ソフトバンクは7月29日、2011年3月期の第1四半期決算を発表した。ソフトバンクグループの業績は、好調な移動体通信事業がけん引し、増収増益を達成。連結の売上高は前年同期比5.2%増の7008億4000万円、営業利益は同44.6%増の1566億300万円となった。
会見を行ったソフトバンク社長の孫正義氏は、四半期ベースの営業利益と経常利益(連結)が、初めてKDDIを越えたことにも触れ、うれしさを隠せない様子だった。
移動体通信事業は、売上高が前年同期比8.3%増の4410億7800万円、営業利益が同70.4%増の1026億5700万円で増収増益。営業利益が初の1000億円の大台に乗るなど好調に推移している。
好決算を支える要因の1つが、ARPUの向上だ。第1四半期のARPUは前年同期比260円増の4290円。基本利用料+音声ARPUは通信キャリア間の接続料金の改定や、通話機能のないフォトフレームの増加などにより、前年同期比120円減の2030円となったが、データARPUはデータ通信利用の多いiPhoneの契約者が増加したことなどから、前年同期比370円増の2250円となった。
もう1つがiPadだと孫氏。企業からの引き合いが多く、さまざまな企業でテスト導入が始まっていると話す。導入を検討する企業も多く、大企業向けに行った説明会には3000人を越える人が足を運び、熱心に説明に聞き入っていたという。
同氏は、iPadの導入を表明しているみずほ銀行や大塚製薬を例に挙げながら、「生保や損保、不動産、自動車、建設など、出先で紙のカタログを使って商談する人々は何年かのうちに、ほとんどがiPadのようなデバイスを活用していくようになる」と予測。法人分野での活用の広がりに期待を示した。
孫氏は、スマートフォンの普及に伴って急増するトラフィックに対応するための施策にも言及。3G基地局の増設とフェムトセルの導入、Wi-Fiエリアの拡大で対応するとし、その進捗を説明した。
3G基地局は年度末の12万局への増設を目指して、今期は主に機材の発注や許認可申請、工事人の確保など、実際の工事が始まる下期に向けた準備が進んでいるという。
家庭用フェムトセルは、7月29日時点で3万件の申し込みがあり、導入した人からは快適になったという声が寄せられていると孫氏。Wi-Fiエリアはスターバックスやミニストップなどの店舗に加え、商店街一帯をエリア化する施策も進めている。参画に合意するブランドは、2010年3月末の16ブランドから今年度末には774ブランドに増える見込み。場所や利用シーンに合わせた適材適所のエリア強化を行い、利便性の向上を目指す考えだ。
会見では、発表したばかりの米ソーシャルゲーム大手、Zynga Game Network(以下、Zynga)との合弁会社設立に関する説明も行った。
Zyngaは月間アクティブユーザー数2億3000万人を誇るソーシャルゲーム事業者。米ソーシャルサイトFacebookのアプリランキングでも、トップ10の半数を同社のゲームが占めるなど人気ゲームを開発しているという。
ソフトバンクとZyngaは、7月29日にZynga Japanを設立することで合意し、年内にもサービスを開始する計画。当初は国内のSNSと協力しながらフィーチャーフォン向けサービスを提供し、順次iPadやiPhoneにも拡大する予定だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.