これって次世代ゲーム機?――小型ゲーミングPC「Alienware X51」を遊び倒すスマートだけどパワフル(2/2 ページ)

» 2012年02月28日 17時45分 公開
[小川夏樹(撮影:矢野渉),ITmedia]
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グラフィックス以外の基本スペックは手堅い構成

プレミアムモデルのCPUはCore i5-2320(3.0GHz/最大3.3GHz)、メモリは2Gバイト+4Gバイトの合計6Gバイトだ。Mini PCI Expressハーフサイズの無線LANモジュールも内蔵している

 CPUはTDP(熱設計電力)が95ワットのデスクトップPC向け第2世代Core i5/i7(開発コード名:Sandy Bridge)を採用する。

 スタンダードモデルとプレミアムモデルが搭載するのは、Core i5-2320(3.0GHz/最大3.3GHz/6Mバイト3次キャッシュ)だ。コア数は4つだが、Hyper-Threadingには対応しないため、スレッドの同時実行数は4つとなる。Turbo Boostには対応しており、動作クロックは最大で3.3GHzまで上昇する。

 一方、最上位のプラチナモデルはCore i7-2600(3.4GHz/最大3.8GHz/8Mバイト3次キャッシュ)を搭載する。こちらは4コア/8スレッド対応のCPUだ。いずれもCore i5/i7ではエントリークラスのモデルとなる。

 チップセットはIntel H61 Expressを採用する。メインメモリはデスクトップ用のDIMMを使っており、小型ボディだからといってノート用のSO-DIMMといったことはない。マザーボード上のDIMMスロットは2基だ。メインメモリの容量はスタンダードモデルが2Gバイト×2枚の4Gバイト、プレミアムモデルが2Gバイト+4Gバイトの合計6Gバイト、プラチナモデルが4Gバイト×2枚の8Gバイトとなる。いずれもDDR3-1333対応だ。

 プレミアムモデルの場合、メインメモリが2Gバイトと4Gバイトの変則的な組み合わせになっているが、メモリのそれぞれ2Gバイトぶんまでがデュアルチャネル、それ以上の部分がシングルチャネル動作となる。ほかの2モデルはすべてデュアルチャネル構成だ。

CPU-Zの情報表示画面。CPUはCore i5-2320を採用する(画面=左)。CPUソケットはLGA1155、プロセスルールは32ナノメートル、TDPは95ワットだ。コア数は4つで、Hyper-Threadingには対応しないため、同時実行可能なスレッドも4つ。Turbo Boost時には最大で3.3GHz動作となる。マザーボードはAlienware向けのオリジナルとみられる(画面=中央)。チップセットはIntel H61 Expressだ。メインメモリはDDR3-1333を採用しており、2Gバイトと4Gバイトの変則的な組み合わせで合計6Gバイトになる(画面=右)。メモリチャネルのそれぞれ2Gバイトまではデュアルチャネル動作で、それ以上の部分はシングルチャネル動作となる

3.5インチの1TバイトHDD、薄型のスロットイン式DVDスーパーマルチドライブを内蔵する

 データストレージは3.5インチのHDDを内蔵する。容量は全モデルで1Tバイトに固定されており、ほかの容量や高速なSSDを選べないのは少々物足りない。今回入手したプレミアムモデルは、シーゲイト製のBarracuda 7200.12(7200rpm)を装備していた。

 光学ドライブはノートPC向けのスリムタイプで、DVDスーパーマルチを採用。スロットインタイプの光学ドライブを用いることにより、前面をスッキリまとめつつ、上質感を演出している。プラチナモデルはBD-ROMドライブの選択も可能だ。

 インタフェースについては、アクセスしやすい前面に2基のUSB 2.0と、ヘッドフォン出力、マイク入力の端子を装備。背面にはグラフィックスカード搭載の映像出力を除き、HDMI出力、4基のUSB 2.0、2基のUSB 3.0、ギガビットLAN、光デジタル音声出力、同軸デジタル音声、アナログ音声出力を備える。通信機能はIEEE802.11a/b/g/n準拠の無線LANモジュールも標準搭載だ。

 PS/2やIDEのインタフェースは省かれ、ハードウェア制御にBIOSではなくEFIを用いており、完全なレガシーフリーPCとなっている。ゲーミングPCとして見た場合、PS/2ポートがないため、キーボードの“全キー同時押し”への対応を求めるコアなFPSユーザー向きではない点に注意したい。

前面には2基のUSB 2.0、ヘッドフォン出力、マイク入力の端子を装備(写真=左)。主要なインタフェース類は背面に集中している(写真=右)。HDMI出力はCPU内蔵グラフィックスのIntel HD Graphics 2000を利用する

ベンチマークを思う存分ぶん回してみた

 スリムタワーとはいっても、Alienwareブランドの一員である。当然、製品を選ぶうえではゲーミングPCとしてのパフォーマンスが重要だ。そこで、プレミアムモデルで各種パフォーマンステストを実施した。

