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» 2013年03月27日 12時30分 UPDATE

この発想はなかった:“透ける”スキャナに興味津々のA4スリム複合機――「HP ENVY120」を試す (1/4)

「最もスタイリッシュな家庭向けプリンタ」と語られることも多い「HP ENVY」ブランドの複合機から新モデルが登場した。見どころは唯一無二の「シースルースキャン」だ。

[榊信康(撮影:矢野渉),ITmedia]

複合機だってスタイルにこだわりたい

tm_1303_envy120_01.jpg 日本HPのA4複合機「HP ENVY120」。天板がガラステーブルのように透けているのがユニークだ

 日本ヒューレット・パッカード(HP)のプレミアムブランドとして知られる「HP ENVY」シリーズに、A4インクジェット複合機の新モデル「HP ENVY120」が加わった。

 昨今の家庭向けインクジェット複合機は、リビングへの浸透を図るため、ボディの小型化や高級感あるデザインに注力した製品が増えている。このトレンドを徹底追求した製品として注目を集めたのが、2010年に発売されたENVY複合機の初代モデル「HP ENVY100」と2011年に発売された第2世代モデル「HP ENVY110」だった。いずれも質感の高い薄型ボディに、自動で開閉する排紙トレイやタッチパネル付き液晶モニタなどの工夫を盛り込み、デザイン、省スペース、操作性に強くこだわっている。

 第3世代モデルとなる今回のENVY120も、基本的な製品コンセプトはENVY100/110から継承しているが、さらにユニークな新機能の「シースルースキャン」を加えることで、スタイリッシュなデザインと使い勝手に磨きをかけているのは見逃せない。早速、その実力をチェックしていこう。

ボディの薄さ、美しさは圧倒的

tm_1303_envy120_02.jpg 電源をオンにした状態。前面の操作パネルは自動で持ち上がり、印刷時には排紙トレイも自動で中から出てくる

 ENVY120で真っ先に語るべきはやはりデザインだ。美しいガラス1枚板の天面、ブラックで統一された高い質感のボディ、武骨な突起や穴などが見当たらない洗練された外装は、一目見てコストをしっかりかけて作られたことが分かる。

 薄型で平らなボックス型のフォルムは他社製品にも見られるが、本体サイズは427(幅)×336(奥行き)×102(高さ)ミリ、重量は約7.25キロと、その薄さは圧倒的だ。小型ボディで知られるエプソンの「EP-805A」は高さ141ミリ、キヤノンの「PIXUS MG6330」は高さ148ミリなので、これら売れ筋機種と比べても明らかに薄い(横幅と奥行きはそれなりだが)。自動両面印刷ユニットを内蔵しているとは思えない薄さだ。

 ENVY120の薄型ボディは、設置のしやすさも考えられている。給紙と排紙の機構を前面に集約しているため、背面に余分なスペースは不要だ。背面に搭載したコネクタも奥まっているので、背面を壁にぴったりと付けても問題なく運用できる。

 使用時に加算されるスペースは、奥行きが100ミリ弱、高さが300ミリ程度だ。前者は操作パネルおよび自動開閉する排紙トレイのせり出し、後者はスキャナの原稿カバーや内部へのアクセスドアの開閉に必要となる。ただし、アクセスドアを全開にするのは紙詰まりのときくらいだろうから、通常は天面から100〜150ミリ程度のスペースがあれば事足りるだろう。

tm_1303_envy120_03.jpgtm_1303_envy120_04.jpg ボディの前面は、光沢ブラックでフラットなデザインに仕上がっている(写真=左)。印刷時には前面の操作パネルが持ち上がり、中から排紙トレイが自動的に出てくる仕組みだ(写真=右)。前面の右側にあるカバーには、メモリカードスロットとUSBメモリ接続用のUSBポートも収納されている

tm_1303_envy120_05.jpgtm_1303_envy120_06.jpg ボディの側面(写真=左)と背面(写真=右)も、無駄が一切ないミニマルなデザインが徹底されている。ちなみに前モデルのENVY110は、ホワイトのボディカラーだったが、ENVY120ではブラックで統一されている

 自動で開閉する操作パネルや給排紙の機構も高級感の演出に一役買っている。タッチセンサー式の電源ボタンに触れると、自動的に操作パネルが開いて斜めになり、プリント時にはボディ内部から排紙トレイが回転して登場。排紙された紙を取り除くと、排紙トレイは自動で閉じる。電源ボタンに再び触れてオフにすると、操作パネルも閉じ、前面がフラットな状態に戻るといった具合だ。

 こうした一連の動作は流れるように静かに行われ、ユーザーが操作パネルや排紙トレイをいちいち動かさずに済むことで、上質なユーザー体験を生み出している。

 ちなみに、給紙カセットも用紙切れの際や操作パネル上のイジェクトボタンを押すと、フロント部が開いて自動で排出される。しかし、給紙カセットの底面がそのまま本体の底面になっている構造は少々気になった。薄型化を優先するためかフットスタンドが低いので、本体の下に紙やクロスを敷いていると、カセットの排出時に巻き込んでしまう恐れがある。設置の際には注意したほうがよいだろう。

見た目の面白さと便利さを両立した「シースルースキャン」

 ENVY120で新たに追加された特徴が、冒頭で紹介したシースルースキャンだ。これは、スキャナの原稿カバーにガラスを用いるとともに、光源とCISセンサーを本体側ではなくカバー側に内蔵することにより、原稿を上面に向けて内容を確認したままスキャンできるようにしたもので、他に類を見ない。

tm_1303_envy120_07.jpgtm_1303_envy120_08.jpgtm_1303_envy120_09.jpg 上部に搭載するA4フラットベッドスキャナは、原稿カバーが透けて見えるガラスになっている(写真=左)。通常の複合機では、原稿の読み取り面を下向きに伏せて置くが、ENVY120の場合は読み取り面を上向きに置く(写真=中央)。原稿を上向きに置き、ガラス製のカバーを閉じれば、原稿の様子を目で見ながらスキャンやコピーが行える(写真=右)。スキャナユニットを本体側ではなく、カバー側に内蔵することで、原稿を上から見たまま読み取ることを可能にしている

 ガラスを通して原稿台で見たままの状態をスキャンあるいはコピーできるため、ざっと読み取れればよいような原稿ならば、プレビューを省いても失敗しないだろう。プレビューの手間が省けることに加えて、スキャンやコピーが終わった後には、原稿の取り忘れも防げる優れモノだ。

 この仕組みは冊子や書籍のスキャンにも役立つ。ENVY120以外の製品では、冊子や書籍を伏せてセットすると、とじた部分の反発から読み取り面が少し傾いてしまうことが間々ある。この点、シースルースキャンならば、原稿のズレや傾斜を一目で把握できるため、余分な労力を割かずに正確な読み取りが可能なのだ。失敗が減ることで、コピー時には用紙の節約にもなるだろう。

 また、薄型の複合機は原稿カバーが軽くホールド感の弱い作りになりがちだが、ENVY120はガラス天板のカバーにセンサーを内蔵しているためか、カバーの自重がそれなりにあり、冊子のとじた部分の反発があっても割としっかりホールドしてくれる。

 事前の情報だけでは、見た目の面白さ以外、さほど感銘を受けなかったシースルースキャンだが、実際に触れてみると意外なほどに使い勝手がよいことに驚いた。なお、ガラスにはスモーク加工が施されているため、外光の影響はあまり気にならない。

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