Professional Mobile
RSS

コラム

eWEEK

Google排除でiPhoneにBing採用の可能性――利するのは誰か

GoogleがAndroid携帯に自社のWebサービスを組み込でiPhoneに対抗しているというのに、AppleがGoogleの検索エンジンを使い続ける理由があるだろうか。

 MicrosoftとAppleがBingをAppleのiPhoneのデフォルト検索エンジンにすることを検討しているのであれば、これはGoogleの検索エンジンそしてオンライン分野における同社の優位性にとって大きな打撃となるだろう。

 これはまだ確証のある話ではない。あなたはそれを信じるだろうか。信じるという人は、この世界では何が起きても不思議ではないことを知っている人だ。両社の交渉のニュースを報じた米BusinessWeekの記事が、そのことを雄弁に説明している。

 さらに同記事は「MicrosoftとAppleは今や、Googleを最大の宿敵と見なしており、両社は必ずしも互いを敵視しないようになった」と指摘する。MicrosoftとAppleは長い間、PCベースのオンプレミス型デスクトップの世界で死闘を繰り広げてきた。そこにGoogleというよそ者がやって来たのだ。

 AppleとMicrosoftがこの件で交渉していることを信じないという人は、GoogleがWeb上で極めて強大な勢力になり(検索市場のシェアは65%で現在も拡大中)、クラウドコンピューティングへの進出を目指すMicrosoftとAppleが、Googleを最大の障害と見なすようになったという事実を知らないのだろう。

 また、Microsoftが老犬になってしまい、元気のよい子犬を必死で追いかけようとしているという現実も直視すべきだ。BusinessWeekの記事は次のように述べている。

 “AppleとGoogleは互いに相手が最大の敵であることを知っている”とAppleの方針に詳しい情報筋は話す。“今やMicrosoftはこの戦いのポーン(訳注:チェスの駒の1つ。将棋の歩に当たる)にすぎないのだ”。

 いやはや、ポーンとは手厳しい。しかし何年にもわたって何十億ドルもの損失を垂れ流してきたMicrosoftのオンライン事業の状況を見れば、そう言われても仕方がないだろう。

 Bingは検索市場で2番手につけているが、トップには大きく水をあけられている(シェアは10.7%)。確かに、Silverlight Mapsなどの技術が大きく改善され、検索結果の画面が美しくなったことは認めよう。だが、Windows Mobileにはがっかりだ。Zuneは見ての通りだ。Zune携帯を欲しいという人は誰かいるだろうか。

 BusinessWeekの記事は、昨年11月の時点で米国のモバイル検索ユーザーの86%がGoogleを利用し、Bingを利用していたのは11%だったというNielsenの調査結果を引用している。Appleもそれを知っている。もしAppleが、将来有望なBingを人気スマートフォンで採用することによって、検索広告分野におけるGoogleの支配を覆すことができれば、GoogleではなくAppleとMicrosoftがWeb上で勝つことになる――今回だけは。

 Appleはそんなことを望んでいないと思う人は、考え直した方がいい。BusinessWeekの記事は次のように述べている――「同情報筋によると、Appleは自社の携帯端末上での広告掲載を管理することも検討しているようだ。この動きはGoogleの広告配信ビジネスを浸食する可能性がある」

 Appleは当然そのつもりだ。GoogleがAdMobの買収という力技に出た後で、Appleがモバイル広告企業のQuattro Wirelessを買収した理由は、それ以外に考えられるだろうか。

 AppleはモバイルWeb市場におけるGoogleの勢力拡大を恐れている。AppleがPlacebaseを買収したのも(PlacebaseはiPhone向けに独自の地図技術を開発するとみられる)、Google LatitudeをWebアプリにしたのも、iPhone向けにGoogle VoiceをGoogleが提供するのを拒んでいるのも、すべてそれが理由だ。