Windowsエクスペリエンスインデックスのスコア

 まずはWindowsエクスペリエンスインデックスのスコアを見ていこう。プロセッサは7.4、グラフィックスは7.5、メモリは7.4、プライマリハードディスクは5.9となっている。メモリは変則的な6Gバイトの構成だが、7.4のスコアを確保した。グラフィックスがプロセッサのスコアを上回り、トップになっている点に注目したい。コンパクトボディでこの描画性能は、さすがにAlienwareだ。

 次に各種ベンチマークテストの結果だ。総合的なパフォーマンスとしては、CPUより新型グラフィックスカードの恩恵がかなり高いといえる。

 3Dゲーム系のテスト結果を見ると、DirectX 9ベースのテストに関しては、何ら問題なくプレイできるレベルだった。そうしたゲームタイトルをフルHDの高解像度で十分楽しめるだろう。一方、新世代のDirectX 11ベースでのテストに関しては、スコアもガクンと落ちていることから分かるように、解像度を下げるなりしないと満足にプレイできないかもしれない。

各種ベンチマークテストの結果
テスト内容 スコア
PCMark05(1280×1024、32ビット) CPU 10755
Memory 7149
Graphics 20506
HDD 7363
PCMark Vantage(1280×1024、32ビット) PCMarks 9075
Memories 6983
TV and Movies 5620
Gaming 9493
Music 7458
Communications 11273
Productivity 6764
HDD 4281
PCMark 7 PCMarks 2885
Lightweight 2323
Productivity 1948
Creativity 3103
Entertainment 3480
Computation 3520
System Storage 1929
3DMark 06(1280×1024、32ビット) 3DMarks 19770
SM2.0 8106
HDR/SM3.0 9056
CPU 5476
3DMark Vantage(Performance:1280×1024、32ビット) 3DMarks 13082
CPU 16018
GPU 12329
3DMark11(Entry:1024×600) 3DMark11 5237
Graphics 5339
Physics 5865
Combined 3888
3DMark11(Performance:1280×720) 3DMark11 3358
Graphics 3130
Physics 5905
Combined 3057
3DMark11(Extreme:1920×1080) 3DMark11 1066
Graphics 951
Physics 5911
Combined 1256
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3 Low 11603
High 9651
FINAL FANTASY XIV Official Benchmark Low 5341
High 3315
STREET FIGHTER IV BENCHMARK(1280×720、32ビット) Score 9943
Average 59.94FPS
STREET FIGHTER IV BENCHMARK(1366×768、32ビット) Score 9870
Average 59.98FPS
STREET FIGHTER IV BENCHMARK(1366×768、32ビット) Score 9020
Average 59.95FPS
LOST PLANET2ベンチマーク DirectX 9版(1280×720、32ビット) テストタイプA 80.8FPS
テストタイプB 67.2FPS
LOST PLANET2ベンチマークDirectX 9版(1360×768、32ビット) テストタイプA 80.6FPS
テストタイプB 63.6FPS
LOST PLANET2ベンチマークDirectX 9版(1920×1080、32ビット) テストタイプA 52.9FPS
テストタイプB 38.0FPS
LOST PLANET2ベンチマークDirectX 11版(1280×720、32ビット) テストタイプA 57.6FPS
テストタイプB 45.9FPS
LOST PLANET2ベンチマークDirectX 11版(1360×768、32ビット) テストタイプA 55.4FPS
テストタイプB 44.1FPS
LOST PLANET2ベンチマークDirectX 11版(1920×1080、32ビット) テストタイプA 33.1FPS
テストタイプB 33.0FPS
THE LAST REMNAN体験版&ベンチマーク(1280×720、32ビット) Average 183.00FPS
THE LAST REMNAN体験版&ベンチマーク(1366×768、32ビット) Average 166.75FPS
THE LAST REMNAN体験版&ベンチマーク(1920×1080、32ビット) Average 94.99FPS

3Dゲームも味わえる小型デスクトップと考えたらおトク

 以上、Alienware X51を一通りチェックした。直販価格は今回テストしたプレミアムモデルが8万9980円、下位のスタンダードモデルが7万9980円、上位のプラチナモデルが10万4980円だ。このスタイリッシュなコンパクトボディに、3Dゲームが存分に楽しめるグラフィックスカードを装備でき、7万円台〜10万円台半ばという価格ならばアリだろう。

 ハードゲーマーにはハイエンドな構成が可能なAlienware Auroraを強くおすすめするが、3Dゲームをバリバリとプレイしつつ、通常のPC利用も快適にこなせるメインマシンとしての小型デスクトップPCを求めるならば、X51はうってつけだ。リビングで大型テレビの横に置き、大画面でゲームやPCのコンテンツを映し出して利用するのは実に気持ちいい。

 友人を家に呼んで、「どうよ? 10万円の最新ゲーム機だぜ!」と思わず自慢したくなる魅力的なゲーミングPCだ。


→「Alienware X51」をデル公式サイトでチェックする

戦功を刻む微小のウェポン。価格は7万9980円(2月28日現在)


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