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» 2012年11月01日 10時45分 UPDATE

Build 2012:「日本でもSurfaceを早く展開したい」――Windows 8の開発責任者は語る (1/2)

Windowsの開発者向け会議「Build 2012」が米Microsoftの本社で開催された。Windows 8とWindows Phone 8を立て続けにリリースした直後の開発者向け会議で何か語られるのか? 現地から本田雅一氏がリポートする。

[本田雅一,ITmedia]

ソフトとハードの融合が重視される時代に即した開発者会議「Build」

tm_1211_build_01.jpg ワシントン州レドモンド市にある米Microsoftの敷地内で開催中の「Build 2012」

 米Microsoftは10月30日(現地時間)、ワシントン州レドモンド市にある本社敷地内でWindows開発者向け会議「Build 2012」を開催した。同社の開発者向け会議といえば、かつてはソフトウェア開発者向けの「Professional Developers Conference」、ハードウェア開発者向けの「WinHEC」と、2つの異なる開発者向けイベントが開催されていた。

 しかし、今はソフトウェアとハードウェアが密に統合していなければ、製品としての魅力を引き出しにくくなっている。加えてクラウドコンピューティングの勃興とともに、ネットワークサービスの製品への統合も、より重要さを増すようになってきた。

 このような経緯もあり、昨年Windows 8のお披露目会ともなった開発者イベントには、「BUILD」という新しいブランドが使われるようになった。この名前になった背景には、Windowsを中心にして新たなパーソナルコンピューティングのエコシステム構築を開発者とともに行っていく、という意図が含まれているように感じられる。

tm_1211_build_02.jpg 米Microsoftのスティーブ・バルマーCEO。Windows 8は発売後の3日間で400万本を販売した(店頭の在庫も含む)と力説する

 既報の通り、同社のスティーブ・バルマーCEOは、ニューヨークで開催したWindows 8の発表会において、「PCが何か、という既成概念を完璧に打ち砕く製品を作った」と語った。意図するところは、WindowsというOS、Windowsを搭載したPCが、タブレット端末と比較して“旧世代の技術”“旧世代の製品”と思われることに対する、バルマー氏なりの反論だ。

 Buildでの基調講演において、バルマー氏は「Windows 8に対応することで、現代的なタッチパネル、クラウド、ソーシャルネットワーキングといったトレンドに沿ったアプリケーション開発が容易に行える」と訴求した。

 Windows 8は、全画面いっぱいをユーザーインタフェースとして使い、タッチ操作でユーザーの利用シナリオを消化していくアプリケーションの作り方を、PCのOSであるWindowsに持ち込んだ。しかし、実はそれだけではない。PCらしく複数アプリケーションを連携させたり、使い分けることで作業効率を上げられる、といったマルチタスク操作をタッチパネルでサポートしている。

 バルマー氏は、Windows Phone 8の発表会に登場した女優ジェシカ・アルバの名前を、サーチ欄に入力。1つのキーワードから、検索アプリを切り替えてWeb、ニュースアプリ、SNSアプリ、アドレス帳、SMS(ショートメッセージ)、メールなど、検索対象を切り替えながら、Windows 8の検索性の高さをアピールした。

 サーチ機能で目的の情報を探し当てたら、今度はそれを共有機能でソーシャルネットワークやメールなどを通じて発信したり、特定の知人に情報を引き渡す。この“サーチ&シェア”の使い方を、何度も強調しながら見せ、開発者たちにWindows 8の機能を組み込んだアプリケーションの開発を促していた。

 Windows 8には音楽や映像の配信サービス、アプリケーションストアといった機能も含まれている。すでにiOSやMac OS Xでおなじみのものだが、検索性を高め、また申請から承認までの時間短縮を行うなどの努力を続けていると訴える。「Windowsにはすべて入っている。コンテンツ、シェア、サーチ、エンターテインメントに便利ツール。サービスへの入口であり、さまざまなデジタルコンシューマー製品との接続も可能だ」(バルマー氏)

tm_1211_build_03.jpg Windows 8とWidnows Phone 8で同等のAPIセットをそろえ、コアロジックを共通化できる開発フレームワークを整えた

 同社はWindows Phone 8の設計を根本からやり直し、Windows 8とWidnows Phone 8で同等のAPIセットをそろえ、コアロジックを共通化できる開発フレームワークを整えた。画面サイズが異なるため、ユーザーインタフェースの設計はカスタマイズする必要はあるが、プログラムの核となるロジックは共用できる。Windows Phone 8用アプリケーションをWindows 8で動かすラッパーも存在するようだ。

 もっとも、現時点では一般的に使われているソーシャルネットワークサービスの公式アプリさえない。この点はバルマー氏も十分に承知している。バルマー氏はSkypeアプリでビデオチャットを接続したあと、ゲームを同一画面に並べて開始。ビデオチャットしながらゲームを遊ぶ、といったマルチタスクでの使い方を紹介した後、Twitterの公式アプリの開発がスタートしたことを発表した(ただし開発には数カ月がかかる見込み)。

 ほかにもDropboxがWindows Storeアプリをリリースし、ESPNがWindows 8に最適化したスポーツニュース閲覧アプリを提供している。アプリ内課金にMicrosoftの決済システムだけでなく、PayPalも利用可能などの柔軟性もあるとした。

tm_1211_build_04.jpgtm_1211_build_05.jpg Skypeアプリでビデオチャットしながらゲームを遊ぶ、といったマルチタスクでの使い方を紹介(写真=左)。スポーツ専門チャンネルの米ESPNがWindows 8に最適化したスポーツニュース閲覧アプリを提供している(写真=右)

 「世界中で動いているWindows PCは10億台ある。そのうち、Windows 8が快適に動作するスペックを持つPCは6億7000万台だ。彼らに対しては低価格のオンラインアップグレードが提供されるし、Windows 8を搭載するPCは年内にも4億台が出荷される」とバルマー氏は語る。言い換えれば、Windows 8向けアプリケーションに参入するならば、「今こそがチャンス」というわけだ。

 そして、Windows 8に投資するならば、プログラムコードを部分的に共有できるWindows Phone 8向けにもアプリケーションを、というのがMicrosoftのメッセージだ。バルマー氏はWindows Phone 8のシェアが小さいことを認めつつ、「Windows Phone 8ではほかのOSとの差異化をしっかりと行った。今後はマーケティング投資を最大限にしていって、市場を立ち上げていく」と、エコシステム立ち上げの投資を惜しまないことを約束した。

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