「VAIO Pro 11」「VAIO Pro 13」徹底検証(後編)――“世界最軽量”タッチ対応Ultrabookは1Gバイト/秒の“爆速”PCIe SSDも魅力真の実力が明らかに(2/5 ページ)

» 2013年06月20日 13時00分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

CrystalDiskMark 3.0.2のスコア

 それでは、CrystalDiskMark 3.0.2(ひよひよ氏)で内蔵ストレージの性能をチェックしよう。VAIO Pro 13のPCIe SSD以外はマルチベンダー調達とのことで、必ずしも評価機と同じSSDが搭載されるとは限らない点は留意していただきたい。

 もちろん、最大の注目は先進的なPCIe SSDだ。デバイスマネージャやCrystalDiskInfoではSerial ATA 6Gbps SSDとして認識されているが、デバイスマネージャで接続別の表示を見ると、チップセットのSerial ATA 6Gbpsポートとは別のルートに接続されているのが分かる。

VAIO Pro 13店頭モデル(Serial ATA 6Gbps SSD搭載)のデバイスマネージャ接続別表示(画像=左)。VAIO Pro 13 VOMモデル(PCIe SSD搭載)のデバイスマネージャ接続別表示(画像=中央)。CrystalDiskInfoでは、PCIe SSDがSerial ATA 6Gbps SSDと認識されている(画像=右)

 VAIO Pro 13が業界に先駆けてPCIe SSDを採用するのは、パフォーマンスの徹底追求のためだ。すでに2.5インチSSDやmSATA SSDのシーケンシャルリード/ライト速度は、Serial ATA 6Gbpsの理論値(600Mバイト/秒)に迫るが、その気になればいつでも超えられるといわれており、次の世代ではPCIeにインタフェースを移行することが既定路線となっている。VAIO Pro 11とVAIO Pro 13に採用された新コネクタのM.2(旧NGFF)もその一貫として規格化されたものだ。

 「VAIO Z」のようにSerial ATA 6GbpsをRAID 0構成で使えば、PCIeでなくともパフォーマンスは出せるだろうが、既存のVAIO Z用SSD RAIDでは実装面積が大きすぎて、VAIO Pro 13の薄型軽量ボディにとても収まらない。まだ前例がない段階だけに苦労も多かったと聞くが、細長い形状でコンパクトに収まるM.2カードのPCIe SSDを採用したのは当然の選択だろう。もっとも、この薄さのUltrabookでそこまでパフォーマンスにこだわろうとすること自体、異例中の異例だ。

ソニーが提供するVAIO Pro 11(左)とVAIO Pro 13(右)の内部構造写真。いずれも細長い形状のSSDモジュール(緑色の基板)を搭載している。Serial ATA 6Gbps SSDも、PCIe SSDも新しい薄型のM.2(旧NGFF)コネクタを採用した

CrystalDiskMark 3.0.2のスコア

 実際のパフォーマンスも素晴らしい。シーケンシャルリードでは1024Mバイト/秒と、1Gバイト/秒の大台を突破。シーケンシャルライトも856.1Mバイト/秒とまさに爆速だ。さらに512Kバイトのリード/ライトもSerial ATA 6Gbpsの理論値(600Mバイト/秒)を超えており、Serial ATA 6Gbpsでは高速なSSDのRAID 0構成でも出せるかどうかという圧倒的なスコアをマークした。

 理屈的にはたくさんのNANDチップを使って並列アクセスすれば、シーケンシャル性能はいくらでも出せるが、それには大きなスペースが必要となる。M.2カードの小さな実装スペースでこれだけ飛び抜けたパフォーマンスを出せるのには驚きだ。

 一方、店頭モデルのVAIO Pro 11とVAIO Pro 13、VOMモデルのVAIO Pro 11が採用するSerial ATA 6Gbps SSDは、PCIe SSDと明確な差があった。128Gバイトモデルで顕著だが、256Gバイトモデルも最新世代のSerial ATA SSDとしては、シーケンシャルライトが若干遅めだ。これは、Serial ATA 6Gbps SSDも新しいM.2カードの形で搭載されていることが影響しているのかもしれない。それでもリードやランダム性能は高速で、UltrabookのSSDとしては十分高速だ。

VAIO Pro 11店頭モデルの結果(画像=左)、VAIO Pro 11 VOMモデルの結果(画像=右)
VAIO Pro 13店頭モデルの結果(画像=左)、VAIO Pro 13 VOMモデルの結果(画像=右)

CINEBENCH R11.5のスコア

 CINEBENCHは、MAXONの3DCGソフト「CINEMA 4D」をベースにしたベンチマークテストだ。レンダリングテストは、最大64wayまでのマルチスレッド処理に対応している。「CPU」はマルチスレッド、「CPU(シングルコア)」はシングルスレッドで処理を行ってスコアを出す。CPU以外の要素はほとんどスコアに影響しないため、シンプルにCPUの性能(マルチスレッド性能/シングルスレッド性能)を調べるのに最適なテストだ。

 CPUとファンの動作モードが「標準」の状態では、CPUスコアはどれも似たような値だ。VAIO Pro 11、VAIO Pro 13ともVOMモデルはCPU(シングルコア)のスコアがVAIO Duo 11より高いにもかかわらず、マルチスレッドのCPUになるとVAIO Duo 11が勝っている。

 CPUとファンの動作モードを「パフォーマンス優先」に切り替えると、VAIO Duo 11はスコアが変わらないのに対し、VAIO Pro 11とVAIO Pro 13はすべてスコアが伸びた。特により動作クロックが高いCPUを搭載しているVOMモデルは伸びが大きい。

 これはTurbo Boost 2.0が影響しているのだろう。Turbo Boost 2.0は、温度や電力、電流を自動監視して「安全な範囲内」で動作クロックを上げる技術なので、どれかのパラメータが「安全でない」範囲に入る前にクロックの上昇は止まる。

 CINEBENCHはCPUリソースをフル活用して高い負荷をかけるため、VAIO Pro 11/13の4台では、何かの要素(おそらく温度)が引っかかって、クロックが伸びきれないのだろう。また、VAIO Pro 11とVAIO Pro 13のVOMモデルは同じCore i7-4500Uを搭載するが、明らかに後者のスコアがよい。VAIO Pro 13のほうがボディサイズが大きいぶん温度が上がりにくく、クロックが伸びるのだと思われる。

CINEBENCH R11.5のスコア。標準設定(グラフ=左)とパフォーマンス優先設定(グラフ=右)の結果

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