 Googleの「Nexus One」は、まるでiPhoneの分身のようだ(意図的にそれを狙っているのかもしれない)。GoogleがNexus OneをはじめとするAndroid携帯に自社のWebサービスを組み込むことによってiPhoneに対抗しているというのに、AppleがGoogleをデフォルトの検索エンジンとして使い続ける理由があるだろうか。

 対抗という意味でいえば、AppleもGoogle Apps(Gmail、Google Docs、Google Calendarなど)に対抗するWebアプリケーションとしてMobileMeを提供している。

 また、Appleは音楽サービス企業のLalaも買収した。これは、クラウドコンピューティングベースの音楽サービス事業への本格進出を目指した動きではないかとみる向きもある。Googleは音楽検索サービスを提供しており、Lalaもそのパートナーの1社だというから話はややこしい。

 もちろん両社が競い合う分野はほかにもあるが、今のところ、わたしにはそのすべてを思い浮かべることはできない。

 Bingの採用をめぐる決定は容易ではない。デフォルト検索エンジンとしてGoogleを捨ててBingを採用するというのは、大手ホテルチェーンが自動販売機のコーラをCokeからPepsiに切り替えるようなものだ。もちろん一部の人々はBingを使うだろうが、彼らは実際にはGoogleの方を好んでいるかもしれない。

 つまり、AppleはGoogleを使い慣れているユーザーを混乱させる危険があるということだ。これらのユーザーはBingに慣れるか、Search Engine Landのグレッグ・スターリング氏が予想するように、検索エンジンをGoogleに戻す必要があるだろう。

 それだけでなく、GoogleとAppleを好きになったユーザーの反発を招く恐れもある。これらのユーザーは、GoogleとAppleがMicrosoftを無力化する(数百億ドル規模の巨大企業の影響力を弱めるという意味で)Webアプリケーションとコンシューマーデバイスの最強タッグだと考えているのだ。

 米New York Timesのニック・ビルトン氏も次のように指摘する

 健全な競争が展開されず、ユーザーは携帯電話用に購入したアプリケーションや同様のデバイスで使用するソフトウェアのフォーマット戦争の巻き添えになる恐れがある。

 Bingをデフォルトの検索エンジンにするという形でGoogleを排除するのは、AppleとMicrosoftにメリットがあるかもしれないが、ユーザーには必ずしも良いことではない。それはAppleとMicrosoftにとっても良いことではない。

 それは結局、Googleを利するという逆効果になるような気がする。そう思うのはわたしだけだろうか。

企業向け情報を集約した「ITmedia エンタープライズ」も併せてチェック

原文へのリンク

Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.

Special

FEATURES


仕事に役立つAndroidアプリはここでチェック!「仕事アプリナビ」
日々の仕事をサポートするAndroidアプリをカテゴリー別に紹介するサイト「仕事アプリナビ」がオープン。


特集:“位置情報連携”で進化する、モバイルサービスの今とこれから
ケータイへの搭載が本格化し始めたGPS機能が、モバイルサービスを新たなフェーズへと向かわせている。ユーザーが肌身離さず持っているケータイに位置情報が連携することでどんな新サービスが生まれ、それが人々の生活をどう変えていくのか。

Special

スマートフォン

「Android」「Windows Mobile」「iPhone」の
最新記事をピックアップ


Apple、iPad 3を3月第1週に披露か
Appleは最新のiPadを3月第1週のイベントで披露する計画という。(ロイター)

契約者数

現在の携帯契約数(1月末)
NTTドコモ 5971万0200
(2in1:30万8000)
au 3447万9000
ソフトバンク 2806万1900
(DN:2万4700)
イー・アクセス 380万0000
(12月末)
携帯累計 1億2605万1100
(イー・アクセス含む)
ウィルコムPHS 435万9200
携帯・PHS累計 1億3041万0300
(イー・アクセス含む)
UQコミュニケーションズ 188万3900

Web閲覧端末数/MNP利用状況

Web閲覧端末数
iモード/spモード 5168万0400
EZweb/ISNET 2816万8100
Yahoo!ケータイ 2152万9000
EMnet 非公開
累計 1億0137万7500
MNP利用状況(差し引き 1月末)
NTTドコモ −9万9300
au 5万3300
ソフトバンクモバイル 4万6000
イー・アクセス 非公開

