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» 2010年05月25日 10時30分 UPDATE

牧ノブユキの「ワークアラウンド」:“よく似た周辺機器”が、なぜ出てくるの (1/2)

A社とそっくりな製品がB社から登場したら、たいていのユーザーは「B社がパクった」と考える。しかし、PC周辺機器では、必ずしもそうとは限らなかったりする。

[牧ノブユキ,ITmedia]

そっくりな製品が「しばらくしてから」登場する

 異なる2つの製品が、「んんっ! パクリ?」と指摘されることはよくある。どう見ても“完全コピー”レベルであることもあれば、“法的には問題ない”類似品や、パクリとは背景がまったく異なるOEM製品も含めて、ユーザーから「あれってよく似てるよね〜」と、何かと噂になりやすい。

 意図的なパクリ製品は別として、A社とB社の製品がそっくりという場合、一般的に2つのケースが考えられる。1つはA社とB社の間で「OEM供給元→供給先」の関係が成立している場合(これを仮に「パターン1」としよう)。もう1つは、A社とB社がともにX社からOEMを受けている場合だ(これを「パターン2」とする)。

kn_yamagu_01.jpg 「そっくりな製品だねー」というとき、A社からB社に卸して出荷する場合と、海外のX社がA社とB社に卸している場合に分けられる

 パターン1については、AV機器や白物家電などにおける国内メーカーの協業パターンとしてよく見られる。一方、PC周辺機器の場合は、パターン2のケースが非常に多い。製品を作っている(主に海外の)ベンダー(仮にX社とする)が、日本市場に商品を流通させるにあたり、日本国内で販路を持っているA社やB社に声をかけ、それぞれに対して製品を卸す。A社とB社は、独自の製品名とパッケージを用意して販売する。通常、X社の名前が表に出てくることはないので、ユーザーから見るとパターン1と混同しがちだが、製品の流れはまったく異なる。

 X社は、とにかく大量に卸して利益を立てるのが目的なので、販路は広いほうがよい。そのため、製品を供給する相手を一社に限定したくない。一方、A社やB社は、競合他社と差別化を図るために、自社に“だけ”製品を卸してほしい。「まったく同じの製品」がほかの企業から市場に流入すれば、価格競争は避けられないからだ。

 X社とA社の間で交わされる商談では、ある一定のロット数、例えば月間1000個を仕入れてくれるのであれば、日本国内の販路はA社だけにします、という独占契約を持ちかける。この条件がまとまれば、X社の製品はA社以外に流れることなく、国内ではA社だけが販売できるようになる。

 もっとも、「月間1000個」といった条件が、当初の予想より早いタイミングでクリアできなくなる場合も多い。契約時に「1年は月間1000個ぐらい動くでしょう」と思っていたのが、半年も経たないうちに月間500個ペースまで販売数が急落してしまうことがある。この場合は、やむなく月間500個を前提とした仕入れ価格に改訂する場合もあれば、仕入れ価格は改訂せずに新たに別の製品をやや高めで仕入れることによって仕入れて相殺する場合もある。

 もう1つの解決策として、最初の独占的な契約から、国内の別のメーカー、先の例でいうとB社にも同じ製品を卸すことを容認して取引を継続する方法もある。A社とB社の日本における販路が異なっていて、A社が持つ家電量販店ルートでは製品がほぼ行き渡ったが、A社があまり強くないホームセンター系ルートに強いB社にも商品を流すことで売上が回復する可能性があると見込まれれば、X社にとってもメリットがある。A社も製品のバッティングによるダメージは最小限に抑えられる。A社の内部でも独占契約の変更について了解を得やすいだろう。

 ただ、この場合、消費者の側からすると、A社が売っていた製品とそっくりな製品が、半年遅れてB社からも登場したように映る。B社が半年かけてA社の製品をコピーしたように受け取られるわけだが、このように、真実はまったく違う。もちろん、B社が独自に“そっくり製品”を開発したり、“そっくり製品”を作った別なベンダーと契約して発売する場合もあるが、PC周辺機器では、いま説明した「契約変更に伴う」ケースが少なからず存在する。

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