“iPodの父”が去ってGoogleのスマートホームはどうなる?ITはみ出しコラム

» 2016年06月25日 09時30分 公開
[佐藤由紀子ITmedia]

 Appleの世界開発者会議「WWDC 2016」では、スマートホーム(HomeKit)関連のアップデートがちょっとした話題となりました。

 スマートホームと言えば、“iPodの父”と呼ばれる元Apple上級副社長のトニー・ファデル氏が立ち上げた企業、Nest Labsをご存じでしょうか。

 nest Nest Labsはこんなサーモスタットや煙感知器、監視カメラを出しているスマートホーム企業です

 Nestは、2010年にトニー・ファデル氏とマット・ロジャース氏が2人で立ち上げ、2014年にGoogleに買収され、2015年11月にGoogleがAlphabetによる持株会社になった際、Alphabet傘下の系列企業になりました。

 スマートホームやIoT(モノのインターネット)の先駆者と見なされていましたが、家庭用サーモスタットと煙感知器の後、全然新製品が出ず(買収したDropcamのセキュリティカメラも販売していますが)、どうなっているんだろうと思っていたら、6月4日にファデルCEO退任のニュースが入ってきました。

 nest 1 トニー・ファデル氏(左)、マルワン・ファワズ氏(右)

 どうやらファデルさんは製品センスはあっても経営者には向かなかったようです。新CEOのマルワン・ファワズ氏(アラブ系なお名前ですね)はMotorola MobilityでIoT部門を率いた経験のある人。Motorolaを辞めた後、技術系のコンサルティング企業に入り、ホームセキュリティ企業のアドバイザーなどをしていました。

 この方はシリコンバレーではほとんど知られていないようですが(前職ではデンバーにいた)、IT系メディアRecodeによると、社内をまとめるのが得意な人だそうで、今のNestがまさに必要としてる人材といえます。

 ファワズさんがCEOになってまだ約1カ月もたっていませんが、既に変化が始まっています。

 6月21日には新サービス「Time of Savings」と、同サービスで最初のパートナー、SolarCityとの提携を発表しました。SolarCityはTeslaの創業者、イーロン・マスク氏が立ち上げた太陽光発電サービス大手です。SolarCity+Nestのサーモスタット利用者は、Time of Savingsで電力が高い時間帯に自動的に節電することなどができます。

 22日にはNestのオンラインストアでサードパーティー製品の販売を開始しました。連係する製品に「Work with Nest」認定シールを付けることは以前からやっていましたが、自社サイトで販売するのは初めて(ファデルさん時代には考えられないことです)。こうなっていれば、「へえ、いろんなことができるんだ」とユーザーも思うでしょう。

 nest 2 Nest Storeのサードパーティー製品コーナー「Work with Nest」

 販売こそしていませんが、「Work with Nest」製品一覧ページでは、競合するAmazon.comの「Amazon Echo」も紹介しています。このページでは、ソフトウェアも含めて87ものサードパーティー製品を紹介しています。

 nest 3 Amazon.comのEchoも紹介

 ところで、Googleが年次開発者会議「Google I/O」で発表したスマートホームのハブにもなる「Google Home」は、NestではなくGoogleの製品です。Alphabetとしては、スマートホーム事業は1つにまとめたいところでしょう。

 ファワズさんのCEO就任はそのための布石でもあるようです。なぜなら、Google Homeを統括するGoogleのハードウェア部門(Nexus、Chromecast、OnHub、ATAP、Glassなどを担当)のトップであるリック・オステルロー上級副社長は、Motorola Mobilityの社長だった人(LinkedInを見ると、なかなか興味深いプロフィールです)。恐らくファワズさんを呼び寄せたのはこの人でしょう。

 NestがGoogleに統合されるのか、Google Homeを含むスマートホーム関連がNestに移管されるのか、どういう形になるかは分かりませんが、うまくおさまるといいなぁ。


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