-Fuzionは、Gen2対応で48レーン3分岐のモデルを採用する。レーン構成だけで見ればnForce 200のようなPCI Expressスイッチと変わらないように見えるが、Hydraチップは、アプリケーションのリアルタイム解析を行い、要求と性能に応じて負荷を分散させることができるとベルツ氏は説明する。性能が異なるGPUを組み合わせても性能向上が実現する理由がここにあるようだ。ドライバ的には、Direct3Dとディスプレイドライバの間にHydraの仮想ドライバが割って入る形になるので、いわゆるドライバ依存、ハードウェア依存はないとされる。また、GPUに搭載された非3D機能、例えば、動画再生支援機能など関しては、プライマリ側に搭載されたGPUの機能が有効になる。

Lucid Hydraで主流となるのは、PCI Express Gen2対応ラインアップで、48レーン対応モデルと、24レーン対応モデルが用意されている(写真=左)。5つの動作モードが用意されており、同一GPUの組み合わせ、非同一GPUの組み合わせ、マルチベンダーの組み合わせが可能となる(写真=右)

Lucid Hydraはアプリケーションのリアルタイム解析を行い、負荷分散を行う(写真=左)。また、Direct3Dとディスプレイドライバとの間に仮想ドライバとして割って入るため、ハードウェアやソフトウェアの制約はない(写真=中央)。今回はマザーボードに実装されているが、アドインカードとしての展開も検討している。これが実現するならば、1枚にRadeonとGeForceを搭載したグラフィックスカードも可能になる(写真=右)

MSIマザーボードの品質を支えるHi-c Cap

 Hi-c Capは、多くのMSI製品で採用されている高品質なコンデンサだ。Big Bang-Trinergyが実装するコンデンサにHi-c Capを100%採用したのに続き、Big Bang-Fuzionもこれに続いた。説明会では、MSIがHi-c Capとして採用した「POSCAP」を製造する三洋電機の電子デバイスカンパニー キャパシタ事業部 技術部 応用技術課 槇山総一郎氏が、その特性について解説した。「導電性高分子タンタル固体電解コンデンサ」のPOSCAPは、アルミ固体電解コンデンサと異なり、希少金属である「タンタル」を誘電体金属に用いているのが大きな特徴だ。

「POSCAP」の基本構造(写真=左)。POSCAPは誘電体金属にタンタルを用い、電解質にポリマーを使っている(写真=右)

 POSCAPはノートPCなど、小型で大容量、熱にも強いことが求められる製品や、DC/DCコンバータの平滑回路、電源ラインのノイズフィルタなどで利用されている製品で、アルミ系に比べタンタル系コンデンサは3倍の導電率が実現するほか、低ESR、高許容リプル電流対応、小型低背で大容量、長寿命といった特徴があると槇山氏は説明する。

 また、コンデンサに対して高負荷がかかったとき、場合によっては誘電体酸化皮膜の破れ(微少欠損)が発生するが、POSCAPではすぐに絶縁ができ、漏れ電流を抑えることができる「自己修復機能」を有する面もPOSCAPの高信頼性を実現する特徴と紹介された。

Hi-c Cap(POSCAP)は低ESR、高許容リプル電流対応、小型低背、大容量、長寿命といった点で高信頼性を求める製品で選ばれる(写真=左)。その導電率はアルミ電解コンデンサの約1万倍に達する(写真=右)。ほかにも自己修復機能や無酸素構成による安全性など、メリットは多い。しかし、その一方で、従来のコンデンサよりコストは高くなる

POSCAPでは、低ESRに特化したタイプのほか、低ESLに特化したタイプも用意している(写真=左)。低ESRでは共振点付近のインピーダンス値が低くなる(写真=中央)。低ESLならインピーダンス値を高周波域まで低くできるといったメリットがある(写真=右)

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