“Xperiaブランド”を主力にする――Sony Ericssonのグローバル戦略:Mobile World Congress 2010(1/2 ページ)

» 2010年02月25日 22時19分 公開
[田中聡,ITmedia]

 Mobile World Congressでは「Xperia X10 mini」「Xperia X10 mini pro」と「Vivaz Pro」を発表し、2010年のラインアップをさらに充実させた英Sony Ericsson。日本では現在、au向けに「Walkman Phone」「Cyber-shotケータイ」「BRAVIA Phone」などを供給しているほか、NTTドコモから4月に発売予定の「Xperia」も記憶に新しい。同社はグローバル市場ではどのような戦略で端末事業を推進していくのだろうか。スウェーデンのSony Ericssonでグローバル商品企画の統括を務める伊藤泰氏に話を聞いた。

photo 左から「Xperia X10」「Xperia X10 mini」「X10 mini pro」

iPhoneやAndroidの登場で戦略が変わった

photo Sony Ericssonの伊藤泰氏

ITmedia グローバル市場ではどのような戦略で端末を開発しているのでしょうか。日本市場との違いも含めて教えてください。

伊藤氏 日本ではキャリアの要求に従って端末の機能やサイズ、価格帯を決めていますが、海外ではすべてSony Ericssonに主導権があります。重要な市場をいくつか設定し、競合力のあるスペックを決めています。もちろん、端末を販売するのは通信事業者さんなので、商戦期に合わせて開発するなど、最終的には通信事業者さんにもメリットがある形で納入しています。2010年のポートフォリオ(商品群の組み合わせ)はまだすべてお見せできませんが、通常は1年から18カ月の単位で決めています。

ITmedia 毎年のポートフォリオは、どのような基準で決めているのでしょうか。

伊藤氏 ポートフォリオは、さまざまな要素が混在した「るつぼ」といえるので、その時々の戦略やトレンドで基準が変わることもあります。2〜3年前は価格帯や商品数を広げることに注力し、新興国など大きなマーケットを狙ったこともありました。また、これまでは音楽やカメラなど1つの機能に特化する手法を採ってきましたが、今は変わりつつあります。

ITmedia 確かに、これまでのSony Ericsson端末は、WalkmanやCyber-shotなど家電ブランドのイメージが強い印象がありました。方針を変えた理由を教えてください。

伊藤氏 iPhoneとAndroidの存在が大きいですね。iPhoneがケータイの使い方を変えましたし、Androidがオープンな手法を採り始めたことで、企画と開発の方法、リソースの使い方が変わりました。

Xperiaブランドを主力に、WalkmanやCyber-shot携帯は低価格帯へ

ITmedia 今回のX10 miniとX10 mini proの発表で、「Xperia X10」も含め、X10シリーズは3機種となりました。今後はこれらXperiaシリーズがSony Ericsson端末の主役になるのでしょうか。

伊藤氏 我々は“Xperiaブランド”と呼んでいますが、将来的にも主力商品にしていきたいと考えています。ただ、そのためにはさまざまな価格帯を設定する必要があります。X10は最上位モデルですが、X10 miniとX10 mini proはさらに広い層をターゲットにしています。いずれにせよ、コミュニケーションエンターテインメントの主力商品にはXperiaの名前を冠していきます。

ITmedia X10以前は、「XPERIA X1」と「XPERIA X2」を投入しています。素朴な疑問ですが、X2からX3ではなく、いきなりX10に数字を上げた理由はあるのでしょうか。

伊藤氏 「機能」と「数字」は比例するというのが私の考えです。X10のような全く新しい製品を出すときに「Xperia X3」とするよりは、1桁上げてX10にした方がインパクトがあるでしょう。

ITmedia Sony Ericssonのケータイは、Xperiaや「Idou」「Satio」など、名前の覚えやすい商品が多いと思います。やはり商品名で認知度を上げることも狙っているのでしょうか。

伊藤氏 型番だけでは味気なくなるので、お客さんに身近に感じてもらえるよう、商品の特徴を表す名前を採用しています。弊社はこれまで機能を重視していましたが、新しいテーマに「ヒューマンセントリックイノベーション(人間中心の革新)」を掲げ、UI(ユーザーインタフェース)も含めて“人間味のある”商品作りを心がけています。

photophoto XperiaオリジナルのUI「Timescape」(写真=左)と「Mediascape」(写真=右)

ITmedia 今後は機能よりもデザインやUIを重視するということですね。そういう意味でも、X10で採用した「Mediascape」や「Timescape」は大きな差別化につながると思います。これらのUIは今後も継承していくのでしょうか。

伊藤氏 MediascapeやTimescapeはより進化させたいと考えています。実はこれらのUIは、Timescapeならいろいろなコミュニケーション情報が集まるようにデザインしただけで、技術的なチャレンジは少ないんです。今後も「わお!」と驚くような機能ではなく、お客さんに「親切」「理解してくれている」と感じてもらえるような機能を増やしていきたいですね。

ITmedia Symbianを採用した「Vivaz Pro」も発表しましたが、Xperia以外のラインアップはどのように展開していくのでしょうか。

伊藤氏 Android端末だけではすべての価格帯はカバーできないので、通信事業者さんの要望に沿ってカスタマイズしやすい、Symbianを採用した端末も増やしていきます。Symbianのような共通OSを採用すれば開発期間を短縮できますし、コストも抑えられます。

ITmedia WalkmanやCyber-shotとのコラボケータイは、今後は出さない方針でしょうか。

伊藤氏 以前とはポートフォリオが変わったので主力には据えません。ただ、WalkmanやCyber-shotのブランド力は依然としてありますし、年齢層の低いユーザーにも支持されているので、今後は価格帯の低いモデルになるでしょう。

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