2014年のPC/スマートデバイス動向を冷静に振り返る本田雅一のクロスオーバーデジタル(3/3 ページ)

» 2014年12月31日 00時00分 公開
[本田雅一,ITmedia]
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Appleは市場トレンドに合わせた製品ラインアップの見直しが進む?

 本稿は2015年を予想するコラムではないが、少しだけ来年のApple製品についても触れておきたい。それは今年のトレンドと連動する話になるからだ。

 今年は5.5型に大画面化した「iPhone 6 Plus」が投入されたが、これによって位置付けがやや微妙になってきたのが7.9型タブレット「iPad mini」だろう。もちろん、この2つは大きなiPhoneと小さなiPadであり、同じアプリが動くケースもあるとはいえ、基本的には異なるユーザーインタフェースと使われ方をする、別カテゴリの製品だ。

 しかし、現行の「iPad mini 3」はマイナーチェンジにとどまったため、大幅なモデルチェンジとなった「iPad Air 2」と重量面で近付いてしまった。来年はもっと軽量なiPad miniが登場する可能性もあるが、さらにiPad Airが軽量化される可能性についても考えると、商品としてはやや中途半端になってきたように思う。

 これはテクノロジートレンドが導いた結果なので、ミニタブレットというジャンルそのものに市場性がないと言いたいわけではないが、Appleのラインアップだけを考えると難しくなっているということだ。

5.5型の「iPhone 6 Plus」(左)と7.9型の「iPad mini 3」(右)。iPhoneの大画面化により、マイナーチェンジにとどまったiPad miniはやや中途半端な立ち位置になってきた

 同様に位置付けが微妙になってきているのが、Macのラインアップだ。もともと13.3型の「MacBook Pro Retinaディスプレイモデル」は、15.4型のMacBook Pro Retinaと13.3型の「MacBook Air」の間に挟まれて位置付けが曖昧と言われてきたが、さらに来年の早い段階で新型のMacBook Airが登場することは間違いない。Retinaディスプレイの搭載は間違いないところで、(12型と言われる)高精細ディスプレイと最新プロセッサが搭載されれば、さらに立ち位置の幅が狭まる。

 MacBook Airは11.6型が低価格モデルとして継続され、13.3型を新型モデルに切り替える一方、13.3型のMacBook Proは廃止され、15.4型モデルだけになるかもしれない。この辺りはIntelが提供するPCプラットフォームの熱設計電力(TDP)とも深く連動する部分である。

 従来のMacBookは、MacBook Airシリーズが15ワットのTDPで作られ、MacBook Proの13.3型が28ワット、MacBook Proの15.4型が47ワットのTDPで作られてきた(これらはCPUのTDPであり、15.4型は外部GPUの熱設計分もこれにプラスされる)。

 もし、新型MacBook Airが従来通りの15ワット枠で設計されているのなら、MacBook Proには13.3型モデルが残されるだろう。しかし、新型MacBook Airが28ワット枠までを意識した設計にしているならば、13.3型のMacbook Proは存在意義がなくなってしまう。筆者は軽さや薄さを重視して15ワット枠を採用すると予想しているが……と、来年を予想するコラムではないことを忘れてしまっていた。

13.3型の「MacBook Pro Retinaディスプレイモデル」。新世代の「MacBook Air」が登場すると、こちらも微妙な位置付けになるかもしれない

 この辺り、実は深く関連しているのがiPadの戦略だ。先進国でのiPad需要が頭を打ち始め、新興国需要を低価格のAndroidタブレットに浸食されている中で、iPadをどう育てていくのかはAppleにとって大きなテーマだ。

 iPad向けにiWorkやiLifeを整備しつつ、パフォーマンスを大きく引き上げるなどして「iPadは受け身にコンテンツやサービスを使いこなすだけでなく、クリエイティブな道具としても使える」と訴求しているAppleが、さらに「PCの領域」にまでiPadの適応領域を広げていきたいと考えるなら、次のiPadはさらに高性能・高機能化が進むのではないだろうか(もちろん、利用モデルがまったく異なることは承知の上で書いている)。

 AppleがiPadの適応領域を上方向に広げていくのであれば、新型MacBook Airは必然的にハイパフォーマンスな方向へと向かわざるを得ないだろう。

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