Pick Up! ホワイトペーパー

  • ビデオ会議はパーソナル・タブレットと相互接続の時代へ
     従来のビデオ会議は、会議と名のつく通り会議室同士だけのために存在していました。 近年、ビデオのマーケットはビジュアルコミュニケーションという大きな括りとなり、パーソナル型やスマートフォン、タブレット端末でも活用されるようになりつつあります。 シスコシ...
  • スマートフォンのセキュリティ対策は本当に必要なのか
     スマートフォンやタブレットといったスマートデバイスの急速な普及に呼応するように、スマートデバイスを標的にしたマルウェアが多数発見されるようになった。だがこうしたマルウェアは脅威ではないと考えるセキュリティ専門家は少なくない。 ユーザー企業は、スマート...
  • “使いやすさ”が大幅に向上! 多様なIT資産を一元管理できる最新クライアント運用管理ツール
     ハードウェア/ソフトウェアのIT資産管理(Mac OSやLinux OSにも対応)、操作ログ管理、セキュリティポリシーの運用、クライアントのリモートメンテナンスなどを支援し、USBデバイスやネットワーク機器なども一元管理できる「SKYSEA Client View」。 同製品に搭載する各...
  • 技術者が見せる。Google Appsでの開発・実装例
     これまでにGBSに寄せられたグループウェア選択の際のお客様の注目点、ご要望から浮かびあがる2つのポイント「ワークフロー」「データ連携」。 Googles Apps(TM)は、これらにどのように応え、改善を実現したのか? 外部サービスの利用を最小限に絞り、Google Apps機能...
  • スマートフォン/タブレットの業務利用の新提案。簡単な設定で外出先から社内データベース照会が可能に。
     スマートフォンの業務活用方法としては、メールやグループウェアなどが一般的だが、販売・生産・経理などの社内の各システムの既存データベースを自由に社外から活用できる仕組みは多くはない。 Business4Mobileは、ツールの簡単な設定だけで、iPhone、iPad、Androidな...
  • イグアスが提供する災害・障害対策&スマートフォンソリューション
     「災害対策、『きちんと』ご対応済みですか?」◇IBMiの二重化によりダウンタイムを最小限に抑えるHAソリューション◇IBMiの遠隔へのバックアップを低コストで実現する災害対策ソリューション◇Windowsの二重化でダウンタイムを最小限に抑えるHAソリューション  「昨今...
  • クラウド時代におけるエンドユーザ目線によるWebサイトのパフォーマンス管理の必要性
    今日、顧客やビジネスパートナーとのやり取りをWebベースのアプリケーションインフラに実装している企業は増加している。これまで以上にインフラの階層やコンポーネントが増えるだけでなく、クラウドやCDNなど、データセンター外部のインフラとの連携も考慮すべき対象とな...
  • 自社に最適なグループウェアの選定ポイント
    市場には数多くのグループウェアが存在する。スケジュール管理やWebメール、ワークフローなどさまざまな機能が搭載され、現在ではASP形式で提供されたり、携帯電話/iPhoneなどのスマートフォンからもアクセス可能になるなど、その提供形態や利用シーンも多岐にわたる。企...
  • 安否確認、スマートフォン対応、変化し続けるユーザーニーズを解決する情報基盤とは?
     TechTargetジャパンの読者調査によると、企業における情報共有ツール利用の条件として、「エンドユーザーが使いやすい」「運用コストが安い」などが多く挙がった。前者の解決には、豊富が機能なのことはもちろんのこと、それらがユーザーにとって分かりやすい画面構成で...
  • 今すぐできる認証強化
     オンラインサービスの提供や、事業継続およびビジネス推進を目的としたリモートアクセスの提供が増加するなか、不正アクセスによる情報や金銭詐取が相次いで発生しており、認証強化が重要な課題となっている。 しかし、常に課題になるのは、セキュリティ強化と利便性の...